日本人従軍慰安婦の叫び・徴用工の解決には、西松訴訟事件を参考に、またはICJに任せよう

前回の私のブログ「少女像は・・・」に対して、miyotya様から丁寧なコメントをいただき、「みよちゃ通信」の中のユネスコ研修視察「戦争遺跡巡り」(2006年)を紹介していただきました。

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夜光虫を子供たちに集めさせ、その粉末を作って米軍との戦争に使おうとしたことや花卉の栽培を禁止して花卉栽培を犯罪視したことなど、びっくりしました。戦争の馬鹿馬鹿しさを再認識しました。まったく戦争は人を狂わせます。

 

夜光虫では笑い話を思い出しました。義父が「振洋」特攻隊(神奈川県油壷)の時、夜光虫を敵艦隊と思って出撃したという話です。

 

かつて房総半島を、こちらでは「名のみ」の早春に訪ねた時、房総では花々が咲いていて、美しいと思いました。その花卉栽培が戦時下では白眼視されたこと、それでも隠れて栽培した人によって花が維持されてきたことに感銘を受けました。

 

miyotya様の戦跡巡りの文章で一番心を揺さぶられたのは、日本人従軍慰安婦の「石の叫び」という告白でした。

 

 

(引用はじめ)

石の叫び
戦後40年、ひとりの女性の告白より

「深津先生へ ・・・軍隊がいるところには慰安所がありました。看護婦とみまがう特殊看護婦になると将校相手の慰安婦になるのです。兵卒用の慰安婦は1回の関係で50銭、また1円の切符を持って列をつくっています。私たち慰安婦は死の影とともに横たわっていました。私たちは洗うひまもなく、相手をさせられ、死ぬ苦しみ。なんど兵隊の首を切ってしまいたいと思ったかしれません。半狂乱でした。

・・・戦争が終わって40年にもなるというのに、戦死した兵隊さんや民間の人のことは各地で弔われるけれど、戦争で引っ張られていった慰安婦に対する声はひとつも聞こえてきません。中国、東南アジア、南洋群島アリューシャン列島で、性的欲望のため体を提供をさせられた娘たちは、死ねばジャングルの穴にすてられ、親元に知らせるすべもない有様です。途中で足手まといになった女はほっぽり出され、荒野をさまよい凍てつく山野で食もなく、野犬か狼のエサになり骨はさらされ土になり、粉々に砕けた手足は陣地の表示板になりました。それを私は見たのです。この目で、女の地獄を・・・。

戦後40年が過ぎても健康を回復できない私ですが、今は幸せです。・・・1年ほど前から、祈っていると、かつての同僚の姿がまざまざと浮かぶのです。どうか鎮魂の塔を建ててください。それが言えるのは私だけです。生きていても、そんな恥ずかしい過去を話す人は誰もいないでしょうから・

(引用終わり)

wikiによれば、従軍慰安婦の総数もその性格(性奴隷or公娼)もその背景も様々な論があります。研究の結果の違いの大きな背景の一つは、この告白の、「生きていても、そんな恥ずかしい過去を話す人は誰もいないでしょうから」にあると思います。こんな事情ですから、実態をつかめないわけです。勿論官僚・軍関係者の証拠隠滅もあります。

 

 尚miyotya様の戦跡巡りの全文は、手記~ユネスコ研修視察「戦争遺跡巡り」とググれば見ることができます。

 

 

韓国とのこじれた関係の背景には、日本の戦後が、日本の戦前戦中の悪行を直視せずそれに対応してこなかったことにあると思います。(自民党の石破氏が近頃同趣旨の発言をしていることを知って、私は彼を見直しました)

 

韓国が従軍慰安婦少女像を建てる前に、日本人が日本・朝鮮・東南アジア全域・その他の地域出身の従軍慰安婦についての、謝罪を表すモニュメントを、もっと公式に建てるべきでした。例えば沖縄の平和の礎のように。従軍慰安婦は、前回のブログでも申し述べましたが、強者の弱者支配の典型です。人権侵害の典型です。戦後の日本がそういう観点で対処してきたならば、日韓関係はこれほどこじれなかったのでは、と思います。

