「アンネの日記」と「きけわだつみのこえ」

私の愛読書の一つは、「きけわだつみのこえ」である。「きけわだつみのこえ」は、アジア・太平洋戦争時の日本人戦没学生の遺書・日記などを集めたものである。学業半ばに倒れた学生たちの悲痛な叫びである。しかし、それは軍国主義日本の大人の声である。アジア諸民族の多大の惨禍を与えた日本の大人の一人である。アンネが言うとおり、戦争を起こした責任の一端がある大人の声である。

アンネの日記」は、ナチスから迫害を受けたユダヤ人の少女の声である。戦争には、何の責任もない女の子の声である。

私は、戦後のドイツの行動を規定したのがこの「アンネの日記」じゃないかと思う。ドイツに永遠に厳しい自己反省を迫る日記である。このドイツの厳しい自己反省がEUを生んだのではないかと思う。

もし中国人少女による「杏音乃(アンネの)日記」があったら、そしてそれが日本でも読まれていたら、戦後日本の保守政治家の侵略や加害を否定するかのような発言はなかっただろう。
安倍政権も誕生しなかったろう。もしあれば、EUのような組織が東アジアに誕生していたかもしれぬ。「きけわだつみのこえ」を読んで私は反戦の意を強くするが、それを読む
のは、甘美な面もあることを否定できない。「永遠の0」の人気の秘密である。

かつて本多勝一「中国の旅」を読んだ。中国での日本兵戦争犯罪が生々しかった。読むのが苦痛であった。「中国の旅」には、批判も強かったことを覚えている。

自分の罪は、認めたくない、否定したい、見つめたくないのは人間の普通の心であるが、相手がいるなら、それをしっかり見なくちゃならないと思う。日本が韓国を植民地にしてたのはじじつであり、中国大陸に日本軍がいたのは事実なんであるから。


実は、中国にも韓国にもベトナムにも書かれなかった「アンネの日記」があったんじゃないかと思う。いや、書かれたが日の目を見てないのかもしれない。

我々は日本人はそれを想像せねばならぬと思う。

加害国日本。我々は戦勝国、米英中仏露のような普通の国になってはならぬのである。
彼らは侵略戦争を起こすことによって裁かれた経験がない。つまりは、今後侵略戦争と言う犯罪を犯す危険がある。自衛戦争国際法で認められるというが、吉田首相の言うとおり侵略戦争も、自衛の名で行われたことが多いのである。

イラク戦争は、米国の自衛戦争という大義名分で始まった。実態はイラクへの侵略戦争でなかったか。フセインがどんなに悪者でも、他国の政治体制を軍事力で倒していいはずがない。それが侵略と言うものだ。そんなことをする米国への攻撃を、日本も一緒に戦うというのが集団的自衛権である。日本が再び侵略国になってしまう可能性がある。

日本は、1951年独立した。独立した時点で非武装中立の道を選ぶべきであったとおもう。
今は、武装同盟である。まずは、安保条約=同盟をやめ、戦争があれば中立宣言をすべきである。その方が安全である。世界8位前後の軍事力=自衛隊を持っている。つまり武装中立である。そして自衛の名の侵略戦争をせぬためにも、自衛隊の海外派遣はしないとすべきである。PKOや海賊対策は、自衛隊と別組織でするべきである。

現状の武装同盟から武装中立さらに非武装中立へ日本国は目指すべきと思う。それが元々の日本国憲法の行き方である。

隣国は、大抵国家としてまとまっている。一応まとまっている国家間の戦争は、もう無理なんだと思う。
原水爆・テロ・生物化学兵器と言う武器や戦いを考えると、また、グローバルで相互依存経済に生きる現代国家は、戦争は無理なんだと思う。自国の利益を追求して戦争すれば自国の不利益になる。

武装では、侵略されないか?中国に占領されないか?日本人がユダヤ人の様にされる?
現代では、絶対あり得ないと思うが、もしあったとしても、そんな歴史を生きた人々をおもいだすべきだ。戦前の中国人!!、やユダヤ人や、アンネ=フランク。
私もそんな目に遭いたくない。でも、日本は、戦前の中国人たちをそんな目にあわせたんだ。
中国は「許そう、しかし忘れまい」と言う立場である。その立場に日本は同調していいと思う。日本は許されてしか生きられない国なのだと思う。
しかし、非武装中立を目指せば、戦勝国=力を正義の根源とする国家連中に模範を示せる、正しい道を示せると思う。そうなれば日本の方が上である。
日本が普通の国家になる必要はない。なるのは損である。イラクを侵略した米、ウクライナに軍事圧力をかけてクリミヤを独立させた露、米の戦争に追随する英、ベトナムの植民地支配を画策して負けた仏、自国の利益を軍事力を背景にごり押しする中国、そんな普通の国になる必要はない。


ナチスドイツは、中立のオランダを占領し、そのオランダでアンネは隠れ住んで日記を残した。

中国人を信用できないって?そんなら尚中国人は日本人を信用できないだろう。なにせ日本には中国を侵略した実績がある。

アンネが言うとおり、「仲良く暮らせばいい」んだと思う。その方法を考えればいいんだ。

>私の望みは、死んでからもなお生き続けること<(アンネ=フランク、1944年4月6日)

君は生き続けている。