この寒さに、いろいろ思う

とうとう室温が度になった。

朝、肩が寒くて目が覚めた。枕もとの気温計を見るとちょうど度である。昨晩は度であった。私たちの寝室には、エアコンやストーブがない。毛布3枚と羽布団一枚で寒さをしのぐ。それでも寒い。起きてテレビで見ると外気温−5.3度、寒いはずだ。

今は、暖かい毛布や布団があり、断熱材の入った壁とサッシの窓である。こんな家や衣料品のなかった昔は、ほんとに寒かったろうな。寒さをどんな風にしてしのいだのだろう。

ちゃっぷい、ちゃっぷい、どんとぽっちい」なんてコマーシャルを思い出した。原始時代?の人たちが寒さに震える中、「寒い。寒い。どんとがほしい」と言っているCMであった。この「どんと」とは、使い捨てのカイロである。奈良時代の言い方で宣伝してて、面白かった。うまいCMである。しかし、私は、どんとを使ったことはなかったな。

山上憶良貧窮問答歌」を思い出す。奈良時代の貧乏人の生活を歌ったものだ。土間にわらを敷いて、ボロボロのありったけの服を着て、家族固まって寝てたなんて描写があったな。確か。ただ山上憶良は、国司のトップを歴任した上流貴族。自分の直接の体験じゃない。



午後−1.2度に上がったので散歩に出た。普通は40分ほど歩くと暖かくなるはずだ。しかし風がかなり強い。ベンチコートを着て歩いていても、うーん、寒い。

現代の貧乏人は、どうなんだろう。そういえば、つい近頃ぼろをまとって、道端に座っていた人を見たなあ。どこでだ。そうだ仙台だ。あの人なんかは、昨晩や今日の寒さをどうしのいだのかな。昔は駅で、あるいは地下街で過ごしていたが。今は追い出す、なんて話も聞いた。そうか、都会では、ネットカフェ、終夜安く過ごせる施設があったな。現代はいいなあ。

雪のない歩道を歩く。昨日相馬の国道6号線で、若い女性が、雪をよけて車道を歩いてトラックにはねられた。1名死亡、1名重症という。確かに雪の日歩道は歩きにくい。しかし、車道を歩くのは危険だ。畑には雪が積もっている。雪が消えれば、ジャガイモの種まきの準備をするか。雪のいろんな形、下には何があるか。

雪が人型に積もっていく、という印象的なラスト。「人間の条件」のラスト。温かな人間らしい心を持った主人公が、人間らしいことが許されぬ状況(戦争/捕虜)の中で生きていく話であった。もう40年以上も前に読んだのに、強い印象が残っている。その後読んでいない。読むのがつらいからだ。映画を見る機会も数度あったが、逃げた。

汚れ切った人間の群れが、無蓋車からバッタのように路上にたたき出された。・・・私は息をひそめ、右手に縋りつく長男の手を握りしめ、背をそらして背中の次男の胸を緩めてやり、左手で長女を抱きなおした。・・・吹雪の日が続いた。北朝鮮特有の肌を突き刺すような風が破れた押し入れの中に吹き込み、せんべい布団にくるまる幼い者たちの命をはぎ取っていくようだ。やせ細った両手がものをねだり、もう一つの小さな指は一滴も出ない乳房をまさぐった。上の子だけは、じっと母の体にすがったまま瞳を閉じていた。何の力もなくなっている母と知らずに、懸命に頼り切っている三つの魂。何の罪もないお前たちはこの世で最高の仕置きを受けている。昭和20年12月31日午前2時。すべての意思を凝縮し森羅万象さらに声なし。故国に帰る夢を追いながら、二つの小さな魂が雪の中に消えていった。幼い兄と妹の死出の旅路。サラサラ、サラサラ、ボタン雪の舞う音。その瞬間、私の目の前に黒い十字架が立っていた。
(7月29日、鹿児島市 川上志摩子 69 主婦)

昭和61年から62年、朝日新聞のテーマ談話室「戦争」に寄せられた手記の一つである。(朝日ソノラマ「戦争」下巻p440)

過ぐる戦争時、日本国民は、被害者でもあり、加害者でもあった。特に朝鮮・中国に対して。しかし、この母子に加害責任があると、誰が言えるか。

現在北朝鮮は、国際社会から経済制裁を受けている。物資不足だろう。この寒さの中、昭和20年の、この母子のような北朝鮮市民がいるのじゃないか。国家が悪いからと言って、その国家の市民の悲惨な生活も仕方がないことなのか。川上さんの二人のお子さんに罪がないなら、北朝鮮の幼子にも罪はないのではないか。
朝鮮学校への冷たい仕打ちは、北朝鮮国が敵対国だからと言っていいことじゃない。冷たくすれば、立場が逆になれば、冷たくされるだろう。朝鮮学校の生徒諸君に、日本国の良さを見せた方がよくないか。その方が、日本のために貢献してくれるんじゃないか。逆にまた北朝鮮が崩壊の時、日本国を恨むテロリストを生む可能性もあるかもしれない。

中国は、かつて日本に侵略された。国力がなかったからである。日中の国力は、すでに逆転した。日本のかつての侵略が悪くないと言えば、中国に侵略されても仕方ないことになる。現政権は、新型ミサイルを買うという。南西諸島重視の戦略を作るという。海自は、空母を持ちたいという。いずれも中国を念頭のことと思う。しかし、軍拡競争では勝てない。日中の国力は、今後ますます差がつく。それに中国は独裁国家独裁政権が軍事に力を傾注すれば、日本に勝つ見込みはない米国は当てにならない。日米同盟一辺倒では、まずい。国際法(侵略はダメというルールがある・集団安全保障・国際司法的手段)・外交戦略・国民同士の深い関係を主にすべきである。

安倍さん、韓国オリンピックに行くのは良いと思う。ついでに、韓国との話し合いも持ってもらいたい。慰安婦合意を見直さないと言っているんだから、その線で韓国政府を強力に後押ししてよ。ついでに北朝鮮とも秘密に接触してほしい。拉致問題を本気で解決しようとするなら、小泉流でないとね。「すべての核は悪い」という立場なら、北朝鮮も乗ってきやすいと思うんだけどね。核禁条約無視じゃ、無理だね。圧力一辺倒は、外交がないね。寒いね。

買い物に行ったら外は、−3度。寒いなあ。現在6時。