アベノミクスはうまく行っているか、失敗策か

前もって言っておこう。
英国のEUからの離脱という出来事は、今後日本経済=アベノミクスに影響を与える。しかし、アベノミクスに暗雲とか、アベノミクスが危ないと言う言い方は、3年半のアベノミクの成功・失敗の判定に関係ないことである。つまり、英国・EUの離婚事件以前のアベノミクスの3年半の判定をしなければならぬ。但し、年金保険料をこれまで以上多く株に突っ込んだという政策の是非は問わねばならぬ。

閑話休題
参院選では、自民党公明党などがアベノミクスうまく行っていると言い、民進党共産党社民党・生活は、うまく行っていないと言っている。政権党は、アベノミクスは「道半ば」でもっと進めさせてほしい、これが今度の選挙の争点だと言っている。与野党で見解がまったく違うので、私もまったくの素人であるが考えてみたい。

アベノミクスは、異次元の金融緩和、機動的財政出動、成長戦略の三本の矢で、デフレからの脱却(=インフレにして)をして、それで経済成長をもたらし、国民生活の向上を目指すものであった。異次元の金融緩和と財政出動を行うため、2013年47兆、2014年55兆、2015年57兆、2016年60兆と、国債発行を増やしてきた。(民主党政権では、38兆→44兆→43兆→45兆円)結果から言うと、インフレ目標%には、遠く及ばず、実質経済成長率も良くて1.4%、悪いと−0.0%、平均0.6〜0.7%であった。この時点で、もはや失敗と言える。自公政権は道半ばというが、世界経済が大きな波乱もなくおおむね回復基調にある中で、3年半もやった結果がこれなので、アベノミクス作戦は、失敗したと言える。大きな副作用は、異次元緩和・財政出動国債発行残高=借金の積み増しである。(2013年744兆→2016年838兆円)

結論:アベノミクスは、民主党時代より、毎年国債を10兆円〜15兆円以上多く発行し、国家の借金を大きく積み増したが、インフレは%目標には遠く、実質経済成長率は、%にもならなかった。結局アベノミクスは間違った作戦と言える。これ以上続けてはならない。

安倍首相は、税収増を宣伝するが、国債発行額−税収を計算して見れば分かる通り、(2009年は、+0.3兆円=税収が0.3兆多い、2010年は、−2兆円=税収が2兆円少ない、同様に、2011年+0.3兆、2012年−1.3兆円、2013年+0.1兆円、2014年−0.6兆円、2015年−0.2兆円、2016年−2兆円)民主党時代とアベノミクス時代で、ほぼ同じであり、借金を増やして、お金を政府が多く使った分が、税収が増えた分に回っただけと言える。安倍首相の自慢は当たらない。いい政策であったとはいえない。

(2)国民生活では

平均年収:  2010年 412万円→ 2014年415万円(資料がうまく見つけられない)
実質賃金指数   2010年 100  → 2015年 94 (アベノミクス開始からずっと減少)
個人金融資産合計:  2011年 1483兆円 → 2015年 1741兆円
企業業績     2013年 20兆円 → 2016年 33兆円
東証一部上場企業)
消費者物価指数 2010年  100  →   2016年 103
有効求人倍率  2012年  0.8  →   2016年 1.2
日経平均株価  2012年  9500円 →  2016年 1万6千円
円相場      2012年  80円前後 → 2016年 105円前後(円安)
>>>見ずらくてごめんなさい<<<

企業業績と個人金融資産は大きく増えたが、平均年収は増えず、実質賃金は減少していると言うことである。つまりは一部上場企業(大企業)と金持ちには有利な政策であり、多くの庶民には不利な政策と言える。(格差拡大を進める政策と言える)

尚有効求人倍率の上昇は、この4年間、60代の退職者が増えた結果、労働人口が減り、それを補うため求人倍率が増大したと考えられる。また、東日本大震災の復興需要(土木・建設・除染作業)、医療や介護の人手不足が求人倍率を押し上げていると思うので、アベノミクスの成果ではないと判断する。

円安・円高はそれぞれ、良い点・悪い点あり、アベノミクスの評価の判断材料にはならない。

日経平均株価の上昇は、アベノミクス(円安)の成果である。私は株価上昇をアベノミクスの唯一の成果と考えている。つまりは、株を持っている人は、自分の儲けからだけ言うと、アベノミクス万歳=自公政権支持になるのは当然と言える。逆に、アベノミクスは、多くの庶民には悪い政策と言える。故に政権の言う、アベノミクスの加速は、大企業・金持ち優利、庶民不利=格差拡大を推進するだけである。

まとめ
(1)アベノミクスは、借金を増やした割には、経済成長はできなかった、すなわち失敗の政策である。
(2)大企業の業績は向上し、個人金融資産は増大したが、賃金生活者の生活水準は低下した。大企業関係者と金融資産を増やした人(退職金で金融資産を増やした人は別)には良い政策であるが、一般の賃金労働者には悪い政策である。

追加
資料をうまく見つけられないので確定的なことは言えないが、金融資産の増加は、退職金の増加(定年退職する人口が多い時なので)が影響してると想像する。金融資産の増加には、勿論株価上昇の影響もある。

蛇足
年金のみでの生活者には、少々のインフレと、物価上昇よりも低くしか年金を上げないと言う制度(名前忘れた)により、生活は苦しくなった。ただし、この制度はアベノミクスとは関係ない。アベノミクスが負うべき責任は、少々のインフレを起こした分である
アベノミクスが大成功してインフレが大きく進んだら、年金生活者は、大変になる。すなわち、年金のみで生活する人にとって、インフレ目標の経済政策(=アベノミクスもその一例)は、悪である