棚田/銀座/恋・愛の創造力・破壊力

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ETV特集「カイル博士と棚田の集落」

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岡山県久米郡の上籾(もみ)という集落とそこに8年前移住したカイル博士の話である。

 

カイル氏は、米国ウイスコンシン州出身で、循環型農業とそれと関連する建築に興味を持ち、日本で農学・建築学の博士号をとった。彼は循環型農業を目指し、この上籾にやってきた。

 

彼は、9枚の田(合計約1ha)の田と畑でほぼ自給自足の生活をしている。「棚田は斜面にあり、この斜面が土に栄養を補給する」という。びっくりしたことに、昔ながらの手植えの田植えである。町の人にも紹介して、一緒に作業をしている。

 

番組は一方、この上籾集落の厳しい現状を伝える。昭和30年代の500人が現在30世帯70人に激減、棚田面積も4分の1に減少、原因は担い手不足。コメ農家は現在15軒、ほとんど70代以上だそうだ。

 

棚田を守ろうとする50代女性と集落の中心人物(70代後半男性)の論争が悲しい。放棄された棚田は、部落共有で管理しているが、女性は「もっと草刈りを」という。中心人物は、「そんなの絶対無理」という。皆棚田を守りたい気持ちは同じであるが、それができない・

 

「放棄された棚田は、山になっていく。1200年もかけて先祖が整備して、延々と守ってきたのに」と別の男性が悲しそうに言う。

 

カイル博士は、棚田を守ろうというが、集落の人「自給自足といったって食えないだろう。子ができ、祖父母計6人の場合、どうだ。やっていけないだろう」

 

政府の中山間地直接支援金の件でも、集落の苦闘が続く。

 

補助を完全にもらうためには、条件が厳しい。一番厳しかったのは、この先5年間の集落役員を決めること。現在の役員はダメという条件がある。今回は、なんとかクリアした。

 

ドローンで見る棚田は、実に美しい。

「逝きし世の面影」で紹介されている、江戸末期・明治初期に来日した外国人が「美しい」と絶賛した日本の田園風景がこれだろう。

 

1200年にわたる先祖の努力を考えると、このまま消えるのは、あまりにもあまりにも惜しいと思う。

 

補助金は、集落全体で400万/年。7割が農家の収入、3割は共通経費とのことだ。15軒で割ると1軒あたり20万にならない。ウーム、すくなすぎるのではないかと思う。

 

日本の農家は保護されすぎているという説がある。世界各国の農業保護率をAIに聞くと確かに日本・韓国が高く、EU/米国は低い。一方、鈴木宜弘東大教授のように、別な指標を使い、「日本農業の過保護」という説は間違いだ、という指摘もある。分からない。

 

少なくとも平地の農業と中山間地の農業を同列に扱うのは間違っているだろう。

 

 

映像の世紀バタフライエフェクト「銀座の100年の歴史」

題名のごとく、銀座の明治以降の変化を追った番組である。

明治・・・文明開化の発信地(ガス灯・馬車鉄道・レンガ造り街並み、服部時計店

大正末・・・関東大震災(1923年)全域消失したがモダン都市として再生

      (モダンガール、カフェ文化、女給流行、松坂屋の土足入場・屋上動物園)

日中戦争(1937年~)・・・軍国主義の宣伝(戦車隊行進、防空演習)

太平洋戦争(1941年~)・・若鷲隊行進・モンペ部隊、千人針、昭和20年空襲で灰燼

戦後(1945年以降)

 占領時代・・・主役はアメリカ人・アメリカ兵、服部時計店は、日本人禁止、銀座7

        丁目に売春宿。街娼。ブギウギ

 独立(1952年)・・・大衆文化の発信地(高級クラブ・丸山明宏・三島由紀夫

 高度成長時代(1955年~)さらに輝きを増す。石原裕次郎、1972年歩行者天国

 バブル時代(1980年代後半~)熱気、高額商品(宝飾品等)飛ぶように売れる

               一坪1.2億円も出現

               税負担が大きいため、日劇・銀パリ閉店

               明治以来の変わらぬ店も(セイコー鳩居堂等)

 バブル崩壊以降現在・・・海外からの富裕層闊歩

 

銀座とは、100年の間になんと急激な、大きな変貌をした町か。日本国の明治以降の変化を忠実に映している。関東大震災・空襲での廃墟、モガからモンペへ、海軍航空隊員→米兵→日本富裕層→外国人富裕層(銀座を闊歩する人)、店舗の栄枯盛衰。

 

「玉敷のみやこのうちに、棟を並べ、甍を争へる、高き、賤しき、人の住まひは、世々を経て、尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家は希なり、あるは、去年焼けて今年造れり、あるいは大家滅びて小家となる・・・」(方丈記

 

一方、棚田は、1200年かけて徐々に整備され、維持され、徐々に衰退していく。

 

私は、この二つをNHK+oneで見たのであるが、なんと並んでいる!

