毎日新聞1月5日に、表題のような記事が掲載された。
福田氏は、「防衛力強化という気持ちはわかるが、どのように強化するかが問題」として、次のように言う。
①政府は年末、3文書で、中国の動きを国際社会への「最大の挑戦」と位置付けたが、小泉氏は「中国の発展は好機」として、安倍氏は「戦略的互恵関係」として、「挑戦」とは表現してこなかった。日本が近隣を含め、国際社会を刺激することはまずい
②反撃能力(敵基地攻撃能力)の明記は大きな転換で国内でも国際的にも理解を得る必要がある。
③このままでは日中の軍拡競争になる。それで両国は幸せになれるのか、日本はやっていけるのか、問いたい。
④中国もやみくもに日本と戦争しようと考えているわけではない。米国経済も中国抜きにはやっていけない。日米中とも同じ利益共同体と認識すべき
⓹日本は、国交回復以来、中台は一体と認め、米国も台湾独立に反対している。一方米国は台湾を軍事支援もしていて、あいまい戦略で、中国をけん制している。そのやり方は米国に良くないし、日本は加担すべきでない
⑥台湾有事は日本有事など、簡単に言うべきでない。
⑦50年前の日中国交回復とその6年後の日中平和友好条約は、関係を好転させ、中国が発展する契機となった。友好協力を前提に国交回復をしたことを思い出すべき
まったく同感である。そして当たり前のことを言っていると思う。もともとの自民党政府の姿勢もこれが基本的姿勢だった。
福田さん、自民党の先輩として、岸田さんにこう言ってくれませんか。
香田洋二元海自幕僚長は、「防衛費増を前から希望していたが、今回の防衛費増は、自衛隊の身の丈を超えている」(朝日新聞、12月23日)と言っている。
毎日新聞は、1月3日と4日、「平和国家はどこへ」という特集で、
①台湾有事での日米の作戦計画の策定作業は4年前から行われており、今最終段階
②台湾有事の際、中国は同時に尖閣にも侵攻、その対応策は日本単独で策定中
③現在中距離ミサイル保有数などで、中国が米国を上回る事態が起きており、米国は日本に戦力差の補完を期待
④米国は台湾に軍事援助を明確にしているが、米国は対決一辺倒ではない
⓹岸田首相は、保守本流で、そこは軽武装・経済重視であるが、政権基盤が弱いため、
安倍氏の「敵基地攻撃能力」(矛)の要求を呑んだ。
⑥中国・北朝鮮のミサイル作戦は、「変速軌道」「極超音速」「飽和攻撃」(防御力を上回る多数のミサイル)である。
⑦米国ですら正確に標的を把握するのが難しい。日本にこれができるか。米国は軍事衛星239基、日本は11基)
⑧中国は、日本の矛能力保持に反発している、林外相は今月訪中して説明する姿勢
そしてこの特集を
「反撃能力は本当に抑止力になりうるのか」と締めくくっている。
私は、今月から開かれる通常国会で
①中国・北朝鮮の上述⑥作戦のミサイルの基地(SLBM、地下式、移動式、中国奥地北西部)をすべてたたくのは可能か?すべてを撃ち落とすことは可能か?そのためにどのようなミサイルを持てばよいか?
②すべてを叩けなくとも、抑止になるのか?
③局地戦争を想定しているのか、全面戦争を覚悟する必要はないか、局地戦にとどめる方策はあるか?
④敵基地攻撃は、先制攻撃にならないか(国際法違反)
⓹米国は、日中戦争、中台戦争にどの程度介入するか、台湾・日本を見捨てないか。
中国は戦略核を使わないか。
⑥局地戦・全面戦争での勝敗、その基準。どこでやめるか。その戦費捻出方法(国債をどのくらい発行できるか)
⑦日本の経済制裁の手段、相手の経済制裁の日本への影響、それに耐えうるか。どのくらいの期間たえうるのか。中国進出の日本企業をどうするか?(戦争の前には経済制裁をするのが国際ルール)
⑧どのくらいの敵基地攻撃能力でどのくらいのお金がかかるのか?それをどう賄うか。
増税か、国債発行か、それは、社会保障費・文教科学費・公共事業費・地方交付税を圧迫しないか。防衛費(増)は、国策として得か、損か。別な方へ回した方がいいのではないか。少子化がすすむ日本で自衛官を確保できるのか
⑨中台戦争に日本が介入する正当な根拠はあるのか
⑩外交攻勢、例えば、国際紛争は国際裁定にゆだねようという提案はどうか。日中、
日米中首脳会談で軍縮をしたらどうか、同会談で先制攻撃はしない約束はどうか、東・東南アジア平和会談で軍縮・突発的軍事衝突防止・紛争の平和的解決の確認等をしたらどうか。
⑪安保条約を廃棄した方が安全ではないのか、専守防衛に戻した方がいいのではないか
(2015年安保法制以前、1999年周辺事態法以前に戻す)
⑫非武装中立方式の方が安全・安上がりではないのか。
こんなことを、国会で議論して国民に知らせてほしいと思っている。