ウヨクもサヨクもない

今日の朝日新聞はいいなあ。
第二次安部内閣についての、毒にも薬にもならない社説ではもちろんない。

その隣のオピニョン欄である。

まずは、日本語学者金田一秀穂さん。かれは言う。
安倍首相の言葉は、「軽い」だけでなく人を説得しようという意思が感じられない。言葉と行為は別と考えているんじゃないか。
まったくその通り。言葉なんて、人をだます道具と思っているのだと思う。彼のいう「積極的平和主義」が象徴的だ。その実態は、海外で、米国のため、自衛隊の軍事力を使うと言うことだから、平和主義じゃない。
近頃言いだした「地方創生」なんてのも、言葉が実態を表さない。沖縄県民の多数が反対する辺野古移転を強行する。これって地方創生じゃなく、地方殺しだろう。少なくとも地方無視だ。沖縄は、地方じゃないのか。
地方再生という言葉は、統一地方選向けの宣伝文句、人騙しの言葉そのものですね。
法人税を払っているのは、中央の輸出関連の企業だろう。その税を減税するなんておかしいよ。減税せず、地方に回せよ。そのカネを地方創生に使えよ。
原発を「アンダーコントロール」なんて、、アン、コントロールの言い間違いだろ。

次に、小林よしのり氏。
彼曰く。「ネット右翼は、ただ日本人だけですごいと言っているようなもの。安倍政権は、新自由主義で、アベノミクスは、大企業や株主利益重視だ。原発輸出は、道義に反する。自然エネルギーに総力を注いで戦争の可能性を極小化すべき。左翼の論理に耳を傾けず、靖国に参拝すれば、なにはなくとも称賛される、そんな思考停止は、大問題だ。」

まったく同感だ。何の異論もない。あれー、小林さんは、右翼じゃなかったけ。そういえば、新右翼一水会の鈴木さんも、集団的自衛権行使反対だったな。

もう右翼もサヨクもないな。何が正しいか、それだけで考えるべきだ。日米同盟は、抑止力を高めるか、戦争誘発剤か。アベノミクスインフレターゲット政策は、国民生活を良くするか、悪くするか、TPPは、国民生活を良くするか、悪くするか、自衛隊の海外派兵は、国益にプラスかマイナスか、東電は解体すべきか、存続させるべきか、
もう右翼、左翼なんて決め付けは意味がない。決めつけは、逃げだ。思考停止だ。楽のしすぎだ。さぼりそのものだ。

最後は、池上氏の「新聞ななめ読み」だ。いわくつきのコラムだ。彼の主張は、従軍慰安婦についての朝日新聞は、(1)「誤報かな」と思ってからの検証が遅い、不十分、その結果の発表が遅すぎ、(2)他紙も同様の報道をしているなんて言い訳だ。潔くない、(3)間違いを認めてるのに、謝罪がない、というものだ。池上氏の言説を朝日新聞は、批判ととらえ、掲載を拒否した。それに対して池上氏は、連載拒否で対抗し問題となった。
結局、朝日新聞が負けて、今日のコラム掲載となった。
これは、朝日新聞が間違っている。批評してくれと頼んでおいて、それが自分への批判になったから掲載しないじゃ、筋が通らないよ。まるで駄々っ子だ。人は間違うという大前提を忘れている。
池上氏が言うとおり、間違ったら謝罪するのは常識だ。朝日新聞の姿勢は矛盾している。
同紙は、従軍慰安婦は間違った行為なので、謝罪せよという姿勢だろう。なのに今回は、間違っていても謝罪したくないと言っている。他人に厳しく自分に甘い。謝罪したくないという気持ちはわからないでもない。でも、まともな大人なら謝罪する。まして新聞は公器だ。
今回、ネット炎上にあわててと言うこともあろうが、社内の記者の批判もあって掲載になったとのこと。ホットした。まだ記者魂のある記者がいる。朝日新聞は、マスコミの中では反権力と言う姿勢があると思う。権力の正・不正は別にして批判的にみるというのはだいじなことだ。その意味で朝日を支持する。
遅ればせながら、池上氏の言うとおりになってうれしい。

人は間違う、国も間違う、民族も間違う、朝日も間違う。間違ったら謝罪する。それでいい。これを私も自戒としよう。