素晴らしい里親の話

今朝NHK+ETV特集で「うずまきファミリーと子育て村」を見た。画面がイラストだったので、漫画関係の話しかと思って、パスしてたのだが、終了間際という知らせにつられて視聴した。

 

素晴らしい話であった。2023年9月の再放送。

 

宇津孝子さんという里親(うずまきファミリー代表)の話である。里親となって14年で16人の子供を育てた。現在は、スタッフとともに5人の子供を育てている。その子たちは、病気の親や離婚した親や親からの虐待などで、実父母の下で生きられない子供たちである。

 

宇津さん(皆にアーチャンとよばれる)が、赤んぼを背負って調理をしていると正平君が(小一)が、といた卵をボールに入れてやってくる。赤ん坊がそれに手をかけて、こぼしてしまう。正平君はダメダメと赤ん坊に言う。その後、正平君は過呼吸になったのかな、宇津さんが大きく息を吸ってと言って、抱っこする。安心する。

 

アーチャンは、ホントのお母さんだ。

 

抱っこと言えば、今度うずまき家を離れて大学に進学するさくらさんを抱っこする。

自分より大きいさくらさん(18歳)を抱っこするアーチャンは、「ずっと抱っこしたかったんだ。来た時できなかったから」という。

 

さくらさんは、小学校の時だろうか、病気の母親に替わって家の仕事をしてた。それが当然と思ってた。母親が再婚して、新しい父親に虐待され過去を持つ。

 

アーチャンは、ホントのお母さんだ。

 

サクラさんはアーチャンの誕生日に贈った手紙で言う。

「前の家に居た時は、深い海の中で閉じこもっていた。この家に来て今は、海から出て

心の鍵を見つけて、心が開けた。私を見つけてくれてありがとう

 

そうなんだ、孤独の中にいる人を見つけることが大事なんだ。

 

養子たちと一緒に育った、アーチャンの実子真気君(25歳)は、言う「血の繋がりなんて関係ない」と。ほんとにそうだなあ。

 

宇津さんが、里親になったわけには、家族の不幸があった。

 

宇津さんは東京生まれ、大学出た後キャリアウーマンだったが、その生活を味気ないと思ってた。31歳で結婚。夫の孝さんは、海洋写真家だった。しかし彼は鬱になり、息子が5歳の時、自死した。遺体を宇津さんと息子が同時に発見した。

 

息子はショックを受けた。「父ちゃんの嘘つき、一緒にクジラを見に連れていくといったろう」と言ったそうだ。息子・真気君は、中高時代ぐれたようだ。

 

宇津さんは、小さいころ、息子が言った「大家族で生活したいという言葉に押され、山村留学から里親になったのだそうである。

 

自死は残されたものにひどい心の傷を残す。孝さんの母親も自死だったのだそうである。

 

私の大学時代からの親友H君(自死)の父親も、自死だったそうだ。彼から大学時代に聞いた。それは、Hの自死に影響があったかも。自死は、子供に深い傷を残す。残されたものを考えれば、自死はしちゃいけないな。尊厳死はどうかな、安楽死はどうかな。

 

宇津さん「おばあさんの自死、父親の自死、こういうカルマから息子を脱出させてやりたい。私は、孝の孤独に気づかなかった」

 

宇津さんの「不登校ができるようになった」という言葉は、印象的。彼女曰「家に安心していられないから登校し、家に安心していられるから不登校ができる」なるほどね。

私が年長組を2か月で中途退園できたのも、家に安心していられたからだな。

 

宇津さんの活動は、地域に大きな影響を与えた。

うずまきファミリーは、長野県伊那市三義地区にある。

同地区は、100世帯200人の地区だそうだ。2000年には高齢者が半分以上あったそうだ。それが今は、5分の1が子供だそうだ。うずまきファミリーに刺激されて若い移住者が増えてきたのだそうである。

 

宇津さんに影響されてやってきた人に横山夫婦がいる。彼等は、自分の子を育てながら宇津さんの山村留学を受け継いでいる。

 

宇津さん、立派。

 

番組の最後は、さくらさんが実母を許せるようになって受け入れたことと、真気君が自死した父を理解するようになったことで終わっている。

 

人が癒されるのは、人の温かい心によるものかな、特に「あなたはあなたのままで、それでいい」という心で、かなと思った。あと自然かな。

 

番組は、子供の話しだけれど、大人だって「そのままでいい」と認めてくれる人がいないとつらい。会社は仕事場なので無理でも家庭で。家庭がダメだったら、友人でも。友人もいなけりゃ、本の中でも、ブログでも、自然もいいなあ、居酒屋もいい。とにかく人には居場所は必要ですね。