居眠りがホントに眠ってしまった

「居眠り磐根」の近刊「湯島の罠」と「空蝉の念」を読んだ。つまらない。もう2巻とも飛ばし読みだ。この前の2巻と同じ感想であるが、安手のホームドラマそのものである。
ますますつまらなくなった。あとがきによるとあと5巻ぐらいと作者は言っているが、佐伯さん、もう終わりにしたらと言いたい。
小林奈緒を追い求めていたころ、長屋に住んでウナギ裂きをしてたころ、商家の用心棒の頃、町奉行所のお手伝いをしてた頃が懐かしい。

白石一郎はいいなあ。
十時半睡シリーズはいい。快刀乱麻を断つみたいな感じでないのがいいなあ。
たとえば「犬を飼う武士」。どちらも気に染まない縁談のある若い男女が、捨て犬の世話をするころから愛し合い、追いつめられて駆け落ちする。
これを両方の実家が二人を探す許可を求めて来た。それに対して半睡「そんなのは一家の私事。いちいち伺いなど立てられては迷惑。どうとでも好きせいとつたえよ。」「ほおっておけ」「知らんよ。わしは。」
許可して二人が捕まれば、少なくとも男は重罪。女は座敷牢。半睡は、両家に許可を与えず、言外に「やるならお咎めを覚悟してやれ」と言って、若者たちの味方になっている。
「知らんよ、わしは」、いいなあ。

このシリーズ以外でも、いいものが多い。「夫婦刺客」のユーモア、「伊賀の兄弟」の
真実の愛、「観音妖女」の深遠さ、いいなあ。
でも一番良かったのは、「投げ銛千吉」だなあ。何が良かったって、忘れちゃったけど、良かったという気分が残っている。
まあ、白石一郎は、まだ読んでないものがいっぱいあるので楽しみだ。