口笛を吹く寅次郎ー私の好きな寅さん映画3−

男はつらいよ」を見た。寅さんは、出勤前(夜勤)の時間つぶしに最適である。

何べんも見て話を知っているので、ぼんやり見てていい。まして、今日の散歩でざらついた気持ちを変えるのに、「寅」は良い。そこで1年数カ月ぶりに、私の好きな寅さん映画第3弾を書く。

「口笛を吹く寅次郎」。出来のいい寅映画と思う。山田監督会心の出来じゃないか。伏線が多く張ってあり、それが後で生きて来る。首尾一貫している。

ユーモアたっぷり。大いに笑わせる。一番なのは、やはり、寅が坊さんにふんして、桜たちを驚かす場面だ。桜の義姉が誤解して、「いやらしいわね」と言う場面。博が「兄さん」と言うと実兄と義兄(寅)が同時に「何だ」って返事する場面。面白い。桜の困惑ぶりもまた面白い。

そして、笠智衆演ずる坊さんが、とらやでお説教を垂れて外に出て、竹下景子の演ずるヒロインを見て心を動かし、「いかん、まだまだ修行が足りん」と言う場面。傑作である。
笠の表情の変化、うまいと思う。

最後がまたいい。
柴又駅。出戻りのヒロインを好きな寅。寅を好きなヒロイン。しかし結びつくには現実という障害がある。寅は、坊さんにはなれないと言う現実。
別れが実にいい。竹下景子の演技もいい。かぶりを振って寅への愛を示す。寅は、竹下の愛を冗談にして流してしまう。
うまくいくかと思うと冗談に流しまう。「相合傘」の寅もそうだった。リリーの愛を冗談にしてしまう。
寅は自分を知っている。自分は結婚なんてできないということを知っている。そしていつもいつも恋している。せつないねえ。

第何話か分からないが、「本当にいるのかねえ、死んだ前夫を忘れられない妻を愛せる男なんて」と、寅が間接的に桜を通じて言う場面。ヒロインは真野鏡子だったかな。

俺は、寅しかそれは出来ないんじゃないかと思う。何の欲得もなく純粋に好きになり、相手に尽くそうと思う。しかし、生活力がない。どうにもならない。

寅は、永遠に、かつての男子高校生なんだ。そういえば、寅映画には、女子高校生がよくバックに出てくるねえ。山田監督は、男子高校生の女子高校生を思う恋を描いたのかもね。

寅映画は、出勤前に見るのに最適と言ったが、これを取り消す。酒を飲みたくなって困るので。ああ早くやきんが終わって寅でも見ながら日本酒のみたいなあ。

では、夜勤に出発するか。おっと飲み物と昨日忘れた高血圧の薬をわすれずに。