エポム様への返事、「柔らかな頬」感想

(エポム様への返事)
そうですか、井上ひさしは、弟をかばわなかったのですか。ありそうですね。先日、nhkで、井上ひさしが家族に暴力をふるうドラマがありました。真実に近いんだろうなと思ってみてました。何かを突き詰めれば別な何かをすてるということでしょうか。井上作品は、本人家族関係者の多くの犠牲の上になりたったものと思うと貴重なものと思います。

朝日新聞記事は、25日付け社会面です。リード文「特定秘密保護法を作った安部政権は、集団的自衛権の行使容認、憲法改正へむけて突き進んでいる。東京・新宿で上演されている井上ひさし作「太鼓たたいて笛吹いて」。従軍記者から戦後、反戦小説家となった林芙美子を演じる大竹しのぶさん(56)は、あの時代が今の時代にかさなってみえるという。」

内容には、大竹しのぶの秘密法への反対の言葉と自分の原発への無関心への反省があります。それと作品の中の芙美子の言葉があります。新聞の同じページには、安部政権への疑問の声が紹介されています。
私は、「太鼓たたいて笛ふいて」を図書館で借りて読もうと思ってます。

桐野夏生「柔らかな頬」感想)
面白いかつ不思議な小説だ。
面白いというのは、5歳の女の子の失踪のなぞというメーンテーマの周りに、不倫やロリコンや犯罪を欲しがる警官や不気味な美しい老女がちりばめられてそれぞれが興味ぶかいことだった。特にホストクラブの様子が面白かった。知らない世界なので。それぞれの描写で主人公が変わる連作のような雰囲気もある。
不思議と言うのは、5歳の女の子の失踪の真相が、明確に示されないことだ。死に面した強欲警察官の幻想?が真相を暗示するということで終わっていて不思議な気がする。心が落ち着かない。
残虐記」と似た点もある。幼い女の子は、実は気持ちは大人なのだという点。作者は早熟でかつ幼いころをよく覚えている人なのだろう。