東大と日本人シリーズの第2回を見ました。東大の女子学生の割合が2割の壁を越えられないという内容でした。大事なことを言っていると思います。感想を書いておきます.
番組も私の感想も、まとまりはありません。
東大は、戦前には、女子は入れず、戦後入学可能となりました。しかし1割程度が長く続き、1980年代に入って2割となりました。その後停滞して現在に至っているのだそうです。番組は、これを問題視しています。
(1)これは東大に限ったことではありません。難関大は軒並み、女子学生の割合が少ないです。
参考:2021年の女子の割合(開成予備校調べ)
◎大学全体では、45.7%が女子占有率
一方難関大は、
◎東大19.3%、京都大22.3%、東北大26.6%、北大29.1%、大阪大34.3%、早大37.5%
慶応37.0%、立命館大37.3%、一ツ橋大29.0%、東工大11.1%。
(2)ところが、世界では難関大の男女比率は日本と大きく違う
北京大、ハーバード大、オクスフォード大、国立シンガポール大は、男女比はほぼ同じだそうです。
日本の女子が世界の女子に比べて能力が低いとは考えられません。つまり、日本は、女子の能力を生かしてない、ということです。これって、日本の停滞の大きな一因と考えられます。
ほんとかとおもって、少し調べてみました。
後で触れるアグネスの留学先=スタンフォード大(世界6位、東大は世界28位~32位:英国の大学評価機関QSなどによる順位)は、47%が女子(2021年)
オクスフォード大(QSによる評価で世界1位の大学=2021年)は、英国学生での女子占有率が2020年から2023年に52%~55%。
世界ナンバーワンの大学では、自国の学生数では、女子のほうが男子学生より多い。
男尊女卑が影響するのかと思って、儒教圏・韓国のソウル大を調べたら、近時、女子占有率は4割を超えるというのです。うーむ・・・日本は韓国に抜かれるわけだ。
日本の難関大で、4割を超える大学なんて一つもありません。
(3)日本の難関大の女子占有率の異常な低さは、間違いなく、日本の停滞の一因と思います。ここを改善すべきでしょう。ではなぜ、女子占有率が低いのでしょうか。
この番組では、東大卒女子の社会に出てからの厳しい待遇を強調していました。
〇出版社に就職したとき、500円安くていいかといわれ、ハイといった(1957年卒)
〇東大医学部を出て東大病院の助手になったのに、9年間無給→これはひどい
〇一人前の仕事を任せられない。管理職にする気がない。
〇高級官僚になり、予算時期など夜昼なく働いた。「自分が作った公園で、子や孫と過ごすのが夢」だったが、生涯独身、66歳で死去。
→この人が人生の夢を実現するためには、どうすればよかったか。高級官僚の働く時間の制限をするには?→政治の無理な要求を制限、仕事の分担の仕組み、外注制度、・・何か考えられたろうに。
→女性が社会で活躍できる環境を整備しないとね。
〇現役女子東大生の研究
親に「夫より給料高いと嫁に行けなくなる」なんて意識がある。
親に「女の子は近くにいてもらいたい」という意識があり、地方出身の女子東大生は少ない
(4)東大入学女子が1割を超え2割になったのは、1985年の「男女雇用機会均等法」
の影響がある。しかし、それは、平等の名目で、女子に、男子と同じ深夜勤を含む長時間労働・転勤を強いた。
→これは大きな失敗。これでは、仕事と家庭を両立できないから、意欲・能力がある女子は、難関大を敬遠します。→女性が仕事と家庭を両立できる制度を作るべきでした。
ところが、同時期、女性は家庭にという制度を作っていました(例えば三号被保険者、年収の壁)ばかなことをしたもんだ。これでは、世界の国々のようには、女性の能力を生かせないはずです。
(5)アグネス=チャンさんの研究
〇アグネスは、子供を産んだ後、子連れで仕事場に復帰、それを問題視する風潮があり、論争が起きた(アグネス論争=1987年)
〇アグネスは、スタンフォード大に子連れ留学。
アグネスの体験。「夜の授業は赤んぼがいるので来なくていいですか」、と言ったら、教授は「だめ、子連れで来てください」。ほかにもお母さんがいて、教室の一番後ろに座って、赤んぼが泣いたら、おっぱい出して母乳を飲ませた。だれもこれを変に思わない。子連れの男子学生がいたので聞いたら、「奥さんがネイルに行ったので、仕方なく連れてきた」
→うーん、何と言ったらいいか。
〇アグネスの博士論文「東大卒女性の仕事と家事」
1991年段階での東大卒30歳代女性について。
仕事をやめている人が多かった。一番多いのは専業主婦。
仕事をしている女性は、男性の72%の給料
家事の87%は女性。スタンフォード大卒では、51%が女性。
アグネスは言う「東大出ても女性は能力を生かせないのだから、賢い女性は東大を選ばない。もっと見通しのいい進路を選ぶ」
→うーん、これでは東大卒女性の能力を生かせないな。なるほど、女性が東大を目指さないのは当然だ。スタンフォード大は、大学のランクで、東大のはるか上の名門である。そこで、赤んぼ連れが変にみられないというのだから、日本が衰退するのも当たり前ですね。
男女雇用危機均等法が作られたのが1985年、アグネスがスタンフォード大修士課程を卒業したのが1992年。1994年には同大の博士号取得。
1995年世界に占める日本のGDPは、17.6%、同年の一人当たりGDPは、ルクセンブルク・スイスに次いで三位。それから約30年、2020年世界に占める日本のGDP割合は、5.3%。2024年一人当たりのGDPは、世界の29位。
失われた30年というが、30年前の経済の全盛期にすでに衰退の種がまかれていたわけです。女性の能力を生かしていないという大きな種。今でも難関大での女性の占める割合は、改善してない故、衰退の種は成長しています。
(6)改善策
上野千鶴子「推薦入試の割合を3分の1に増やす。推薦合格は、約半数が女子」
ソウル大は、推薦枠を増やしたのが、女子割合を4割に押し上げた
米国プリンストン大学では、学長が女性になり、学部長などに女性を登用。優秀な女性人材を育てた(最高裁判事など)。それが若い女性の励みにもなる
(7)「かわいいだけじゃだめですか」
東大のダンスサークルが駒場祭で「かわいいだけじゃだめですか」という歌を披露していました。知らない歌なのでネットで見たら、その歌詞は、「かわいい」で世界を制覇する!みたいな歌でした。
「かわいいと思われたい」、というのは、かわいいと思うのは別な人間なんで、別な人間に迎合する、ということじゃないのかな。
それって自分を殺すということなんじゃないか、と思いました。
こんな歌がはやる、あるいは、はやらせる、というのは、自己主張をしない、自分の考えを出さないということが大切という人生観で生きることであり、それは、社会全体の活力を奪い、発展をじゃまするのでは、と思いました。
上野千鶴子は言います。「女の子は小さい時からかわいいということを望まれた。しかし、かわいいという価値は、選ばれる・守られるということを意味し、それは、相手を脅かさないということも含んでいる」と。
なるほど。あの、男女雇用機会均等法のとき、経済界のお偉いさんは言いました。「実効性のないような法律にしろ」と。
また、平等の名のもと、女子に、男子同様の労働(深夜勤務など)を求めました。
それって、能力ある女子に己の地位を脅かされる男の恐れがあったのではないかな。同時期に3号被保険者制度・年収の壁を作ったのも、男の既得権維持のため、優秀な女性に自分の地位を脅かされる男の恐れがあったのでは、と思いました。