幸せすぎるのは面白くない

佐伯泰英の時代小説「居眠り磐根江戸双紙」42巻43巻を読んで思ったことである。


同書は、2002年から現在まで続くフタバ文庫の人気シリーズとか言われるものである。


私も今年図書館から借りて、多分全てを読んだと思う。40巻以上読んだのだから面白いのは間違いない。いろんな内容がある。捕りもの、用心棒、推理、お家騒動、出世、経済、剣術、友情、恋愛、成長物語、様々な要素を持っている。一番魅力なのは、主人公が誠実で他人を大切にし、その結果どんどん人間関係を深く広くして幸せを手に入れていくことである。

しかし、最新の巻2つを読んで思ったのは、「幸せすぎるのは面白くない」ということだ。


現在主人公は、江戸で評判の美人かつ有能な女性を嫁にし、優秀そうな子どもを持ち、幕閣の有力者を知人に持ち、尾張紀伊藩とも有力なつながりを持ち、江戸町奉行所の有能人物に頼りにされ、出身藩にも多大の貢献をし感謝され、江戸金融界の実力者に知遇があり、なおかつ自身は剣術でも知能でも行動力でもひいでている。しかも周りの弟子・友人・知人が、人がよく彼らとの信頼関係がきわめて篤い。その上、いいなずけかつ吉原トップクラスの花魁であった女性の愛も得ている。それをどうやら妻も認めているようだ。


いやはや、男の夢全てをかなえたスーパーマンだ。。(女の読者っているのかな、いるんだろうな、「かっこいいー」って思って。


しかし、もうつまらぬ。安っぽいホームドラマの人間関係を延々と読まされている感じがした。あまりに幸せすぎる。まあ、田沼親子という強敵を設定しているが、それも失脚近しという感じ。敵がなくなったら終わりかな。
もしかして、妻ともといいなずけの間の揺れ動く人間関係の小説になったりして、あはは。



しかし、(しかしの連続)俺は新しい巻が出たら多分読むのだろう。あはは。