福島はまた収奪されるのか

2019年1月14日相馬市民会館で信州大学茅野恒秀准教授による「地域はメガソーラー開発にどう向き合うべきか」という題の講義があった。

先生の講義を私なりにまとめると

(1)2012年導入の固定価格買い取り制度により太陽光発電は、激増。この制度の目的である導入コストの低下や再生エネルギの増加、温室効果ガス排出量の減少は、かなり達成している

(2)太陽光発電量は、2016年で2012年の10倍となったが、規模別導入状況は各地でかなり違う。東京は50kW以下が70%以上であり、北海道は、100kw以上が70%以上ある。

(3)長野県(信州大のある県)は、10kW未満、50kw未満が目立つ。長野県は、県内総生産が伸びつつ、温室効果ガス排出量は低下しつつある。

(4)福島県は、大規模なものがやや目立つ。導入及び認定済みのメガソーラー(1000kw以上)は全国一でダントツである。

(5)岩手(先生の前任地)の場合メガソーラーの所有は、県外が65%であった。メガソーラーで地域主導の小規模水力発電事業がはじき出される事例があった。

(6)政府は、太陽光の買取価格を低下させている。40円→36円→・・・現在18円。

(7)問題の根っこは、土地利用の問題である。メガソーラーで問題となっている土地は、多くが高度成長後期の経営難のリゾート地、高齢化の進んだ地域の共有地などで、そこを開発者が手に入れてメガソーラーを建設しようとする。それは地域全体の利益とぶつかる。開発は、国富の損失という観点も必要ではないか。

(8)上流部の林地を数10ヘクタール単位で伐採することは、林業事業体でも現在では躊躇すること

(9)長野県上田市では、メガソーラー建設に反対の住民運動が起き、事実上開発中止

(10)相馬市玉野の計画には、事業者の環境影響評価準備書に土石流危険個所の造成という言葉があり、びっくりである。試算すると、この発電所で事業者は20年で約600億円の収入を得る。固定買取価格制度の原資は、私たちの電気料金であることを自覚すべき。

 

相馬市玉野のメガソーラー発電計画は、約30年前、ゴルフ場用地として玉野の山林持ち主から5億円で買い取った土地が中心の開発計画である。バブル崩壊に伴い転売・競売されて3000万円で現在の会社がこの土地を手に入れたもの。(7)の典型的例である。5億が3千万

この会社は、東京を本拠地としている。この点では、(5)の岩手県と同じ例である。

 

ここで勃然と例の疑問が頭をもたげる。福島県双葉郡原発同様、いや以前の只見ダム、只見川の水力発電同様、福島は再び収奪されるのではないかという疑い。

 

茅野先生の試算の600億(年30億)の収入から上がる利益の多くは、東京の会社に入のではないか。名前は合同会社相馬伊達太陽光発電所とあるが、主たる事務所の所在地は東京都千代田区となっている。なぜ相馬市に事務所を置かないのか。法人税国税で、市に入らないのは当然である。固定資産税は相馬市に入るが、法人事業税(県税)法人住民税(市税)は、相馬市に入るのだろうか。今これを調べているが、まだよくわからない。

 

この計画により広大な森林が消滅する。緑の山に分散した広大なソーラーパネルが存在する。景観は損なわれる。そして保水力を失う。洪水・土砂災害・渇水・水質汚濁・放射能拡散の危険が増す。松川浦・海に流入する鉄分が減る。海や浦が痩せる。玉野の地元では、獣害が増え、気温上昇の心配もある。会社は、20年後原状回復というが、山を崩して木を切って、原状回復にどれほどの時間がかかるのか。稀勢の里言う如く、けがする前には戻れないのじゃないか。

 

福島県の計画中のメガソーラー基地は、他県に比べて突出して多い福島県が他県と違うところは何か。言わずと知れている。原発で使えなくなった土地、人がいなくなった土地が多いからだろう。

 

福島のメガソーラーは、ハテヘイさんがたびたび触れている「災害便乗型資本主義」の跋扈なの(直近では2019年1月6日)ではないか。

 

私は、玉野の少数の反対派や相馬市民の会の有志や志を同じくする人たちと一緒に、玉野のメガソーラ建設に反対していこうと思っている。