前川氏の人柄/教育基本法について

数日前、隣町で、前川喜平氏の人柄がしのばれる話を聞きました。

お話されたのは、福島市駅前で自主夜間中学を主催している大谷一代さんです。

大谷さんと前川さんの出会いは、今年1月14日福島市での「夜間中学を知る集い」だそうです。
前川さんは、この集いに講演に来てくれて、講演後に彼女に「もうすぐ事務次官を辞めるのでこの夜間中学手伝いたい」といったそうです。(天下り引責辞任をする決心をしてたのですね。菅官房長官の「地位に恋々としている人間」というな話は全くの嘘ですね)講演は、1時間もオーバーした熱の入ったものだったそうです
ユーモアを交えた話だったそうです。

前川さんは、「どういう風に教えればいい」と聞くので、大谷さんは、「あなたの講演の話が全く分らなかった生徒がいるので、その人に分かるように勉強を教えてほしい」といったそうです。(夜間中学は一対一が原則なのだそうです)そしたら前川さんは、8枚くらいペーパーを用意してきて、2時間くらい熱心に指導していたとのことです。次の時も同じように教えていたそうです。

5月になって、「しばらくいけなくなります」という電話があった後、少しして出会い系バー問題が報じられたのだそうです。

1月の前川事務次官の講演の大意を資料としてもらいました。その一部を紹介します。

「私は文部省に職を得て、すべての人に学ぶ機会を保障することが行政の使命であると思って仕事をしてきた。拠り所は憲法26条である。この「教育を受ける権利」は、人権保障の中で大切なものと思っている。学習がなければ、自らの権利を知ることもできない。学んだことをベースに、自分自身の行動ができる(主権者としての役割が果たせる)、そんな人間を育てるのが教育の目的である。
 私が一時関係したユネスコで、ユネスコ憲章の初めの言葉は、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから心の中に平和の砦を築かなければならない」とある。お互いを知らない無知や偏見が戦争をもたらす。(旧)教育基本法の前文でも「われらは先に日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意をした。この理想の実現は、根本において教育の力に待つべきものである」とのべている。・・・(以下略)」

現職の文科事務次官教育基本法の前文冒頭を引用したことに、私は感銘を受けました。教育基本法は、憲法の理想を教育の力で実現しようと力づよく呼びかけています。今の教育基本法は、同じような文言はありながら、憲法の理想を実現しようという意欲は感じられない文章となってます。ネットで読み比べてみてください。

教育基本法を改正した第一次安倍政権が、教育基本法に新しく入れたのが、「日本の伝統」と「愛国心」でした。伝統と愛国心については、様々な解釈があるでしょう。しかし、籠池理事長が、新教育基本法の「精神にのっとった」教育をして、安倍夫妻から賞賛されたことは、記憶に新しいです。そして森友学園の教育がどんなものであったか、これも鮮明です。教育勅語の唱和が象徴的ですね。

教育勅語を普遍的道徳があってよい」というのは、本質を見ない考えです。親孝行や兄弟仲良く、などの普遍的道徳と国家への奉仕ぶつかった場合、国家への奉仕を優先して生きよというものです。いや本質を分かっていながら、そういっているのでしょう。安倍政権は、個々人の人権ではなく、国家への奉仕を優先する人間を作りたいのです。

若者に安倍政権支持が多いというのは、国家に奉仕したいという若者が多いのでしょうか。「個人個人が好きに生きるのでなく国家に奉仕するのが正しい」と思っているのですかね。もしほんとにそうなら、好きにしたら、といいたい気にもなります。その結果は、「きけわだつみの声」「戦没農民兵士の手紙」「あの人は帰ってこなかった」テーマ談話室「戦争」「英霊に贈る手紙」等々の実体験の手記に明らかでしょう。