自民党は、6月1日、「国旗損壊罪創設」を今国会で成立させることを決めました。
国旗損壊罪は、「公然と国旗を損壊、除去または汚損」した場合、2年以下の拘禁刑または20万以下の罰金を科すというものです。
この法案には、いろんな疑問がわきます。
岩谷毅氏は、反対を表明し(毎日新聞1月1日、インタビュー)、
①立法事実がない。
②愛国心は強制すべきでないものでない
③処罰は何らかのアピールのためのものでない。国民の自由を束縛しないことが
民主国家として大切だ
という主張しました。私もこれに同意します。
岩谷氏のインタビューは、新聞または、過去拙ブログを参照してください。
a0153.hatenablog.com
立法事実とは、そうしなければならぬ行為の有無のことです。必要性です。
私は、国旗が壊されたという行為は聞きません。
私は、沖縄国体(1987年)で、国旗を引き下ろし火をつけたという行為しか思い出せません。この場合、器物損壊罪で有罪判決を受けました。
皆さん、国旗を引きずり下ろし、火をつけた、汚したなんて行為を聞いたことがありますか?ないでしょう。つまり国旗損壊罪なんて不必要なんです。(立法事実がない)
不必要なのにどうして新しい罰を作るのか、何かの脅しでしょう。
岩谷氏の言う通り、罰を「何かのアピールのため」に使うのはよくありません。
所で、沖縄の件のように、器物損壊罪という刑罰があるのに、なぜ新しく国旗損壊罪を設ける必要があると自民党は、考えるのでしょうね。
ここにポイントがありそうです。
器物損壊罪は、他人の器物を壊すことの罪です。他人の物を壊すのですから、処罰は当たり前です。
国旗損壊罪は、違います。自分の国旗を壊すことを罰することです。
自分のもの、例えば、スマホとか食器とか自転車とかを壊しても罪になりません。
国旗だけは別という考え方なんです。
どういう考えなのでしょう。
自分のものでも、「国旗は特別だ、大切にせよ。壊したら罰するぞ、と国家が個人を脅すのが国旗損壊罪です。
なぜ国旗は特別、大切なものだ、と自民党はいうのでしょうか。
国旗とは何でしょうか。
ほとんどの人は、国旗を日本国の象徴と思うでしょう。
つまりは、国旗損壊罪は、日本国を大切にせよ、大切にしないと罰するぞ、という意味
にもなりえます。
日本国といっても、人それぞれ思うことは様々でしょう。
かつて「保育園落ちた、日本死ね」と言ったお母さんがあります。
様々な思いを捨てて、無前提に、無条件に日本国を愛せ、なんておかしいです。
岩谷氏が言うように、愛国心を罰によって強制するなんてできません。
心を強制する国家なんて、愛することなんてできません。愛は自然なものです。
愛さないと罰するぞ、なんていう国家を愛することができますか。
男女の愛情でも、何らかの関係で強い方が愛を強制したら、強制された方は、強制したほうを愛しますか?かえって嫌うでしょう。
国旗日の丸(国歌君が代も)は、嫌だと思う人もいるわけです。
(私は、君が代が国歌なのはいやですし、絶対歌いません。日の丸は何も思いません)
1999年国旗国歌法(日の丸を国旗に、君が代を国歌にするという法律)が成立したとき、日の丸は、侵略戦争を連想させる、君が代の歌詞は国民主権にあわないとして反対がありました。
国旗国歌法制定の時、当時の政府は、思想・良心の自由があり、強制はしないと明言してました。しかし、今回の国旗損壊罪は、強制することになります。
日の丸は、国旗にふさわしくないと思う人が、例えば、国旗にバッテンを付けた場合処罰されるわけです。
これは、個人の思想・良心を侵害していることになります。
思想統制になります。
香港で、中国の支配強化に対して、中国国旗を引きずり降ろしたり燃やしたりするデモがありました。
香港当局は、これを厳しく取り締まり罰しました。
日本国民も、いつか日本国政府の施政に反対し、自分の持つ日の丸を燃やしたり✖をつけたりするかもしれません。
そのような行為者を逮捕し、処罰するのが今回の国旗損壊罪創設です。
つまりは時の政府に抗議する一手段を処罰するものです。表現を抑圧するものです。
自民党は、国旗を大切に思う一般的な人の感情を保護するのが、立法目的と言っています。
確かに、国旗を棄損されて、感情を害する人が多いでしょう。しかし、多くの人が気分が悪くなるから、そういう行為を罰するというのは、不遜でしょう。
多くの人の気分悪くさせることによって、何かを訴える芸術というものもあると思います。それは処罰の対象とするのはおかしいです。
6月3日の朝日新聞の「かたえくぼ」に
持たず、触らず、身近に置かずー冤罪対策「国旗損壊罪」という投稿がありました。
こうなっては、かえって国旗日の丸を、一般の人から遠ざけることになるのではありませんか。
国旗損壊罪は、作ってはいけません。