戦後民主主義を担う政党がほしい

戦後とは何だろう」に始まる、小熊英二氏の「今なぜ反体制なのか」という論壇時評が、6月29日の朝日新聞に載った。

氏の言わんとするところは次のように思う。

(1)現日本国は、世界大戦後に建国された国家である。「建国○○年」に代わる言葉が、「戦後○○年」という言い方である。

(2)日本で戦後が終るとは、現憲法国民主権基本的人権の尊重・平和主義の原則を変えるほどの改憲をすれば、「戦後は終わる」ということである。

(3)この戦後体制を否定した勢力は、共産党と右派である。しかし、70年代までに、共産党の穏健化と自民党改憲棚上げにより、戦後体制は、安定した。

(4)右派安倍政権の登場と改憲提唱は、戦後体制の否定である。しかし、現状の日本では、体制の変更より、貧困等、喫緊の課題が山済みである。改憲=体制変更は、エネルギーの浪費である。安倍改憲には、反対である。

特に目の覚めるような指摘ではないが、私は、小熊氏の、この文章の戦後日本に対する認識に賛成である。そして、言葉に出して言わずとも、あるいは、明確に意識していなくとも、多くの人が、小熊氏のように思っていると、想像する。

それなのに、安倍支持が多いのはなぜか。私は、大きく次のように考えている。

(1)戦後体制の安定期とは、経済的には、高度成長から安定成長さらにバブル期までと思う。バブル崩壊ののち、国民、特に若年層に生活の不安が高まり、安倍派に象徴される右派的言動に人気が高まった。

(2)バブル崩壊の時期以降は、韓国・中国の経済的躍進が目覚ましく、特に中国の経済的・軍事的・外交的地位が高まり、危機感を思えた国民特に若年層が、安倍派の右派的言動に動かされた。

つまりは、国民の危機感が、安倍政権を支えていると思う。
しかし、安倍政治は、国民の危機を解消する政治ではなく、かえって国民の危機を増+するものと、私は考える。結局、国民の誤解が安倍一派への支持を与えていると思う。

(あ)経済政策
安倍一派の経済政策(アベノミクス)は、インフレにすれば成長できるとして、円を市場に大量投下してインフレを目指した政策である。しかし、膨大に借金を増やしても、インフレにはならなかった。マイナス金利にしてもインフレにならなかった。つまりは、失敗の政策なのである。アベノミクスの結果は、成長もできず、借金だけが増えたのである。借金は返さねばならない。つまり、アベノミクスは、国民の危機を増大したものである。

(い)外交政策・防衛政策。
安倍一派の外交・防衛政策は、中国・北朝鮮に対して、日米軍事同盟の強化で対抗しようとするものである。その「成果」である安保法制の本質は、「日本が攻撃されていなくとも、日本も米国とともに戦うぞ、だからおとなしくせよ」(軍事抑止力)である。しかしこれは、安保法制成立後の中国・北朝鮮を見ればわかる通り、効果はない。むしろ先制攻撃の理由を、中国・北朝鮮に与えたものである。しかも、軍拡競争に陥りやすく緊張を高める効果もある。戦後の平和主義すなわち平和的手段による平和追求を否定するものである。これは、かえって国民の危機を増大したものである。

(う)国内政策。
安倍一派の国内政策は、自分たちの思うような政治を、自由にできるための邪魔を取り除く体制づくりである。そのため、マスコミの統制と手なずけ、官僚の統制、自党議員締め付け、教育統制をした。一方、特定秘密保護法制定や共謀罪導入等は、国民の表現の自由抑圧、知る権利の抑圧という効果を持つ。これは、国民主権基本的人権否定の方向である。ところが、安倍一派の政治が正しいと限らない。むしろ、自由な議論を行うことが、正しいことに近づけるだろうと思う。また、各人は自由・人権をもって生まれた。その自由・人権を守るため社会を作った。これを、安倍政治は、否定するのである。安倍政治は、国民の自由・人権を抑圧する政治である

私のように考える国民も多いと思う。このような考えを、まとめて政治に反映させる政党がほしい

自由・人権保護(特定秘密保護法共謀罪法廃止)、マスコミ・教育の自由度向上、官僚の正義感を生かせる行政指導等々、基本的人権国民主権を保護・発展させる政党がほしい。

平和の維持発展の中心に、平和的手段を据える政党がほしい。国際法・国連中心の外交を目指す政党。少なくとも安保法制廃止(専守防衛に戻す)、核兵器禁止条約に参加の政党は欲しい。

アベノミクスからの脱却を考える政党がほしい。これが一番難しい。しかし、バブル崩壊後は、成長を無理して目指すのは弊害が大きいことは明らか。ここを外さず、税制・社会政策で、貧富の差・様々な格差是正を目指す政党がほしい。

昨日の都議会議員選挙で、自民党が大敗した。良いことである。圧倒的に勝利した都民ファーストの会が、都政で、知事から独立した活躍を望む。無理かな。

国政では、上述のように、安倍政権は、国民の幸福を壊すので、別な政権が誕生してほしい。

それが、民進・共産その他野党連合でも、野党+自民党戦後民主主義擁護派中心の政権でもいい。新政党が誕生してもいい。公明党が、安保法制・秘密保護法・共謀罪廃止、アベノミクス見直しと変身して中心となり、新政権を作ってもいい。なんでもいい。

戦後民主主義・平和主義・憲法の理想実現の政党がほしい

以上、戦後民主主義の恩恵を受けた者の願いでした。ちと早いけど、七夕のお願いでした。まあ、戦後民主主義憲法の理想は、七夕、おっと、棚ぼたでは、来ないな。
そこで(笑)
雨上がりの午後、相馬スタンデイングに行ってきました。4名でした。寂しすぎるので写真はありません。私が写真を撮ると3名なんですもの。

前に作った、「自民改憲は戦前回帰」の自民を安倍に変えました。都議選の大敗を受けて、自民党の中で、「安倍=右翼・戦前回帰」に反対の人たちの反乱が、憲法改正の一件で起きることを願って。マア無理だろうな。