オバマさん、「謝罪の立場」に立ってください

今月下旬、オバマ米国大統領が広島を訪問することが決まりました。それに関連し大統領にお願いがあります。無理を承知でお願いします。

日程がまだ未確定で、その場のスピーチの形式や内容も良く決まってないでしょうけど、出来るだけ、「謝罪の姿勢」を明らかにしてほしいと思います。私のお願いです。

それが難しいのはわかります。貴国民は、「原爆投下を正しい、やむなし」の両方を含めると、今もって過半数が肯定的ですから、米国大統領としては、「間違った行為だった、故に謝罪する」とは言いにくいと思います。

しかし、1899年ハーグ陸戦条約以来の様々な条約で、いやもっと前から、戦争下でも「武器を持たぬ一般人を、武器で殺すのは良くない」と言う人間の常識があると思うのです。原爆投下は、この常識に反した非人道的行為ですし、これらの条約違反の犯罪行為だと思うのです。

そうじゃないという理屈も、いくらでも立てることが出来ると思います。

しかし、あなたが、「武器を持たぬものを殺すのは悪いこと」「条約にも違反している」という立場を鮮明にすれば、その理念が力をえます。世界を大きく平和の方へ動かします。それは、「戦争を間違ったもの」と言う方向に、人類を大きく動かします。

あなたと並んで花束をささげだろう安倍首相は、第二次世界大戦での日本の侵略や加害を出来るだけ認めたくない人です。あの戦争での日本を間違ってなかった言い張りたい人です。(「侵略の定義は決まっていない」と言う発言、靖国参拝実施、「村山談話」や「河野談話」を否認したい(結局否定できませんでしたが)等等です)また、政府の要人の、「憲法核兵器保有も可能」と言う発言を、否定しない人でもあります。

そんな首相を戴く一国民が何を言うか、お前のいうことなんぞきいてられないとおっしゃると思うのです。それは当然です。

かつて国際司法裁判所が「原水爆は違法と言う勧告的裁決」を出した時、つまり「原水爆による脅威や使用は、合法か違法か」と言う裁判の時、裁判所は各国に考えを聞きました。その時日本国は、(貴国もそうですが)はっきり違法という意見をいわなかった国家の一つです。日本は、戦争による唯一の被爆国なのにです。

そんな日本国の一員が言うことは、効く耳持たないと考えるのは当然です。

南京を訪れて日中戦争の反省をしたとか、虐殺の謝罪をしたとか、そんな現職政府要人を
もたない国家の一員のいうことなんぞ、聞く価値なしと考えるのもこれまた当然です。

しかしながら、貴国は第二次世界大戦の勝者です。ファシズム諸国を倒し、自由・平等・人権・平和を戦後、世界に広めた正義の国家です。

敗者が「原爆投下」は間違っていると言うのは、勝者批判を含み、正当性が弱くなります。
しかし勝者が、「原爆投下は間違ってた。申し訳ない」と言うのは、勝敗以上のもの=ルールがあると言うことを世界に示すことになります。そのルール、武器を持たぬものを武器で殺しちゃいけないと言うルールが、今後世界を導いていくことになると思います。

無理を承知でお願いいたしました。
謝罪は、言葉に明確に出さなくとも、核兵器の非人道性や違法性を明確に出していただきたいと思います。

かつてスミソニアン博物館で原爆被害の悲惨さを展示する催しが出来ななかったことがありました。それに比べれば、あなたの広島訪問は、平和への大きな一歩です。

原爆を投下した国家の現職大統領が広島の地を訪れること、それは間違いなく平和への一歩前進と思います。何もしなくとも、何を言わなくともです。感謝します。