朝日新聞4月22日の耕論で、「戦後は終わったのか」という題で、3人の学者へのインタビュー記事がありました。それをまとめてみます。また自分の感想を少々。
①第二次大戦(WW2 )後の安定期が今揺らいでいる。日本もこの安定期に日米安保体制を中心に、平和を享受してきた。しかし、この安定期を作った米国自身が変質している。
②WW2後、安全保障に制約を課せられたのは、ドイツと日本で、ドイツは安全保障上の制約を徐々に打破してきた。日本はドイツに比べ遅かった。
③自衛戦力を持たないという憲法はおかしい。戦後安定期が崩壊しつつある現在、「西太平洋連合」(日本・韓国・東南アジア・豪州・太平洋諸島)を作り、中・ロ・印・米という自国第一主義国と対峙すべき。
④石破首相の80年談話には、もうおわびの要素は必要ない。
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①はその通りと思う。
②ドイツはNATOという米欧の多国からなる軍事同盟の一国として行動しているので、意味ない比較。ドイツ一国の軍事力評価は、日本一国より下。安全保障上の制約を外すのがいいかどうかは別問題。
③憲法が自衛戦力を認めないという解釈は、もはや無意味。「西太平洋連合」には賛成。ただし同時に中国とも友好を進めるべき。敵視や封じ込めははまずい。
④おわびはぜひ必要。氏が高く評価するらしいドイツはおわびを基本にしている。政権を担当してきた自民党の有力者はしばしばおわびを無視する。おわびは、西太平洋連合を作るのにも必要不可欠のもの。
Bキャロル・グラック 歴史学者 コロンビア大教授
①戦後という考え方は、日本独自。経済白書「もはや戦後ではない」~安倍首相の「戦後レジームからの脱却」まで、ずーと続いてきた
②それは、日本国民が戦後を高く評価しているからだ。戦後は、戦前の暗い時期を覆い隠すほどの平和と繁栄を現出したからだ。しかし、日本の戦後が、アジアの被害者に十分謝罪したかどうかは問題で、戦前の記憶は重要だ。
③新しい戦前が来るとは思っていないが、今はめったにない歴史的転換点だ。それは、ニクソンショックや石油危機の70年代から始まっている。日本は、幕末のような「戦後末」と呼ぶべき時代に生きている。
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①②は、その通りと思う。
③今はほんとに「戦後末」なのかもと思った。どのような歴史的転換点なんだろう、それが聞きたかったな。
C 山本昭宏 歴史社会学者 神戸市外語大教授
①スタジオジブリの作品には、戦後民主主義的な価値観が表れている
②平和主義・民主主義・個人主義に加え、「天空のラピュタ」に見る如く、自己実現が社会の豊かさにつながるという考えも戦後民主主義の価値観
③戦争の描き方には、平和間(平和観)の変遷が見られる。「紅の豚」では、主人公は、国を背負って戦うなんてあほらしいと考えているが、「ハウルの動く城」では、主人公は、大切な人を守るため戦わなくてはいけない、と変化している
④戦後民主主義は、過去の遺物といわれて久しい。9条は足が地についてないと批判され、世界は戦う場所という競争原理も強調されている。しかし、ジブリ作品がヒットし続けているのは、観客は、そうと知らずに戦後民主主義的雰囲気にひかれているからではないか。
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「天空のラピュタ」「紅の豚」「ハウルの動く城」、いずれも見てないので何とも言えない。歴史社会学というのは、映画や文学作品を分析して歴史を考えるものなのかな、と思った。面白そうな学問だ。
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「戦後」という言葉も「戦後民主主義」という言葉もいろんな意味や文脈に使われていて、しっかり定義することから話を始めなければならないのだろうと思う。
私は、戦後民主主義を、人類普遍の民主主義(個人の権利の尊重・個人の国家・社会の決定権)とある特殊歴史的状況の中で成立した現憲法の平和主義に分けて考えるべきと思っている。