二つのスタンディングと読書感想二つ

2月19日(月)午前10時から南相馬市のスタンデイングに参加してきました。

天気は良かったのですが、風が冷たい日でした。参加者は、相馬からの二人を含めて13名でした。皆さん防寒対策は、ばっちりなようでした。

これは、南相馬市のスタンデイングに参加した女性が作ってきたプラカードです。
多くの人がもう忘れているでしょうけど、2015年成立した安保法制の一つ「改正武力攻撃事態法」は、政府が総合的に「存立危機事態」と判断すれば、日本が接攻撃されてなくとも、米国の戦争に参加することを可能にした法改正です。

昨年、北朝鮮によるグアムへのミサイル攻撃を「存立危機事態」と考える余地があると、小野寺防衛大臣は、発言しました。ここからいいますと、北の、米本土へのミサイル攻撃を「存立危機事態」政府が判断する可能性は、高いでしょう。その場合、日本政府と自衛隊は、撃ち落とす準備をするでしょう。となれば、北は、米国へのミサイル発射の前に、日本を完全な敵とみて、実戦配備している多数のノドンミサイルを日本各地にぶち込む可能性があります。(安保法制は、北朝鮮に攻撃の口実を与える法制でもあります)米軍基地・自衛隊基地・下手すると原発・都市・工場地帯に。「日本国民は、・・・政府の行為によって戦争の惨禍を起こることのないようにすることを決意し」という現憲法前文に反し、日本国民は、政府の行為によって再び戦争の惨禍を経験します。明らかに安保法制は、憲法違反ですし危険なものです。早く廃棄させましょう。・・ついでに言いますと、自民党憲法改正案前文をご覧ください。見事にこの部分を削除してます

さて、午後1時30分からは、地元のスタンディングに参加してきました。

こちらも風が強くて寒い中ででした。原町から1名応援があり、計7名でした。

久しぶりに新しいプラカードを作りました。自民党は、執行部の憲法改正原案を了承しました。それは、グタグタ言ってますが、鳥取と島根みたいな合区をしないように、一票の格差を、憲法が認めるようにしようという憲法改正案です。現憲法は、一票の格差がないように、法律で選挙制度を決めよ、という規定です。そのような選挙制度を法律で作ればいいわけです。一票の格差は、小選挙区制だからです。比例代表制大選挙区制であれば、一票の格差は、小さくなります。全国1区であれば、一票の格差はありません。そのような格差是正の努力もしないで、おのれの利益のために、憲法改正をするなんて、本末転倒です。もともと、一票の格差はあってはいけないことなのです。なんと見苦しいんでしょう。自民党は、なんてずるいんでしょう。今のところ自分に有利な小選挙区制=一票の格差が出やすい制度、を維持するための憲法改正です。

さて、近頃読んだ本5冊のうち、二つの本の感想を述べます。備忘のためです。

大岡昇平「事件
先日見たNHKアーカイブス「新事件・わが歌ははないちもんめ」の感動から、図書館で借りたもの。

1.昭和三十年代後半の時代をバックに、重厚に人間模様を描いている。現代では、医療ドラマと並んで、刑事もの・法曹ものがさかんであるが、この本を読むと、現代のドラマは、ペライなあと思われる。ただ、好みはそれぞれである。軽いのもまた良い。

2.裁判というものの機能や検事や弁護士の思想と生態を述べている。戦前と戦後の比較もしている。筆者大岡の研究の深さに感銘を受ける。大学時代、高橋和巳「悲の器」の刑法論の深さにすごさを感じたが、同様の感想を持った。小説家というのは、世の中で一番頭いいんじゃないかと思った。

3.検事も弁護士も裁判官も揺らぐ存在だと思った。事実誤認もあり、判断にも迷い、自己保身もあり、忖度もあり、裁判は、まさに人間が行うものとよくわかった。多分これは、事実だと思った。

4.裁判というのも、いい加減なものと思った。ある事件を、計画的殺人事件か、偶発的殺人事件か、傷害致死事件か、過失致死とみるか、決定的な根拠はないと思った。そんな裁判も多いのだろう。裁判に「相場」(こんな事件にはこの程度の刑罰が普通)があることに、裁判の神聖さを疑いつつも、これもやむなしと思った。

5.私は、裁判員裁判の候補者に当たったら、絶対断ろうと思った。この小説を読んで、犯罪者の真実なんて、ほんとのところはわからないと思ったから。その重い判断をするのは、職業としてやっている裁判官に任せるべきと思った。
 関係ないことではあるが、、私は、裁判員裁判は、行政裁判に導入すべきであるとおもっている。少なくとも刑事事件の導入するなら、行政裁判には絶対導入すべきと思っている。行政裁判に、一般人の常識を入れるのは当たり前で、なぜ入れないか、恐らく行政が不利になりやすいと考えたからだろう。そこを私はずるいと思うのだ。

6.「真実」の章でも、加害者と被害者の真実の関係は、明らかにされない。快刀乱麻の解決はない。不満を感じるとともに、真実なんてほんとは、分からないんじゃないかと思った。
そう、人の心の奥底なんて、他人にはわからない。ひょっとして自分にもわからないのかもね。明らかにしないことで、かえって、しっとりと心になじむ小説となっている。


