スノードロップ様、おいたわしや

私は誰でしょう?

「私たちのファミリーは代々、軟禁状態に置かれてきました。私達には人権もなく、姓もなく、表現の自由や移動の自由、職業選択の自由・・もありません」

不妊治療が始められると、私は完全に「産む機械」扱いされました

「娘がうまれたあともバッシングはやむどころか、増幅されてゆきました」

「私を守ってくれたのは夫だけでした」

「今日は夫の誕生日でした。御所や宮殿では形式的な祝賀が延々と続きました」

 

そうです。

 

パラレルワールドの「雅子皇后」です。(作者島田雅彦の言葉)

上の「  」は、小説「スノードロップ」(島田雅彦、2020年)の中の、皇后の心のつぶやきです。

 

私は、現実の天皇家の様々なことに、ほとんど関心がありません。知識もありません。しかし、どこかで聞いたことから想像すると、島田は、「雅子皇后」を想像させる書き方をしています。

 

全く、可哀そうなファミリーです。皇后さまも、おいたわしい。

 

小説の中の皇后は、ネットの中では、スノードロップというハンドルネームで思ったことをどんどん発言していきます。日本国憲法に背くばかりの、時の政権に不満を募らせていきます。(どうも安倍首相を想起させる書き方です)

 

そして、彼女は、ネット空間だけでなく、露国大統領や米国大統領や中国国家主席との外交場面でも、日本国憲法にそった、政治的発言をしていきます。

 

 

やがて夫君も皇后に動かされ、決断して「詔勅」を出します。その中身は、・・・

 

 

島田雅彦は、2015年「虚人の星」では、総理の反乱で、2022年「パンとサーカス」では、反体制につながる勢力の総出演で、2020年スノードロップでは、皇后・天皇の反乱で、政権の右傾的反憲法的政治に、反逆を試みています。

 

 

護憲三部作と言っていいでしょう。(笑)

 

この「スノードロップ」は、歴史や憲法や法律や皇室について、多分、虚実交えた新知識、新解釈?を得られます。とっても面白い。

 

ユーモアもあるなあ。例えば、寅さんの放浪≒昭和様の行商。

 

 

そういえば、明日は天皇誕生日です。この感想文、別にこの日を狙ったわけではありません。偶然なんです。

 

 

そうだ、言っておこう。スノードロップさん、頑張れ!思った通りに行動せよ、と。