裁判所が東電・国の責任を認めた

3月17日、画期的な判決が出た。
前橋地方裁判所で、東電福島第一原発の事故についてだ。

裁判所は、「東電は、2002年には津波の到来が予測できていた。2008年には、東電は、津波の高さを15.7メートルと試算していた。それなのに東電は、その対策を怠っていた。国も同様津波の到来を予見出できる状況なのに、東電に改善命令を出さなかった」と断じた。東電と国の責任を明確に認めた画期的判決である。

当たり前のことを、当たり前に判断したとは思う。けれど、素晴らしい判決だ。

事故発生後2〜3か月後の床屋での会話を思い出す。

俺や床屋「あんな事故、ジーゼル発電機を建屋の屋上に上げておけば、起きなかったはずだ。地下に置くなんて馬鹿げている」
見知らぬ客「建物の上に置くと、ジーゼル発電機の回転が建物を壊すから駄目だ」
俺「それだったら、丘の中腹において電線で引いてくればいいだろう。あそこはもともと丘のはずだ」
見知らぬ客「丘の上から引っ張ってくる電線が地震でやられただろう」

見知らぬ客は、建築関係の現場に勤めている人なのかもしれない。それにしても、建屋の上部にコンクリで固めてそこにジーゼル発電機を置けるはずだ。

私も床屋も、・・・地元の人間のほとんどは、東電・国が津波の到来を予測してたなんて知らなかった。こんな津波が過去に来たことも知らなかった。予備の発電機が地下にあることも知らなかった。外部電力喪失なんてことも考えたこともなかった。

わが不明を恥ず。
けれど、原発で電気を作って、売って、それで食ってきた電力会社や原子力発電を進めてきた経産省の技術者たちは、あるいは研究者たちは、こんな簡単な津波対策は、当然すべきだったのだ。俺らは、それぞれの仕事で、できるだけ社会に迷惑をかけないようにしながらお金を稼いでいる。原発関係者は、知っていながら、社会の迷惑を考えなかったのだ。

地下からジーゼル発電機を、津波の来ない高さに引き上げるのに、1000億円もかかるのか?そんなにかからないだろう。事故の結果、事故関連の死者が千人以上出ているんだぞ。金は20兆円以上かかるとか聞いた。

責任を取れ。

その後、床屋でこんな会話も聞いた。

客「相馬の人は逃げなくていいなあ」
床屋「何言ってんだ。逃げたくとも逃げられないんだ。床屋でしか食えないんだ」
客「おらは、自分の家に住めねえんだぞ」
床屋「そんでも、一杯金貰ってっぺ」
客「相馬だって金貰ってっぺ」
床屋「たった8万ぽっきりだ。おらい(我が家)では、お客がものすごく減ってんだ。」

客は浪江の人らしい。私は何も言えなかった。被害者同士がいがみ合っている。分断は、今も広く深く深く進行している。
国・東電は、この責任を取れ。