 

棚田と銀座。

 

意図的ではないと思うが、何か考えさせられる。

 

農村と都。

 

この棚田が誕生した1200年前、平安時代初期は律令制体制。農民は、租庸調雑徭などの税を負担した。その税で都の高い生活や文化が花開いた。

 

高度成長期(1955年~1973年)やそれ以後も、

農村は、団塊世代を中心に、出稼ぎも含めて、工場・土建業・金融・商業・デパート・公務員等々へ、労働力を大量に、長期間、供給した。

 

(ドラマ「わが歌は、はないちもんめ」、朝ドラ「ひよっこ」や小説「夜明け朝あけ」を私は、思い出す。都会に出て都会で人生を終えた叔父・叔母を連想する。友人や級友たちをも思い出す。)

 

彼らを基礎的栄養(マルクス経済学の労働価値説・剰余価値収奪説)とした経済成長の上に、都の繫栄がある。

 

都の中心、銀座に集まる富裕層、その欲望の上に咲いた高級クラブ文化がある。そんな

思いがする。

 

銀座は、太平洋戦争劈頭、真珠湾を攻撃した空母部隊の戦闘機・爆撃機などを連想させる。日本の全ての労働力・経済・技術・文化・思想を結集した最先端の攻撃部隊。

 

どうも変な思いが頭に浮かぶ。

 

番組では、白洲次郎を取り合った伝説的な二人の銀座マダムの話もあった。本人たちには、深刻かもしれないが、この三角関係は、端から見たら、遊びに見える。社会全体に大きな影響はない。

 

社会全体に大きな影響を与えた恋・愛についての番組を見た。

それがねえ、またまた「銀座」番組の隣(NHK+oneで)の映像の世紀バタフライ・エフェクト・運命の恋人たち」だ。

 

おいおいNHK、俺を狂わせるつもりか?

 

この番組は、前半は、マリリン・モンローの恋愛・結婚・破綻・死を中心に描いている。彼女には興味はないが、改めてみると、なるほどかわいい人ではある。自然に身に付いた媚態。男を狂わせる。

 

彼女自身は、真実の愛を求めて、さまよった人生だったように見える。その衝動は、孤児院で育ったという人生の出発点にあるのかもしれない。

 

マリリンの話の陰で、歴史を動かす大きな恋愛が描かれている。

 

1960年代、人種差別が激しい米国南部バージニア州で、白人男性リチャードと黒人女性ミルドレッドの結婚に関する裁判である。

 

幼なじみの結婚であったが、州法は異人種間の結婚を違法としていた。

逮捕され裁判に訴えたが、敗訴。二人は故郷を離れ、黒人スラム街に隠れて生活した。

二人は、司法長官である、ケネディ大統領の弟R・ケネディに手紙を送った。彼は、有能な弁護士をつけてやった。

当時ケネディ大統領は、公民権法(人種差別撤廃)を成立させていた。

1967年米国最高裁は、二人の結婚を合法、違法とする州法は憲法違反と裁定した。これ以後、すべての州で、異人種間結婚禁止法が撤廃された。

 

この番組の後半は、エルトン・ジョンとダイアナ妃を中心の話である。

エルトン・ジョンは、同性愛者。ダイアナ妃は、不幸な結婚をしていた。この二人のつながりは、ダイアナ妃が、エイズへの偏見を打ち破ろうとしたことである。(同性愛がエイズの蔓延をもたらす)

やがて、英国では、2005年同性パートナーシップが認められる。2015年米国で、同性カップル婚合法。この時の最高裁が参考にしたのは、あの1967年のリチャードとミルドレッド夫妻の結婚を合法化した裁判だそうだ。

リチャードたちの結婚は、愛は、歴史を変えた。

 

異人種間結婚、同性婚、改めて考えれば、人が人を好きになるのは自然現象。各人の自由で、国家や社会や多数派が口出してはいけないことだ。

 

高市自・維政権が出来て、後退した感がある「選択的夫婦別姓制度」は、各人の自由だ。多数派は口出しするな。自分たちの道徳感・人生観・結婚観を押し付けるな。希望する夫婦は別姓にしてよい、ごく当たり前のことだ。早く成立させろ。

 

所で、この「運命の恋人たち」、どうも前に見たような気がする。

調べたら、同じ名前で、別な内容(一部同じ)のバタフライ・エフェクトがあった。

こちらは、主に、イギリス国王エドワード8世と恋人ウォリスの話とナチス宣伝相ゲッペルスと妻マグダの話である。

 

前者は、エドワード国王が恋人を手に入れるため、王位を捨てる話である。すごい話だなあ。

 

恋の破壊力!

王室(家族)・政府・教会・国民世論を敵に回しての、恋の成就だからものすごい。いわば、全世界を敵に回して恋・愛を貫いたんだからなあ。

エドワード夫妻に喝さいを送る。

跡を継いだ弟ジョージの吃音克服の話もすごい。ジョージの長女がこの前亡くなったエリザベス女王なんだが、運命だねえ。人は運命に左右されるね。

 

将来女王になることが運命づけられたエリザベスに対しての妹の言葉「かわいそう」

が印象深い。

 

エドワード8世は、親ナチ的なところがあったそうだ。そのまま王位でいたら、少々孤立気味の首相チャーチルも、ドイツに対して徹底抗戦を言えなかったかも、と番組は言っている。

 

ウーム。歴史にイフはないけれど。

 

独英の手打ちとなれば、ソ連がドイツに敗れたかもしれない。日米交渉が成立したかもしれない。日中も手打ちかも。軍国主義日本が存在したかも。日本、負けてよかった。空想の羽ばたきすぎだ(笑)

 

番組のもひとつは、ゲッペルス・マクダの結婚だ。

マクダは、実はヒトラーそのひとを愛していた。ヒトラーへの愛のため、不仲になった夫との模範的家族を演じた。

ヒトラーは、女性の支持を取り付けるため、結婚はしない。マクダは離婚しようとしたが、ヒトラーは、ナチス・ドイツのため、それを阻止する。マクダの愛は不毛だ。

 

ベルリン陥落の時、ヒトラーは、自分の持つナチス会員証NO1をマクダにくれる。ヒトラーもマクダの気持ちをわかっていたのか。

ヒトラーの「ベルリンを離れろ」という言葉に反して、マクダは、総統官邸地下へ行く。6人の子供も道連れにする。

「総統と一緒に死ねるなんて運命です。ナチスもなく、ヒトラーもいない世界には生きたくない。ですから子供も連れていきます」

 

恐ろしい破壊的な愛だ。恐ろしい。