僕は、戦後の日本は素晴らしいと思う

白井聡氏「永続敗戦論」を読みました。

部分部分では、6割ぐらいはわかり、なるほどと思うところもあるのですが、肝心の「何を言いたいか」というのがまったくわかりませんでした。副題が「戦後日本の核心」という通り、戦後日本とは何か、どういうものかということについての論考だとは分かりました。

では、戦後日本の核心とは何か。彼は、戦後の日本は、永続敗戦の状況だと言いたいようです。

「敗戦を否認してるがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、深い対米従属を続けている限り、敗戦を否認することが出来る。かかる状況を私は『永続敗戦』と呼ぶ。」(p48)これが定義なんですが、これがさっぱり分からない。

この文章の後で、これは自民党など戦後の政治をリードしてきた保守層の行動を言っているとは分かりました。それを日本全体と同じと見ているわけです。
話を簡単に、保守層と言っておきましょう。保守層は、大日本帝国は負けていないと考えるけれど、それを徹底することはできないので(対米英戦再開しないといけないので)国内・アジアには、敗戦を否認し、米国には臣従を続ける、これを永続敗戦状態というのだそうです。

この保守層を白井氏は、「戦後民主主義」を否定する人々とも言ってますので、安倍さん一派で考えてみましょう。

安倍一派は、事実、対米臣従を続けています。安保法制がその典型です。そして、村山談話河野談話を否定したいと言う心情があります。それは大日本帝国はそれほど、悪いことをしていないと言いたいためでしょう。ですから、彼らは、「敗戦を否認し、対米臣従を続けている」と言えるかもしれません。


それにしても、敗戦否認→対米従属、対米従属→敗戦否認というこの→ができません。
敗戦を認める故対米従属(負けたんで言うことを聞かなきゃいけない)というのならわかるのですが。言うことを聞かざるを得ない、負けたので、ならわかるのですが。

安倍一派、保守層=日本というのも理解出来ません。もっといえば、「戦後民主主義」を
できるだけ否定したい人々=戦後日本というのも理解出来ません。

自民党を選んで来たのが国民ですから、日本と言ってよさそうだとも思いますが。

この2日間、白内障の目と貧弱な読解力と根性のなくなった脳みそで読んだ結果は、
「分からない」ということでした。ですから、「戦後の日本は素晴らしい」と言う私の考えは変わりませんでした。(昨日眼科白内障の薬をもらいに行ったら、左目に緑内障の疑いとか、いやになっちゃう)

戦後日本が素晴らしいというのは、全体的に見て(悪いところも当然ありますが)、かつ相対的に見てです。つまり、戦前の日本と戦後の同時代の他国と比べてです。1960年代後半から2000年代まで約40年間GNP(後GDP)自由世界2位、格差の比較的少ない社会、安全な社会、他国民を殺害しなかった、謙虚であった等々です。戦前の日本は、多くの国民は、貧乏で人権も不十分でした。勿論他国侵略もしました。戦後、経済力・軍事力世界一位の米国は、朝鮮・ベトナム・南米・イラク等々で他国民を殺害しています。

その素晴らしさの基礎は、日本人全体の勤勉さ、優秀な若年労働者の多量の存在(人口ボーナス)と日本国憲法であったと思います。基礎になった憲法とは、日本国憲法の人権保障と平和主義です。
それは正確にいえば、日本国憲法を根拠に「人権保障と平和主義を守ろう」、もっと徹底しようとする人々の行為の全体です。政権を維持してきた自民党とその支持者には、人権と平和主義の考え方については、いろんな考えの人々がいたと思います。
また、強力な社会党という存在=社会主義を目指さなくとも、人権と平和主義では、社会党を支持する広範な国民がいたと思います。この自民党社会党の闘争及び協力・利用が戦後の日本の政治を動かしてきたのだと思います。

もはや、人口ボーナスはありません。故に経済成長は無理です。社会党という人権と平和主義では、強力な政党はありません。これからは、日本国憲法を根拠に、原則、個人で人権と平和を守っていくしかありません。(安倍自民党の作った憲法改正草案は、人権軽視、国外での戦争肯定の草案です)

尚、白井氏は、1977年生まれとか。戦後の風景も私などとは、随分と違って見えているのでしょうね。若い人には、日本の現状への不満があるんでしょうね。それは、安倍政権の政策では、解決されないと思っています。