新春恒例の新聞社説読み比べ

私の元旦の習慣は、主要紙の社説を読むことだ。今年も早朝駅に行き、読売・毎日・日経
福島民報を買ってきた。購読している朝日とで5紙となる。毎年は、手書きの日記(5年用メモ欄)に要点・感想を書いているが、今年はブログに載せよう。

(1)読売
<要点>
選挙で信任されたアベノミクスの推進・補強をせよ
 肝心の第3の矢に力を注げ(農業・医療分野の規制改革・原発再稼働・TPP決着等)
人口減社会への対応をせよ(後発薬推進・高齢者の医療費削減策以外の策を示さず)
財政健全化(特に対策を示さず)
台頭する中国に備えるため日米同盟の強化(集団的自衛権法制化、辺野古移設を進めよ)

<感想>
毎年同じだが、政府追随の政策を羅列しているのみ。今年は特に羅列的。読者を説得しようと言う姿勢が感じられない。自公大勝で読売も気が緩んだのか。まあ、これから各論を展開するんだろうけど、主張の違いを別にしても、つまらぬ社説。

(2)毎日
<要点>
現在の日本と中国・韓国の冷たい関係の根本は、それぞれの序列意識にある。
近代日本はアジアで抜きんでた先進国であった。戦前の軍事大国、戦後の経済大国を支えたのは、アジアのトップと言う序列意識であった。現在中国・韓国が国力を増大させ、日本を見下す面も出てきた。中韓両国も日本同様序列意識に左右されている。
それぞれに、歴史文化で誇るものがある。日本は、過去の栄光を取り戻すのでなく、中国・韓国と共生を考え、東アジアの連帯に率先努力すべきである。

<感想>
東アジアの問題の根本をそれぞれの国の序列意識ととらえて論を展開している。主張はまとまっている。
どうだろう、儒教圏と言うことで、日中韓に序列意識があると言う考えは。儒教は、人の間に序列(主従や指導・被指導)があることが安定して、いい状態と考える。
毎日は、問題の原因を指摘しているが、解決法を提示していない。我田引水で言うと
、「解決法は、国際法と言う法治主義の強化」と言う方向ではないか。

(3)日経
<要点>
経済のグローバル化と中国の台頭は、米国中心の国際秩序を揺るがせている。経済のグローバル化は、格差を拡大しそれがナショナリズムをあおる。
台頭する中国を排除するのは無理で、法の支配のもと今の秩序に引き入れていくべきだ。
今年発表を予定している首相談話は、戦後の平和国家70年の歩みを反映したものだあるべき。国民的反省力が武器であり、それを磨くべき

<感想>
私も論旨に異論はない。日経は、安倍政権の戦後レジームからの脱却が戦後の世界秩序否定になることを恐れているようだ。日経はアベノミクスにどのような評価を与えているのだろうか。一月三日頃の社説かな。しかし、積極的に見る気はない。

(4)朝日
<要点>
戦後70年という節目の年に考えるべき歴史は、もはや国毎の歴史では間に合わない。
国ごとの歴史は、正当化しがたい時代を忘却することがある。自国の歴史を相対化し、歴史を世界全体の動きとしてとらえるべきだ

<感想>
高名な学者の論を引きながら格調高くまとめたつもりのようだが、言っていることは当たり前のことであり、だからどうなんだと言いたくなる。大した中味のない論を展開している。題は、「自虐や自尊を乗り越えて」と言う題だが、そんなこと当り前のことだ。突っ込み不足とかっこつけと言うのが私の感想だ。

今年は、戦後70年。1960代末から2000年代末までのGDP世界二位は、誇って良いことと思う。その基礎は、逆説的であるが敗戦の経験だろうとおもう。近時中国に抜かれたが、10倍の人口を持つ国に抜かれるのは当たり前だ。その経済的達成は若い国であったからできたことと思う。もう老人大国。無理はしてはいけない。アベノミクスは無理しているのだと思う。
戦後70年、戦争で他国民も自国民も殺さなかったことも誇ってよいことだ。米英露仏中の国民も平和を志向していると思う。しかしそれが出来なかった。それにはいろいろ理由はあろう。根本原因は、軍事力への信仰だと思う。
日本は、平和的手段で平和の維持をすべきと思う。その道を示すのは、世界にも希望を与えると思う。日本は、日本国憲法の理念で生きていくべきである。

ブログ知人の皆様、今年もよろしくお願いします。