ホントの和解と和解を平和へ

今日は12月8日。70年以上前日本陸軍マレー半島上陸に続いて日本海軍の真珠湾攻撃の行われた日である。太平洋戦争の始まった日である。
この年末、安倍首相がハワイでオバマ大統領と会談し、真珠湾アリゾナ記念館を訪問することとなった。

先にオバマ大統領が広島を訪問し、原爆資料館を訪れた答礼である。

米国は広島に対して加害者である故、オバマ大統領が広島に来ることは、大変であったろう。日本側がそれに対し何も答えないのはまずい。故に、日本が攻撃した唯一の米国領土であるハワイを訪問するのは、当然のことであり、良いことである。

官邸サイドは、この首相のハワイ訪問の意義を、太平洋戦争の本格的和解と日米同盟の絆を世界に発信することとしている。そして官邸サイドは、慰霊と平和への決意を再確認するのであり、謝罪ではないと言っている。マスコミも、政府の考えに同調しているようである。

慰霊や平和の決意のための訪問と言うのは、なんとなくわかる。日米同盟の絆の確認と言うのも、現状では、良いと思う。あるべき日米関係をどうするかは別としてだが。

しかし和解と言うことと「謝罪ではない」と言うことには、しっくりこない。謝罪しないでホントの和解ってできるのかと思うからである。和解がその後の平和に結びつくためには、謝罪が必要じゃないかと思うからだ。

裁判の和解とは違う。裁判の場合には、争いに決着をつける権力があり、その権力が、この辺で妥協しないかと言うものである。

しかし、広島や真珠湾の場合は、敵対しあった双方で、仲直りすると言う和解である。裁判のような権力はない。敵対しあった双方が仲直りをする場合、「アー、あれは俺が悪かった。ごめんよ」というのがホントの仲直りの筈である。何が悪かったかを謝罪してこそ、ホントの和解になるのじゃないかと私は思う。

米国が広島に対して行った悪い行為は、原爆で一般市民を無差別に殺すと言う、戦時国際法違反である。日本が真珠湾で行った悪い行為は、戦闘行為は宣戦布告してから始めると言う、戦時国際法違反である。加藤陽子「戦争まで」によれば、連合艦隊機動部隊のの通告前攻撃は、日本外務省が意図的に絶対間にあわないタイミングで、ワシントンの出先に「宣戦布告」電報を送ったのが真相と言う。もしそうであれば、安倍首相は、外務省が悪かったと明確に謝罪すればいい。

戦時国際法国際法は以前からあり、今もある。しかし、これらの国際法には、強制的に主権国家を従わせる、国内での裁判所のような権力はない。また、戦争で勝った側のいうことがいつも正しいとは言えない。力が正義と言うことなら、平和なんぞ、とうてい望めない。これまで非力なのでやられ続けた中国は、強力になった今、国際海洋裁判所の裁定を無視している。ロシアも力で勝ちとった北方領土をなかなか返さない。しかしそれは正義ではない。平和を求めるならば、各国が国際法に自主的に従う他あるまい。その率先垂範として、日米は国際法違反を互いに認め、謝罪すべきと思う。国際法に従うと言う態度を示してこそ、中国やロシアに国際法に従えと言えるのだと思う。

オバマ大統領には、一般市民を殺傷する兵器使用したことへの謝罪を言ってほしかった。謝罪がしにくいなら、戦時国際法違反への反省を言ってほしかった。それでこそ、広島市民や日本国民が心から納得出来るのである。

安倍首相には、真珠湾で宣戦布告以前の攻撃を謝罪してほしいと思う。それでこそ米国市民のわだかまりはホントに解けるだろう。

さらにまた、安倍首相には、適当な時・場所を選んで機会あるごとに、戦後の米国と戦後の日本の違いを明確に述べてもらいたい。戦後の米国は、第二次大戦以前と同様、最終的には戦争で物事を決めると言う国家であり、戦後の日本は、戦争で物事は決めない国家であるということを明確に言ってもらいたい。日本は、自国領土を侵略された時以外、交戦権を行使しない国家であると言うことを明確に言ってもらいたい。国際法の原則に従って生きると言ってもらいたい。

あの戦争の事でいつも思うのは、中国とのことである。米国と日本は、相変わらず日米地位協定や沖縄と言うとげがあるが、まあ仲良しと言っていいだろう。しかし、太平洋上で日米が激しく戦っていた時、日本陸軍主力は相変わらず中国にいて、中国政府軍(国民党軍)や中国共産党軍と戦っていたのである。
大きく言うなら、日本国民は、国家の命令で兵士となり中国領土を占領し、一般国民を殺傷した。一方、日本国民が兵士となって、米国領土を占領し一般民を殺傷したことはない。中国国民が兵士となり、日本領土を占領し一般日本国民を殺傷したこともない。戦争の加害・被害で言うなら、日本による中国国民への加害は明白である。中国との和解と仲直り、これをホントに気に掛ける必要があると思う。安倍首相が、南京に行って一般国民を殺傷するという戦時国際法違反をしたことを謝罪するのが筋なのである。それが難しければ、満州事変の鉄道爆破地点に行って、侵略の謝罪をするのが良い。それが中国の日本領土への侵略を抑止する力となる。