中国経済は、大丈夫なんだろうか。

浜 矩子「中国経済 あやうい本質」という集英社新書を読んだ。経済音痴の自分が十分理解したとは言えないが、この本を読んで
中国経済の前途に不安を覚えた。
同書では、中国経済の特徴を次のように言っている。(私の理解の範囲で)

(1)中国の高度成長は、公共事業が繁栄と直結した若い体質(20世紀的)と労働者の過酷な労働環境(19世紀的)に支えられている。
そして、21世紀のグローバル経済に対応しようとしている、困難な経済だ。それを成長だけでここまで来た。成長だけの一輪車経済だ。(浜は、成長と競争と分配の3つが経済には大事と考えている)

(2)グローバル経済は、ヒト、モノ、カネが世界を駆け巡る経済だ。まずカネの面から中国経済を見る。カネには、通貨と金融と言う二つの面がある。
(あ)通貨の面。中国は、自国通貨=人民元を切り下げる(為替切り下げ)傾向を持つ。それは、2つの面でまずいことを起こす。一つは、人民元を市場で売るわけだから、国内は、インフレとなりバブル崩壊の危険が膨らむ。も一つは、世界的為替切り下げ競争
を引き起こす可能性が高くなるということである。為替切り下げは、各国通貨の膨張を生む。それが新興国に流れ込んでバブルを起こし、その崩壊を引き起こす危険があると言うことである。
(い)金融の面。金融とは、お金を融通し合うことで、その基礎には信用がないといけない。中国には、金融の経験が浅く信用が不足している。(私には、何を言っているかよくわからぬ)

(3)モノの面。
モノの通商の面で中国は、近年ダントツに大きい地位築いてきた。中国製品が世界中にあふれている。しかし、中国製品の多くは、外資系が生産している。つまり、中国は世界の工場と言うより、「世界が中国を工場としている」というのが正しい認識である。経済は、国家を超えている。<どの国も全ての国の存在を必要としている>
これまで各国は、輸入→国内生産→輸出→逆輸入と言う発展をしてきた。現在のグローバル経済では、各国の企業が有機的生産体系に組み込まれている。

(4)ヒトの面。
「上海にはカラスはいない。貧しい人々が全ての残飯を持ち去るから。」中国版格差の問題である。中国経済には、格差・貧困問題以外に、賃金上昇問題(生産年齢人口減少)、インフレ問題、民主化の課題、内需の弱さ、外資系企業の国外流出、投機マネーの流入→バブル→バブル崩壊の問題がある。

(5)筆者の結論
中国経済は、上のように様々な問題がある。そのうえ、少子高齢化と言う背後の大問題がある。他国もまた多くの病弊を抱える。日本は、既に成熟社会になったのに、昔の成長を夢見る「大人になりたくない病」、アメリカは、「王様幻想病」、欧州は、「遅れてきたスター病」、中国は「大人になりきれない病」と言える。グローバル経済のもとでは、一国の病は、みんなの病をひどくする。中国には、大人になってもらいたい。

日中の対立の激化が言われる中、中国を理解しようと思ってこの本を読んだ。中国経済の危うさが伝わってきた。そして、その経済の
崩壊は、世界中に巨大な影響を与えると思った。日本は影響の最も大きい国の一つだろう。日本の経済を支えた一つは、中国の経済成長なのは間違いない。また日中は、資本・生産・技術・労働・販売で抜き差しならない関係にある。私も、中国の経済の安定を願う。

それにつけても、現政権の視野の狭さよ。
安保状況の激化=中国脅威論→米国と一緒に対抗→集団的自衛権行使と言うことでしか行動してない。日中米がお互い経済的断交なんてまったくできない。それぞれが国民生活が立ち行かなくなり、政権は倒れる。経済的断交や戦争なんてできっこない。

いやーそんなこと、日中米どこの国の政府もわかっているんだと思う。わかっていながら何故お互いの脅威を言い募るか。もちろん
日中米の産軍複合体とそれに付随する官僚、政治家の自分の利益のためだと思う。彼らは、お互い対立しながら(それを演出?しながら)お互いを必要としあっている。

日中米の国民は、騙されちゃいけない。