映画「日本の一番長い日」感想

デモに参加する前、場末という感じの映画館で上記の映画を見た。

昭和20年8月の終戦決断とその前後の激動を描いた半藤一利原作の映画化である。
原作は、聖断が下った後、青年将校の動きを抑え玉音放送に到る動きを中心に描いたような印象を受けたが(昔昔読んだ本なので記憶が怪しい)、映画は、阿南陸相を中心に描いた様である。一方天皇・総理大臣及び書記官・内閣・青年将校たちを並列的に描いているようにも思えた。

感動はなかった。
俺の知識では、良くわからなかったからだろう。青年将校たちの対立関係、陸軍内部の対立がさっぱりわからなかった。
また並列的な描写も感動を薄めた原因かもしれない。

やはり思ったことは、聖断がもっと早ければ犠牲はもっと少なかっただろうと言うことである。色川大吉の「ある昭和史」を再読したい。

も一つ思ったことは、戦争指導層(天皇・内閣・軍部等)と国民の乖離、軍指導のエリート層と前線の将兵の乖離である。この映画上映の前には、かの人肉食「野火」の映画の宣伝があった。この巨大な覗きこむと底の見えないような深い乖離。

一国の敗戦という巨大な歴史、これを描くのは難しい。映画でも小説でもドギュメントでも切り口の問題である。普遍につながるある切り口。この映画は、切り口がはっきりしなかったのじゃないかと思った。