親切な警官と不真面目な最高裁

6月17日、生業裁判などの4つの原発被害訴訟の統一判断が、最高裁で出るという事で、

東京まで行ってきました。損害賠償は、国の決めた額よりももっと多く補償すべきだという最高裁の判決があり、確定しています。今回は、国にも原発事故の責任があるのではないかというのが、訴え内容です。

 

最高裁の判決は、3対1の多数意見で「国には責任がない」という内容でした。9年間戦った我々は敗訴しました。高裁では、3対1で国に責任があるという判決ですが、最高裁はこれを覆しました。

 

その論拠は、判決後の代表弁護士の基調報告や新聞各紙の報道を私なりに解釈すると、

1.国が、2002年の地震予測「長期評価」に基づいて東電を指導していたら、この評価に基づいた防潮堤がつくられていた可能性は高い

2.当時は、防潮堤で津波を防ぐという手段が主流で、装置の防水化や非常電源の高台移転などは、期待できなかった。

3.実際の地震は、長期評価のマグニチュード8.2に対して、9.1であり、長期評価に基づいた試算津波の浸水の深さは、2.6メートル以下、実際の浸水深の深さは、5.5mであった。

4.ゆえに仮に国が長期評価に基づいた防潮堤を東電に作らせても、海水の侵入は防ぎ得ず、今回のような事故が起きたと思われる。

5.ゆえに国の不作為による責任はないと判断する。

このような内容であると思います。

 

うーんと簡単にいうと、「国が東電に長期評価に基づいてやらせても多分事故が起きたので、国に責任はない」

という事だと思います。

 

これについては、私は言いたい。真面目にやれ、この税金泥棒と。

地裁でも高裁でも「津波が堤防を越えるか越えないか、予見できたかできないか」、そのおおもとの長期評価の信頼性で論争をして、それぞれ結論を出しているのに、最高裁はこの長期評価の信頼性の是非を判断してないのです。真面目に考えろ、バカ。

 

反対意見の三浦裁判官は、「長期評価は信頼できる、故に国は海水侵入を予見できた。

長期評価が想定してなかった南東方面からの海水侵入も当然想定すべきもの。もし防潮堤を作っていれば、被害が軽減でき、事故は起きなかった可能性がある。水密化や非常電源の高台移転も指導すべきであった」といいます。こちらの方がまっとうな判断です。

 

何と言っても「国は東電に何もやらせなかった」という事実は、否定できません。万一に備えさせるのが設置許可者の義務でしょう。

 

実は、東電は長期評価に基づいて、2008年最大高さ15.7メートルの津波という試算をしてました。これは実際の高さと同程度です。

 

この評価の妥当性が当時あやふやでも、万一に備えさせるべきでしょう。15.7mに備えさせるべきでしょう。国の不作為の責任は逃れられないです。そうではないですか、吉田裁判長!

・・・・

私は、方向音痴です。最高裁から報告集会の日本教育会館(千代田区一ツ橋)へ行くのに迷いました。メトロで永田町駅から神保町駅に行けばいいのですが、永田町駅に行くのに警官に2回聞きました。

 

また判決前集会から判決を待つまでの時間、千鳥ヶ淵墓苑に行きました。その時も警官(派出所)に聞きました。合計三回とも彼らは実に丁寧に行き方を教えてくれました。

 

同じ公務員でも下っ端の警官とトップの最高裁判事、どちらがまじめに国民に向き合ってますか。

 

私は怒りを込めて、国の責任を認めた少数派三浦守判事以外の3人は、国民審査で×を付けてやります。

・・・・

千鳥ヶ淵墓苑は3回目です。ご遺骨は、戦後遺骨収集団などの手で、持ち帰られたものです。勿論どなたかは分かりませんので、引き取り手がいません。(名前がわかる兵士・将校達は靖国神社に祀られています。A級戦犯も)

 

参拝者は私一人でした。(靖国と何と違うでしょう)

参拝の思いを書くノートがあります。見ますと「皆様のおかげで今の平和があります」

という記入が圧倒的です。

しかし私は複雑な思いです。皆様の中には餓死された方が多いと思います。具体的数は忘れましたが、戦争末期餓死者は膨大な数なんです。

 

極端な言い方をさせてもらえば、「餓死してくれたことにより、今の平和が」なんていえますか。国の間違いによって、大変失礼ですが、無駄死に犬死させられたと私は考えます。・・・慰めようもありません。

 

餓死ー5歳の子供が母親によって餓死させられた事件の判決がありました。その最後の言葉が「ママ、ごめん」だそうです。可哀そうでかわいそうで。滅んでしまえ、こんな国。

 

まあ、そうはいっても庶民の多くは真面目に生活してます。

裁判の報告集会でもバスの中でも、原告たちは、「第二陣の訴訟(生業訴訟では、まだ地裁段階で審理中)では、最高裁でも国の責任を認めさせるぞ」、と意気盛んでした。

頑張りましょう。