(それでもいろいろ衝突はあったでしょう)

 

徴用工問題も、日本側の公式の対応(日韓基本条約・日韓請求権協定で解決済み)だけでは、やはりこじれるでしょう。韓国人の感情を大切にする何らかの対応が必要でした。

 

私は、徴用工問題は日韓基本条約・日韓請求権協定で解決済みという日本政府の理屈正しいと思います。現政府の言う通り国家間の約束ごとですから最も重視されるべきことです。それで理屈が成り立ちます。ただ植民地支配の加害者(日本)と被害者(韓国)という関係がある以上、理屈だけでは済まないのだろうと思います

 

理屈のみではだめな場合どうするか。参考になるのは、2007年中国国民が日本の裁判所に強制労働させられた賠償を求めた裁判(西松建設訴訟事件)での、日本の最高裁の判断です。同判決では、中国国民の個人請求権を否定する一方、西松建設の自主的賠償を

希望するという内容でした。

 

(引用はじめ、最高裁判決文のまとめの部分)

 5 まとめ
本訴請求は,日中戦争の遂行中に生じた中国人労働者の強制連行及び強制労働に
係る安全配慮義務違反等を理由とする損害賠償請求であり,前記事実関係にかんが
みて本件被害者らの被った精神的・肉体的な苦痛は極めて大きなものであったと認
められるが,日中共同声明5項に基づく請求権放棄の対象となるといわざるを得
ず,自発的な対応の余地があるとしても,裁判上訴求することは認められないとい
うべきである。したがって,請求権放棄をいう上告人の抗弁は理由があり,以上と
異なる原審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨
は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上説示したところによれば,
その余の点について判断するまでもなく,被上告人らの請求は理由がないというべ
きであり,これを棄却した第1審判決は結論において正当であるから,被上告人ら
の控訴をいずれも棄却すべきである。
なお,前記2(3)のように,サンフランシスコ平和条約の枠組みにおいても,個
別具体的な請求権について債務者側において任意の自発的な対応をすることは妨げ
られないところ,本件被害者らの被った精神的・肉体的苦痛が極めて大きかった一
方,上告人は前述したような勤務条件で中国人労働者らを強制労働に従事させて相
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応の利益を受け,更に前記の補償金を取得しているなどの諸般の事情にかんがみる
と,上告人を含む関係者において,本件被害者らの被害の救済に向けた努力をする
ことが期待されるところである。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 中川了滋 裁判官 今井 功 裁判官 古田佑紀)

(引用終わり)

 

勿論、戦前の中国と韓国の差はあるでしょう。強制労働と徴用工の差異もあるでしょう。しかし、戦前、日本に侵略された中国、植民地にされた韓国という、被害者という点では同じです。民間人が国策に基づいた民間会社の行為によって被害を受けたという点でも同じです。西松訴訟では、同会社が賠償して決着しました。これを参考に何とかできないものでしょうか。

 

 

また、日韓両国政府ともに、それぞれの事情から、個人請求権の存在を認めていた時期認めていない時期がありwiki 徴用工訴訟問題の項目参照)、両国の司法権の独立という観点もあり、外交上の解決はなかなか難しいと思います。国民の感情もあります。(それを利用する政権の存在もあります)

 

故に、国際司法裁判所にゆだねるのが正しいと思います。両国政府も両国国民も無心でICJにゆだねるべきです。特に両国国民が政府に働きかけるべきです。

 

徴用工問題でこじれている時に、韓国を輸出優遇国から除外するという現政権のやり方は、相手からは報復措置とみられて当然であり、利用されます。また相手をますます意固地します。世耕経産相の発言も軽率でしたが、政権全体としても失政だったと思っています。勿論両政府とも政権維持のため、国民に受けを狙っているという面があります。それに両国民が乗せられるのは全くばかげてます。

 

この問題で、安倍NO(日本NOでなく)を言う韓国民と安倍政権の支持率を高める日本国民では、韓国民の方が賢さでは上に思います。

 

ということで(?)、昨日地元のスタンデイングに行ってきました。

 

f:id:A0153:20190826151137j:plain気温も27℃くらいで風も吹いて楽でした。

小学校は2学期が始まっています。