鳩山さんが応援に来た

1月30日、生業(なりわい)原発訴訟の原告として、福島地方裁判所へ行きました。よほど雪が多いのかと心配しましたが、ほとんど雪はありませんでした。また、冬には珍しいような暖かい日でした。

元東電社員の人のあいさつ。後ろの「あぶくま法律事務所」というのが、私たち原告のお世話になっている弁護士事務所です。

福島地方裁判所へ行進する原告団。この日は350名参加と事務局から発表がありました。

私には傍聴券の割り当てがなく、裁判所に入る原告を反対側から見送りました。

裁判所に入れなかった原告団は、鳩山由紀夫さんの講演会の会場である音楽堂に移動しました。鳩山さんは、民主党第一代の首相です。ずいぶん昔のような気がします。
彼は、原発事故の時はすでに首相を退いていて、自分たちで原発対応チームを作っていて(Bチーム)、水棺でなく石棺を提言したそうですが、菅直人政権に無視されたとのことです。彼の話は、特にお題はなく、本人も言う通り、雑駁な話でした。一番言いたかったのは、福島と沖縄は差別されていて、福島と沖縄の人たちの原発反対や辺野古基地新設反対の運動が、民主主義の基礎であるということのようでした。

講演する鳩山由紀夫氏。
「沖縄への一番の差別は、松代大本営設営の時である。阿南陸軍大臣は、1945年6月22日、松代大本営の完成を見て、沖縄防衛最高責任者牛島中将に電報を打った。その翌日牛島中将は自決し、沖縄での本格的抵抗は終わった。つまり沖縄軍民は、松代大本営天皇三種の神器を守るための捨て石に使われたのである」

私たちが一番聞きたくて、彼が一番言いたいことは、彼が首相の地位を失った辺野古基地についての「最低でも県外」を撤回して、辺野古回帰したことでしょう。彼は、このことについて次のように言いました。
「秘密の日米合同委員会というものがあった。秘密故総理の私も知らなかった。米軍高官と日本の官僚の会議である。米政府高官と日本の官僚の話なら分かるが、軍人と官僚の会議、元々奇妙な会議である。これが大きな力を持つ。私は、沖縄以外の海兵隊基地を探すよう官僚に命令していた。2010年4月19日外務官僚が一枚のペーパーを持ってきた。米軍からの説明ペーパーである。その趣旨は、北部訓練基地の120キロの範囲ないと海兵隊は訓練できないとのことであった。120キロ圏内というのは沖縄県内ということ。私はこれに騙された。その後知ったことだが、米軍も米国領の二か所に海兵隊基地移転を研究していた。官僚は探すふりして探してなかったのだ。私があほだったのだ。米国と官僚に対抗する力が私にはなかった。私の指示は、米国に筒抜けだったのだ。米国とツーカーの官僚にやられた」

これは事実でしょう。しかし鳩山氏は、もっときっちり考え対応すべきだったのだと思います。「軍事抑止力減少より、沖縄差別をなくす」ということを優先すべきだったのです。そこからは覚悟が出てくるはずです。米国指導部と直接の交渉を強力に進めるべきだったのです。残念です。場合によっては安保条約破棄という覚悟で臨めば違っていたはずです。自公政権は、辺野古新基地建設に努力していますが、それができても、問題は解決できません。沖縄差別と米国従属=敗戦の構造が続くだけです。

日本国は、日米安保条約なしの安全保障方式を考え出すべきなのです。憲法の理念(厳密な意味での専守防衛)と戦後の実績、世界8位といわれる自衛隊の軍事力、国際法・国際司法制度・国連の利用、平和外交、まだ世界三位の経済力、世界へ貢献できる科学技術力、外交戦略、被爆体験、侵略と敗戦の歴史、この辺を基礎に構築すべきと思っています。戦前回帰でも米国従属でもない道を模索すべきです

鳩山氏のほかの話で印象に残ったこと
「ヒラリーよりトランプでよかった。ヒラリーでは、自衛隊が間違いなく米国の戦争に使われる」
「安倍さんは、トランプを操るつもりかもしれないが、操られる可能性が高い」
「安倍政権の支持率が高いのは、民進党がだらしないことと、安倍政権がメデイアをうまく操っているからだ。メデイアは、安倍さんの悪口を言わない。安倍さんはTPPのことでトランプに怒られていた。トランプに会いに行ったことで、オバマにも怒られていた。そんなことはメデイアは言わない。安倍さんに不利なことは言わない」
「私の友人にトリチウムだって除去できる技術を持った人がいる。彼は小企業の経営者である。しかし除染の仕事は、大企業が取ってしまう。放射性物質を除く技術があるのに
それを使ってない」
東京オリンピックは不必要。その金を原発からの復興に使うべき。福島の事故を忘れさせるためのオリンピックだ」

講演後には、出席者からの質問がありました。その中で、原告の一人が、「東電がくれた放射能測定器は、半分にしか表示しない。その証明を、ずいぶんやっている」といって、鳩山氏にデータを渡した人がいた。鳩山氏は、利用させてもらうと言っていました。

参加者と話をする鳩山由紀夫氏。

生業訴訟原告団長中島氏と握手する鳩山氏。

鳩山さんは、人の好いお坊ちゃまという感じの人でした。なかなかこれでは米国や官僚と渡り合うのは難しいだろうなと思いました。鳩山さんは、米国従属と少し違う方向を目指した人なので、もっとずるがしこく、腹の座った人でないとだめだったのでしょう。しかし、誠実な人であると思いました。安倍さんのような嘘つきではないと思いました。鳩山氏は、権力欲が少ない人かもしれません。側近にずるがしこい人を置けばよかったのだろうと思いました。多分安倍さんは持っているよ。そして安倍さんは、米国従属の人、官僚と一体、既得権側に立つ人、マスコミ操縦の人と思いました。安倍さんは、国民一般とは、利害の反する人じゃないかと感じました。

鳩山氏の講演の後は、裁判の報告会が行われました。弁護団から三人の報告がありました。もう原告団の訴えのまとめという段階で論争はなかったようでした。
そのほか、東京アンサンブルという劇団や玄海原発訴訟団の弁護士の人の話などがありました。この次の裁判(第24回)で結審、今年秋ごろが判決と決まったとのことでした。
いよいよ大詰めです。署名活動など自分ができることを頑張るつもりです。

報告する馬奈木弁護団