菅首相は、どうやら米国に手玉に取られたようだ。米国はじっくり構えて、日本を対中戦略に組み入れた。日米共同宣言に、台湾を入れたことは、私にはそのように見える。
大きな目で見ると、この出来事は日本の大きさを示すものと考えるべきである。
米国が対中戦略に日本を組み入れたのは、日本を頼みとするからだ。中国がこれに猛烈に反発するのは、日米の結びつきは脅威だからである。
日本の存在は、東アジアにおいて大きいといえる。当たり前である。GDPで言えば、1位3位連携(日米)、2位3位連携(日中)は、前者では2位(中国)、後者では1位(米国にとって脅威である。
これを自覚して、日本のため、世界のため、日本国は行動すべきである。
そのためには、安保条約が絶対という考えは捨てるべきである。安保条約が絶対という日本国の行動は、米国の侮りをもたらしている。その象徴が、日米地位協定の際立つ不平等である。普天間の県内移設(辺野古新基地建設)という沖縄軽視の取り決めである。
冷戦思想で安閑としていた日本の頭越しに、米国が中国と国交を結んだことを忘れるな
米国は、国家利益のため中国と手を結ぶことも十分ありうる。
「場合によっては安保条約廃棄」という姿勢があれば、地位協定も沖縄の基地問題もか解決は、現状より容易であろう。
「場合によっては安保条約廃棄」という姿勢は、中国にとっては美味しいものであり、
中国も日本に何らかの利益をもたらすものであろう。
つまりは、米中を天秤にかけ、日本の利益を追求するのである。
それは不安定なものであるが、それが外交というものと思う。
米国は、日米同盟強化で中国に対抗する一方、昨日気候温暖化では中国と手を携えている。外交とは、そういうものであろう。ある国の一方的手ごまになっては損である。
一方で日本国が侵略されないための戦略は、着々進めておかねばならない。それは、
(1)自国の価値を高める。
→経済、科学技術の実力向上、社会の安全・安定性、民主主義の確立等
(2)中国・米国・カナダ・豪州・東南アジア諸国との友好関係。特に韓国とは仲良くすべきである。その基礎は、日本による植民地政策の反省である。
(3)国際法の支配力の浸透に努力する。この面では、欧州・英国との連携が大切
→「侵略戦争=違法」は常識となっているが、これを諸国民に浸透させる
→国連の集団安全保障機能の強化(総会の強化、常任理事国の拒否権の弱体化)
(4)諸国民の国家意識を相対化させる努力をする。
(5)日中平和友好条約の再確認、軍縮条約、核禁条約、核兵器先制不使用条約等個別
の条約の充実。
(6)国際司法裁判所などの国際司法機関の強化への努力(日本政府による宣言)
(7)侵略は悪いという宣伝→そのため戦前の日本の侵略の反省の重なる明示
(8)自衛隊は、専守防衛に戻す(周辺事態法・安保法制廃棄)→米国の戦争に巻き込まれるリスク除去。専守防衛の方が効率が良い。
台湾有事については、考えがまとまらない。
そこで現在言えそうなことを列挙しておく。自信はない。
〇中国軍が台湾に侵攻した場合、これを国際法上の侵略とするのは困難。歴史的経緯から中国の国内問題とみることができるから。
〇米国は、中国軍が台湾に侵攻した場合、どの程度戦うか、本格的に戦うとは思えない。一方、中国は本気になるであろう。核心的利益という言葉に嘘はないだろう
となれば、日本が台湾有事に深入りは避けるべき。
〇安保法制の重要影響事態法の適用は避けるべき。安全のため安保法制は廃棄しておくべき。米国の武力に加えて日本の武力を加勢しても、中国の本気を抑えることは不可能と判断する
〇中国共産党の一党独裁よりは台湾の民主主義の方が格段に良い。台湾を守るため、世界は、中国軍の侵攻に対して、経済的制裁を明示しておくべき。中国に台湾進攻は、不利益であると知らせておくのは大切。
〇WWⅡでヒトラーはオーストリアを併合した。オーストリアにヒトラー迎合勢力が強力にあったからである。台湾に中国共産党独裁に迎合する勢力が増えないよう、世界は援助すべき。
〇台湾で独立派が強力になるのは、是か非か、分からぬ
〇中国の香港に対する姿勢を見れば、台湾人が一国二制度を信用するはずがない。中国はそれを自覚すべきであるが、共産党独裁政権はそれができない。少子高齢化、格差拡大によって中国の弱体化があればよい。米欧日豪韓台等の自由主義経済体制の優位を示せればいいけどもね。
4月19日朝追記
とか何とか昨晩勢いに任せて書いたけれども、これを担う指導者、あるいは政治勢力のことを考えると、絶望的な気になるなあ。とにかく台湾有事に軍事的に関与すべきでないとは言えると思う。軍事的関与の道=安保法制は廃棄すべきである、とは言えると思う。1999年(周辺事態法)以前の専守防衛に戻ることだ。