土を汚染されて

6月20日午後8時、NHKの「東北Z」と言う番組を見た。「原発事故が奪ったものは」と言う題である。

3年過ぎても現在進行中の原発事故の被害をインタビューを中心に構成していた。原発事故訴訟団(人数約2600人の最大の訴訟団)の人々のインタビューである。

桑折町のもも農家ー昨年高かった桃の値段が、8月8日暴落した。原発汚染水漏れのニュースで、桃とは全く関係ないのに。
         
相馬市の鮮魚店ー地元産の魚を扱っていたが、今はほとんどなし。試験操業の魚が今年3月、2種類で出荷停止となる。「汚染した地域に住んで食べていいんだろうか」という疑問が常に付きまとう。

飯舘村から避難した主婦ー夫は福島、自分は米沢、娘は東京、この生活が重くのしかかる。家族離れ離れの心理的・経済的負担の大変さ。

浪江町請戸の漁師ー昔から反原発運動をしてて村八分状態であった。今は原発津波被害
の見学者の説明ボランテイアをしている。

福島市渡利の保育園ー除染して園庭の土も取り換えて、はだしで遊ばせている。しかし、空間放射線量は0.223。園長「園を出るとどこにホットスポットがあるかわからない」

白河の喫茶店主ー奥様と娘は沖縄へ避難。夫と息子は白河。

須賀川の野菜農家ー息子「無農薬有機野菜は、飛ぶように売れた。東京でももっと作ってほしいと言われた。事故後は、福島産はねえ?と言う扱い」お母さん「土を汚染されてはどうしようもない」この農家の御主人は、2011年3月24日、自殺。

私もこの訴訟団の一人である。俄か百姓ながら、無農薬・半分有機肥料で野菜を作っている。出来たものの検査はした。不検出であった。ジャガイモを近所に配った。後から別な人から聞いた。「どこそこでは、お宅からもらったジャガイモ食わないで蹴飛ばしてたぞ」

そんなこともあるろう。頭には来ない。気持ちの問題だから。


NHKもいい番組を作っている。全国の人に見てもらいたい番組であった。

こんな中で、金目発言。金で解決できるのかい。中間貯蔵施設ばかりじゃないんだ。初めから原発は、お金の論理で動いていたんだ。

私は子どものころから、川・海で魚を獲って食べていた。あさり・しじみをとって食べていた。原発事故後はまったくやっていない。御近所もそうだ。山菜も含めりゃ里山・里海にかなり依存していた生活があった。GDPには貢献しないが、地に着いた安全・安心な生活があった。



本「里山資本主義」的に言うなら、初めから原発は、マネー資本主義そのものなんだ。マネー資本主義は、里山生活を困難にしてゆき、原発事故は、里山・里海に依存する生活の基盤そのものを破壊した。