皆で貧乏になるか、手術の痛みに耐えて新しい経済を生みだすか

風が強かったですが、今日は地元のスタンデイングに参加してきました。参加者は9名です。午後から曇りという予報に反して、晴れでした。ところが、風が冷たい。強い風で、軍手の手先が凍りそうでした。

 

私のプラカードは、変わり映えしませんが、皆のプラカードは、様々です。

「子どもを殺すな、せんそうはだめよ」というのがありました。通りかかる子供向けに作ったんだそうです。

私「大人の反応が鈍いので子供向けに?」と言ったら、笑いながらその人、先週金曜日の夕方、原発反対のスタンデイングしてたら、女子高校生が10名ほど通りかかって、原発反対」と言いながら、踊りを踊りだしたのだそうです。その人もまざったんだそうです。その人、80歳を超えてます。俺も参加してればよかったな(笑)女子高校生と一緒に踊るなんて機会は、奇跡です(笑)

 

そのほかのプラには、汚染水排出反対、電気料値上げ反対、マイナカードで個人情報を管理するな、なんてのもありました。

 

安保法制反対で始まったスタンデイングなんですが、相馬は、何でもありの、意見表明の場所になりました。それも大いに結構。

 

値上げが困るという話があったそうです。妻に聞いたのですが、小規模のストアを経営しているスタンデイング仲間、「1か月の電気代が70万だったのが、100万になって、儲けが出ない。店を半分にするか」、とか言ってたそうです。

 

食事当番の私としても、ほんとに食品の値上げは痛い。880円のウナギ(中国産・特大)が、980円・中型となりました。卵の値上げは目覚ましい。大10個180円が、240円前後になっている。しかも数量制限です。ちくわは90円前後が変わらないんだけど、随分小さくなった。前はキウリとソーセージを入れられたのに、どちらかしか入れられないくらい小さくなった。

 

ウクライナ戦争も効いているだろうけど、円安も大きいと思われます。円安は、日本政府の政策の影響が大きい。円安は、輸出企業は儲かるけど、電気代をはじめ食品類の値上げで、庶民生活は苦しくなる。政策の間違いじゃないか。これに関して、以下の新聞記事を紹介します。

 

長くなりますので、そして字だらけでは寂しいので、前のスタンデイングの写真を載せます。今日はカメラを持って行きませんでした。

 

毎日新聞(2月19日)では、池上彰と、野口悠紀雄(一橋大名誉教授)の対談方式で、野口が日本経済について、語ってました。結構重要かなと思いましたので、野口の考えをまとめて、私の感想を述べます。と言っても勿論素人考えです。

 

野口氏の考えのまとめ

①日本は、2000年代初めから政府が為替介入で円安に誘導した。その結果製造業は、利益が上がったが、それに安住し、技術開発・新しいビジネスモデル構築をしなかった。

②安住(≒麻薬)の結果、企業の稼ぐ力が伸びず(付加価値が伸びず)、賃金も上がらなかった。

③稼ぐ力が伸びない大きな理由は、中国の工業化(安い賃金の豊富な労働力)で、日本の製造業は、打撃を受けた。

④米国は、中国の工業化に対して、製造業から情報産業・IT産業に構造改革(手術)をして復活した。アジアでは韓国・台湾が構造改革に成功した。先進国の多くが動く中で、日本は動かなかった。

⓹日本は、構造改革の痛みに耐えて経済発展を目指すか、このままに安住し皆で貧乏になるかという選択がある。私(野口)は前者を選ぶべきと思う。

⑥日銀は、まずは、できなかった消費者物価の2%上昇という目標をやめるべき。長期金利の上昇を抑える政策もやめるべき。異次元の金融緩和もやめるべき。金利為替相場は、市場にゆだねるべきである。

⑦防衛費増のため、国債の返却期間の延長は、まやかし。それは赤字国債と借り換え債の入れ替えに過ぎない

 

私の感想

①~④は、当たってそうである。しかし一方、日本の強みは製造業だという指摘もある。今更米国・韓国・台湾の後追いをして、情報産業・IT産業に中心を移す大手術をしても、その産業で付加価値の高い業種が育つのか、競争で勝てるのか疑問である。そんな大きな手術よりも、手慣れた製造業でこそ、中規模の手術を施した方が良いのではないか。

 

手術の方法について、野口は語ってない。私は、北欧のどこかの国がやった、製造業・販売業・情報産業・IT産業すべてを通じて、もっと細かい業界ごとに最低賃金を設けて、付加価値を得られぬ企業には退場してもらう、という方法が良いと思う。・・・しかし、これ、ホントに痛いなあ。

 

これは、言うは易く行うは難しですね。最低限、労働者の失業保険の充実・別な業界に転職するための再学習の無料化はぜひ必要ですね。企業経営者の失敗も、その本人にとって受け入れやすい環境整備も必要です。再起もできるようにしたい。

 

これを担う政党はあるか?業界利益に奉仕して甘い汁を吸う与党にはできませんね。

大きな展望(目先の利益を言うのでなく)を持たない野党にもできませんね。

 

うーん、まあ、皆で貧乏になるしかないかな。

 

1930年の浜口雄幸井上準之助コンビのような政治家でないとできない。彼等は、「やがてよくなるから、今は痛みにたえろ」と、国民に訴えた。そんなこと言える政治家が今いるか。しかし彼ら(浜口・井上)も、世界恐慌を正しく認識できず、大きく間違ってしまった。緊縮財政=金本位制ではなく、ケインズ流の積極財政=管理通貨制が正しかった。しかしこれは結果論です。

俺は間違ったけど、浜口や井上は、かっこいいと思っています(小説「男子の本懐」(城山三郎)の影響です)

 

 ⓹は、現実論として、皆で貧乏になるのはやむなしとして、できるだけ平等に(政府による所得再配分を強化して)貧乏になることに、注力すべきと思う。

 

 

⑦は、その通りと思う。国債は今すぐの痛みを伴わないので危険。成長の望めない経済には、麻薬と思います。防衛費増が正しいとしても、国債は後世代に負担を回すので、防衛費増の痛みは、現世代がひき受けるべきです。

 

⑥は、よくわかりません。私は、野口の主張を「日銀の過度の為替介入(低金利政策)及び国債引き受け(政府の国債増発支援)による円安誘導をやめる」という方策だと判断します。そして為替相場を市場に任せるという方策だと思います。

 

確かに、アベノミクスで日本経済は成長できませんでした。庶民生活も苦しくなりました。結局失敗だったわけです。

 

だから野口のこの施策で良いと思うのですが、一方、市場に任せた場合、これまたどんな副作用が起きるか、心配です。激変は避けるべきです。徐々に徐々にアベノミクスの失敗から軟着陸してほしいです。