核発電事故不条理2題

昨日、内堀福島県知事が富岡・楢葉両町に100億円を交付すると発表した。(TV・新聞)両町が、エコテック整備計画の受け入れをしやすいようにするためである。
エコテック整備とは、「フクシマエコテッククリーンセンター」という、福島県内の放射能を含む特定廃棄物の最終処分場建設のことである。同知事によれば、(1)地域復興に使い方の自由度の高い100億円で、(2)国の交付金で対応するのが難しいものは県の一般財源で支出し、(3)交付金の表明は、この施設の受け入れとは別、とのことだ。
これから両町は、協議が始まると聞く。富岡町長は、受け入れに前向きという報道もあった。朝日新聞には、「放射性廃棄物搬入断固反対」という看板の写真が出ている。

交付金とこの施設の受け入れは別と知事は言うが、それなら受け入れなくとも100億出すと言えば良い。そうは言わない。反対の動きがある中のことである。受け入れの代わりの交付金ということが見え見えではないか。金をくれるから迷惑施設を受け入れてほしいということだ。沖縄の基地負担の代わりに補助金交付と同じ構図である。

福島県全体の復興のために、放射性廃棄物の処理場が必要なのはわかる。それぞれの地域の邪魔になっているのは間違いない。しかし、これから住民帰還を進めようとする両町に押し付けていいものか。不条理である。

3日前TVでこんな哀しいニュースが流された。
福島県浪江町畜産農家が、宮城県白石市から放射能汚染牧草を譲り受けて、牛のえさにしていることに対して、浪江町長が白石市に抗議をしたと言うニュースである。白石市は、汚染された牧草の処理に困っている。浪江町畜産農家は、牛に食べさせる牧草に困っている。そこで白石市の牧草を譲り受けた。この畜産農家は、国の屠殺命令に対して、意味なく殺すのは忍びないと言うことで、出荷はできなくとも放射能被害の研究のため飼ってきたのだ。浪江町長は、住民帰還を進めるているのに、他町村から汚染物質を持ってこられるのは困る、と言うことで抗議したわけだ。哀しい対立である。

こんな地元の不条理や哀しい対立の向こうで、国・東電は、原発事故なぞなかったようである。国は原発再稼働を進めている。原発事故の責任を認めていない。東電も同じで、原発事故補償の打ち切りを画策している。そして利益を上げて株主配当を目指していると聞く。どこかおかしくないか。

地元の南相馬市に若松丈太郎という詩人がいる。生涯を通して反原発を貫いてきた詩人である。彼は、原子力発電とは言わない。核発電という。私も今日は、核発電と言いたい。