辺野古移転に根拠なし・ NHKはもっと丁寧に説明せよ

2月22日朝日新聞に、辺野古基地に関して米国の国防関係者の説が掲載された。両者の議論は、辺野古移転に賛成と反対に分かれた。それについて私の考えを述べる。

 

まずは、辺野古基地移転賛成のジェームズ・ショフの意見を節ごとにまとめてみる。

在沖海兵隊は戦略的に重要→海兵隊は即応力に優れ、抑止力がある→日本も海兵隊を持つべき→日米政府は普天間の危険除去のため辺野古移転を考えた→鳩山政権で混乱→も一度検討し辺野古と決定→県民投票には反対

 

次に辺野古移転に反対のローレンス・ウイルカーソンの意見をまとめてみる

冷戦終結という変化を受け海兵隊本部はあり方を再検討→在沖海兵隊は運用が困難、かつ小規模のため戦略的価値がないと判断→残したのは加州への移転よりは安上がりのため→在沖海兵隊は有事に役立たない→在沖海兵隊は抑止力にならない、B2爆撃機の方が抑止力あり→辺野古基地は海岸にあり自然災害に弱い、かつ攻撃に対してぜい弱→辺野古移転は愚か

 

この両者の立論の根本の違いは、在沖海兵隊の抑止力の評価にある。賛成論の抑止力の根拠は、海兵隊の即応力のみである。反対論は、海兵隊が小規模という点と米国が米中戦争の時海兵隊を使わないということが根拠である。

 

賛成論の即応力は、海兵隊はどこにいても良いということであり、辺野古移転の根拠にならない。反対論の「運用が困難」は、私には判断不能。また小規模は相対的なものでこれまた判断不能。しかし、攻撃に対してぜい弱、B2爆撃機の方が抑止力というのはその通りと思う。また米中戦争では海兵隊は活躍できないという論理はその通りと思う。

何故なら、米中戦争では、核ミサイル(ICBMSLBM)や長距離爆撃機が戦争の帰趨を決すると思うので。

 

結論:賛成論の「抑止力あり」論は、もし抑止力があるとしても、辺野古であるべきという根拠にならない。一方上述のように、反対論の「抑止力なし」には根拠があり、私は、反対論に軍配を上げる

 

明日は、辺野古移転についての沖縄県民投票である。辺野古移転反対の投票ができるだけ多くなることを願っている。

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SPYBOYさんの紹介(2月15日)で、NHKETV特集の制作部の分割はまずいと思って、興味を持っていたが、今日の朝日新聞でもそれを記事にしていた。

同新聞は、「権力批判多く解体か」というネット媒体や週刊ポストの主張の紹介と、「忖度は一切ない」というNHK側の主張の紹介と、学者2名の意見を紹介した記事である。

 

朝日側の突っ込みと判断はない。朝日はもっと突っ込んで記事を書いてほしい。

 

同記事で、NHKがホームページでこのことについて文書を発表したとあったので、早速見てみた。「視聴者の皆様へ」というところにあった。

 

NHKの主張は、「権力への忖度はないし、ETV特集の番組を作らせないための組織改編ではない、ETV特集等は次年度も存続する」ということである。

 

この説明を見て私は、NHKを信用できないと思ったETV特集は存続しても、その内容が変わるのではないか、と思った。これまでETV特集は権力の意向に反すことも番組で取り上げてきた。やがてそれができなくなるのではないかと思った。

 

もしそうでないとするならば、なぜ文化・福祉部門だけが解体されるのかをNHKは丁寧に説明すべきだそれがこの「視聴者の皆様へ」にはない。ごく抽象的なことしか言っていない。文化福祉部門は解体しないとか、これこれこういう理由で文化・福祉部門のみが分割されることになる、と説明すべきである。それがない。

 

ついでに言うと、政権に不利な記事を書いた元NHK記者の著書を否定する見解があったが、その根拠は一切書いてない。少なくとも主要な部分は、提示すべきだろう。どちらが正しいかの判断がこれではできない。

 

 

NHKの見解は、まるで国会での、政権の答弁みたいである。根拠を示さず結論のみである。根拠を示さないと議論にならない。議論をしたくないんだろうか。視聴者の金でやってるのに、視聴者を馬鹿にしているのかな。「俺たちは正しい。俺たちを信用しろ、様々な手立てで公正さを保っている。直接視聴者に言う必要はない。白紙委任しろ」のような姿勢を感じる。視聴者をなめてもらっては困る