半藤一利山本五十六
1.この本の成り立ちが、1980年代から2000年代まで、雑誌などに掲載された小論への加筆訂正を集めたものなので、山本の評伝というかんじではない。阿川弘之の「山本五十六」も読みたくなった。

2.長岡藩の「米百俵」というのは、素晴らしい。支藩から貰った米を窮乏の極みにある藩士に分配せず、教育に使うとは、すごい。現世代に我慢してもらって、将来に使うというのはすごい。これが正しい。借金して今さえよければ、という現政権とは大違いだ。

3.山本の海兵同期の掘悌吉というのは、すごいな。戦前の海軍要職(軍務局長)に出世しても、戦後の「専守防衛」的思想を保持している。そのため海軍を追われている。

4.米内光政海軍大臣山本五十六海軍次官・井上成美軍務局長の反日独伊三国同盟派は、命の危険も顧みず、よく反対を貫いたと思う。

5.この三国同盟反対派の思想の根本は、日本は、米英との戦争では勝てないという想いである。国力が違うし、第一、軍艦・飛行機・戦車・輸送車・国内産業等を動かす石油を米国に依存している。。相手に依存しながら依存する相手と戦う、そりゃー無理だ。子供でも分かる。なのになぜ米英と戦争始めたんだろう。戦前の指導層は、バカだったのか。国民もそんなこと考えなかったのかな。まあ、蘭領インドネシアの石油を当てにしてだろうが、運ぶのが大変とすぐわかるはず。

6.山本は、真珠湾攻撃の時ずいぶん事前通告のこと気にしていたが、30分前通告は、危険すぎる。もっと前に通告するよう計画すべき。・・・それでは、奇襲にならないか。ところが、軍や外務省には無通告攻撃の意見の方が強かったという。外務大臣が、いつ開戦するか知ってなかったというのには、びっくりした。どうしようもない政府・軍部である。外務省の派閥争いもひどかったらしい。どうしようもないな。

7.山本は、短期決戦で勝利をおさめ、米国と妥協し早期講和すると考えたそうだが、ほんとに米国が講和すると思ったのだろうか。もし宣戦布告後のある程度の時間を置いた真珠湾強襲でも、米国は、同じだったろう。自国の領土をレベルの低い黄色人種に冒された、生意気な、やっつけてやるとなったと思う。その意味で山本の短期決戦・早期講和論は無理だったのだと思う。筆者半藤一利は、(イフ)日本がミッドウエーで勝利を得た場合、「ハワイ攻略、サンフランシスコ湾での連合艦隊遊弋で、米国民の戦意喪失」を考えるが、少なくとも、米国民の戦意喪失はないと私は思う。あのNY・WTCへのテロの時の米国民の反応、「やられたらやり返す」精神、個人が銃まで持つことを今なお認める精神、フェアープレイが好きなことを考えれば、戦意喪失はないな。ではどうすべきであったか。結局米英との戦争は出来なかったのだ。ということは、中国を支配するという明治以来の方針が間違ってたのだ他民族を軍事力で支配というのが間違っていたのだ。

8.真珠湾奇襲で、第二撃もすべきだったと、機動部隊司令長官南雲を非難する意見もあるが、筆者は、山本の揺らぎがその根本原因としている。その通りだろうと思った。

9.ミッドウエー海戦の記述で、ニミッツ将軍を詳しく描いていて、筆者の評価は、山本よりはるかに高い。そうなんだろうと思う。それにしても米国の情報戦への対応力、こんな国を相手にして戦争しようとした日本指導部は、ばかだ。日本国民もまた同様だ。結局は、優秀な脳みその多寡が勝敗を決する。同様に中国を仮想敵国に考える日本国民の一部、日本政府の一部、自衛隊の一部は、馬鹿だ。中国には10倍の人間がいる。10倍の脳みそがある。勝てっこない。

10.日露戦後、日本海軍は米国を仮想敵国に、日本陸軍ソ連を仮想敵国に準備してきたという。それはほんとだろう。しかし、仮想敵国という想定をしないと国家は存立しないものなのだろうか。イージスアショアは、北朝鮮を仮想敵国とした軍備、準空母を持ちたい、南方展開型軍備、日本型海兵隊というのは、中国を仮想敵国とした軍備である。北朝鮮の敵となるのは、米国との安保条約のためで、安保をやめれば敵にならない。中国とは国力が違い、かつどんどん離される。米国は、中国との軍事衝突では、日本の味方をしない。故に米国追従・中国敵視は、まずい。別な外交・日本の行き方を考えるべきだ

11.そう筆者が書いているからであるが、山本の死は、「死地を求めて」という感じをやはり受けるなあ。

12.筆者は元号で書いている場合が多い。世界の中で考えるべきものがあるので、西暦に統一してもらいたい。平成天皇の退位を契機に元号をやめてもらいたい。日本の今後は、世界の中で考えることが大切だからだ。