読書感想(1)「それでも習近平が中国経済を破壊する」他1

近頃読んだ本の感想を書く。今回の二つは、いずれも興味を持って読んだが、私にとって価値はなかった。お薦めはしない。私の備忘のためまとめておく。

 

まずは「それでも習近平中国経済を破壊する」

(浅香豊、ワック株式会社、2021年)

どの様な内容かは、目次の項目を見れば想像できよう。主なものを上げる

第1章 衝撃!中国GDPの大ウソ

李克強発言ー習近平に仕掛けた罠、コロナで失業率20%、失業者1億4千万、2020年GDPは、フェイクのオンパレード、輸入統計とGDPー実はマイナス成長)

第2章 崩壊した外貨準備高世界一

(赤字の国ほど外貨準備が必要、「世界一の外貨準備高」は、幻想だった、とどまらない外貨流出、国際金融のトリレンマ

第3章 債務危機のリアル

(金融システム破たん、地方政府の巨大赤字、民営経済はほぼ赤字、高速鉄道網ー赤字950兆円へ、国有企業は財テクで赤字急増、トリプルAの優良企業が続々デフォルト)

第4章 米中対立が拍車をかける

(嘘を押し通す中国の横暴、中国はずしの影響等)

第5章 崩壊ー習近平が経済を止める

(人口大減少で年金財政破綻、もう不平等は是正不可能、債務が600兆元を超えた等)

 

まとめると、中国経済の統計は改竄・ねつ造が多く、言われていることは嘘っぱち。GDPは恐らく2020年時点でマイナス成長、外貨準備高も枯渇しかけている。国有企業や地方政府、高速鉄道は大赤字。人口減少で年金財政破綻。ありえないレベルの債務拡大で経済成長してきた中国経済の大破綻が目前。

 

これが当たっているかどうかは、私には分からない。

そうかもしれないし、そうでないかもしれない、としか言いようがない。

多くの数字をあげて説明しているけれど、出どころを示していない。多くの中国の政治経済の要人の発言をひいているけれど、これまた出典を示していない。表が一つとグラフが一つしかない。

 

そうかもしれないしそうでないかもしれない,としか言えない。

 

ただ思ったのは、日本も人口減少、少子高齢化、債務激増が同じという事です。この本の言うことを信じると、日中共に没落か。

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「日本人の9割が思い違いをしている問題にあえて白黒をつけてみた」

武田邦彦ぶんか社、2014年)

著者が「一見とんでもない事が書かれているように思うけど、これこそが「事実で、これまで頭に入っていることが思い違い」(まえがき)というように一見常識外れのことを言っている。

言っていることを、私の視点で次のように分けてみた。

そうかもなとおもう事

消費税増税財政再建は出来ない

インデクスファンド(例えば「ダウ平均」に連動した株)を長期間持つのは正しい

取柄とは、他との比較で優れているという観点。何かで優れていなければなんて錯覚

女性の恥じらいは、男性の性欲誘導

変と思う事

〇台湾は歴史的には日本領土。日本が負けたので、現在は中華民国

南京大虐殺の死者は10名。

→当時の日本軍部指揮者たちの「本日○○名の捕虜処分」という報告を無視している

〇戦争は負けた方が良い

→戦後のドイツ・日本の経済的繁栄>英仏ソの経済的繁栄で言っているが視野が狭すぎ

〇トキは絶滅してよい。絶滅は次の進化に結び付く。生きる環境が苦しいから

→トキにも生きる権利があり、環境を整える義務が人間にはあるのでは

自然エネルギーは自然を破壊

→確かに破壊する。ではどんなエネルギーでやるというのか。破壊の程度の問題

半信半疑

〇喫煙者が激減したけど、肺がん死者も激増というデータ。タバコは優れた文化。

〇パチンコは健全な娯楽。

〇出産という人間活動がなくなるのは時間の問題

〇2歳半までの幼児は、父親を警戒している

〇石油は枯渇しない

生物多様性条約は、米国の経済的理由で作られたもの

言ってることが分からない事

〇中国は国ではない→城郭都市と日本の都市の違いから言っているが理解不能であった

尖閣は日本人だけに通じる日本固有の領土であり、世界的には固有の領土ではない

→これ理解できる人っているんだろうか

〇日本の借金は国民の借金ではない

→政府の借金だけど、結局国民が払うんじゃないの

 

まあ、どうでもいいことと説得力が弱い言説が多い、という私の感想である。