昨朝と今朝、NHK+で、「Last Days 坂本龍一 最期の日々」を見た。
私は、坂本龍一という人を殆ど知らない。坂本龍一の音楽もほとんど知らない。
それでもこのNHKドギュメントを見て、彼を偉い人だなあと思った。
最晩年まで、自撮りの自分の顔や自分の日記、声を紹介している。
それができたのは、遺族がNHKの要望に応えて、坂本龍一の晩年・最晩年・死の一時間前までの紹介を許諾したからである。そう遺族が考えるのは、坂本龍一がそういう開放的な人だからだったのだろう。
普通は、弱っていく自分・死に直面した自分を公表したくないだろうに、彼は公表した。死のまったく寸前まで。
坂本龍一は、心底の表現者なのだと思う。そして、次男坊が言っていたように「サービス精神旺盛」な人なのだろう。
2014年に初めての癌、その後寛解、再発→手術→比較的安定→転移、2023年3月死去。十年、癌と戦い、作曲をし、音楽活動をし、そして生きた。
余命半年を宣告されたとき、初めは、体に気を付けなかった自分を悔い、「死刑宣告」ととらえ、「俺の人生終わりだ」と記した。
でどうするか、「安楽死か」、「積極的治療をしないで活動を続けるか」、「放射線治療をしてヘロヘロと生きるか」と悩んだ。
それを赤裸々に公表している。死に方=生き方を公表している。偉いと思う。
彼は、ロシアのウクライナ侵略に心を痛める、そしてウクライナの音楽家と世界へメッセージを届ける。大震災後の東北の復興のため東北の若者の音楽活動を主催する。すごいなあ。
「社会的事象のすべてにコミットは誰もできない」と坂本は言うが、その通りだろう。
何を大切に思い、何をするか?思うことは少なく、できることはなお少ない。
少なくとも他者の命を絶つなんてことはまずい。昭和20年4月満開の桜を見て日本の若者は沖縄へ特攻という死出の旅に飛び立った。そんな国家をつくっちゃならない。
他国の人を殺すような国家をつくっちゃならない。米国やロシアや中国を、我々はそうは出来ない。しかし、日本を、そうできる。我々は日本の主権者だからだ。戦後日本はそうしてきた。賢い選択をお願いします、先輩同輩後輩の皆さま。
坂本は、本もいっぱい読んでいる。病を得て体が弱っている時、カント「純粋理性批判」なんて読むか。俺は大学時代挑戦したけど、5分の1くらいで挫折した。
さて、自分はどう死ぬかである。自殺はしない。死刑にはならない。
いただく死によってだいぶ違う。親父のように(60歳死亡)脳出血なら問題ない。叔父(56歳)の心筋梗塞も問題ない。母(93歳)のように、認知症なら、それがひどくなったら問題ない。事故死も問題ない。やはり癌死の時どうするかだな。
まあ、癌死をいただいたなら、坂本龍一氏の生き方=死に方も参考に決めるか。
その他、印象に残ったこと。
〇古いピアノを雨ざらしにして、自然に還す。
〇せん妄があること。怖いなあ、でも興味がある、俺の場合どんなせん妄か。
〇死の寸前も「意識を失っても」ピアノを弾くような指の動き。
義父も死の寸前(93歳)モルヒネ下、盆踊りのような手の動きをしてた。俺は?
〇入院中も小さな音(鈴等)を聞く。
母を思い出した。認知症がひどくなったころ、ずっと唇を震わし「ブー」と音を出していた。「うるさい」「なぜ音だすんだ」と言ったら「面白いから」と言った。「うるさい」と言ってごめんね。