第9回 「透明な子」(ネタバレ)
10歳の亜美は、父親から性暴力を継続的に受けていた。母親は離婚し、現在の夫と再婚した。アオイは、図書館で亜美を知っていた。
その再婚相手の男から、亜美は、性暴力を受ける。
産院側は、その亜美に最大限配慮して接触する。例えば、産婦の付きそいの男性に廊下に出ないようにとお願いするなど。
由比医師も、男性なので直接接触はしない。病院で女医を探したが中々見つからない。最後は県立医大の女医にお願いした。アオイも知り合いだが接触しない。
亜美は、一言もしゃべらない。水もまともに飲めない状態である。勿論犯人の名前も言わない。
その亜美の心を溶かしたのは、その産院で生まれた赤ちゃんである。
産声が聞こえる。亜美は病室を飛び出す。そこにいるのは、付き添いの男とアオイ。
亜美は言う。弱弱しく「あか・・」アオイ「赤ちゃん?赤ちゃん見たいの」
屋上で、亜美とアオイは、話す。
亜美「嫌だった。みんなこんなことしてないでしょ」
アオイ「うん。ほとんどはいい大人なんだけど、ごく少し、悪い大人がいる」
亜美「・・お父さんなの。娘だったらこんなことするのは当然と言われた」
亜美「お母さんは、離婚して新しいお父さんが出来て笑うようになった。そのお母さんを悲しませたくなくって、言えなかった」
なんという事だ。
前の父親は、暴力をふるい、新しい父親は連れ子に性的暴行。こういう男たちは、死んだ方がいい。
息子に自殺していいかと聞かれて、「女を襲いたくなったら自殺しなさい」と言ったのは誰だっけかな。
母親が、娘を抱いて「ごめん、許して」と泣きあう場面で、私はひどくイラついた。泣いてる場合でないだろう。包丁持って夫を殺しに行かねばならぬ場面だろう。
その後、
医師に「ないことにできますか」と聞かれ、母親「できません。絶対、ない事にはできません。許せません」と言ったので、ほっとした。それにしても、あの男シラーッと、「こんな犯人は、のさばらせてはおけません」なんて医師と母親の前で言っていた。
現代でも、シラーと、逆告訴している奴いないか。
母親を動かしたのは、女医さんだ。「あなたが一人で娘さんを支えるのは難しい。心も体も傷ついています。あなたを支える人はいます。少なくとも私はあなたを支えます」
警察へは、母親とこの女医さんが付きそう。
性暴力には、その被害者に寄り添う人が絶対必要だ。
ところで、重要な亜美の告白の場面で、私には理解できないことがあった。なぜしゃべらなかった亜美が、アオイに秘密を打ち明けたか。その要因に、アオイの「人の気持ちがわからない」という事があると言っている所だ。アオイの「私は人の気持ちがわからない、気持ちを聞かせて」という言葉でなぜ亜美は告白する気になったんだろう。
第10回 最終回 「7日間の命」
私は、放映された5年前、このドラマシリーズの最終回だけみた。泣けて仕方なかったドラマだ。ブログにも書いた。
参照:
今回、すべてを見た。 やはりこの最終回が一番胸を打つ。
感想は、前のブログを超えないが、せっかく見たので備忘の為、印象的な場面を書いておく。私は、このドラマのこの回は、忘れたくないのである。
妊娠した赤ちゃんは、心臓に欠陥(一心房一心室)肝臓にも異常があり、妊娠中は親から栄養と酸素をもらい大丈夫だが、誕生すると自分の肺と心臓で生きねばならず、生存が難しい。
中絶か妊娠続行か
夫「先生、あきらめる選択もできるんでしょう。俺たちは若い、またできるさ」
妻「この子はこの子、工場で作るものじゃないでしょ」
初めての胎動
妻「動いた、動いてる、なんだろう」
医師「自分ではないものが生きてるという自覚が生まれ、母親になりつつあるんです」
夫(中絶すると)「俺は何も残らないまま、忘れて涼しい顔で生きていくだろう」
海で、一歳ごろの幼児・両親を見て
妻「私達もあんな風になれるかなあ」
望月看護師「お腹の中にいる時は、お母さんから栄養をもらって・・・」
妻「わかってる、なれないって。・・・こんなに普通なのに、ずっとお腹にいてくれたらいいのに」
お腹の子に名前を付ける。友也である。
積極的治療(手術等)か看取りか
夫「治療をしよう、そのため医大の近くに引っ越しする」
妻「治療は、この子のためになるのかなあ、今お腹で守られている。安心していられ
る。治療をするのは、怖くてさみしい思いをする。何もせず看取ってあげるのも
・・・」
夫「なに言ってんだ。・・・俺たちでは決められない。死なせるかどうかなんて俺た
ちで決められない、先生決めてくれ」
先生「お二人で決めてください。お二人の責任で」
夫、立ち上がって「言わないのは卑怯だろ」
先生「・・・治療すべきです。ただ私が医者だからこういうのです。医者は公平な治療
を目指します。しかしご家族はたった一人のことを考えてください。回りの事な
んて考える必要ありません」
結局、家族は、看取りを選ぶ。
物心ついたころ、妻の母は、重い病気で無菌室にいた。幼い妻は、母に触りたかった。
カーテンに隔てられたその母は、子供を抱っこしたかった。できなくて死んでいった。妻は、何かで隔てられての別れはもう嫌と思う。これが大きかったのだと思う。
出産の時、妻(友也の母親)は、このままの別れはさせないで下さいと叫ぶ。無事出産。
別れの時
婦長が言う「先生、○○が下がってます。○○増やしましょうか」
先生は、静かに首を振る。そして言う。「チューブを外してください」チューブが外される。先生「あと数分で呼吸が止まります。心臓が動かなくなります。最後の時を大事にしてください」
婦長「ママに抱っこしてもらいましょうね」
2人は、母親に抱っこされた友也の頭をなでながら、号泣しながら、
母親「友也、ずーっと思っているよ。お前はずーと一緒だよ。私達を忘れないでね」
父親「可愛いい、可愛いい。幸せにしてあげたかった。ごめんね。ごめんね」
そして亡くなった。
アオイ「最後にお風呂に入れて、友也君よかったじゃにですか」
母親「自己満足よ。友也は、一日でも長く生きていたかったのかもしれない。私は逃げ
たのよ」
アオイ「相手の気持ちがわからないのは苦しい。でも相手の気持ちなんて絶対わからな
い」
アオイ「私、母親に抱かれてうれしかった。子供が母親にしてもらいたいことの一番の事って抱っこぐらいじゃないのかな」
母親「お母さん、(天国で)私の代わりに友也をいっぱいいっぱい抱っこしてね」
この10回のひどく重い連続ドラマの実質的終わりは、アオイの独白で終わる。
産院は、消える命と生まれる命の交差するところ。みんな、透明な子じゃなかった。
最後の最後は、アオイが、この産院に就職を希望するところで終わる。
長い記述となりました。昨年の「うみよ眠れ」と違い、作り話ですが、私にとって、
忘れられないものとなりました。最初は、女性の大変さを知らない男性が見たらいいと思ったのですが、一人の女性の人生にも、女性にもいろいろあると思いますので、女性も見た方がいいと思って、題名を替えました。
(追加)
どうでもいいことだけど、
アオイの言葉が「子供が母親にしてもらいたい一番の事って抱っこぐらいじゃないのか」なのか、それとも「子供が母親にしてもらいたいのは、抱っこでしょう」か、疑問に思った。
ホントは、なんと言っているのか、気になっても一度見たいと思った。
朝4時、NHKプラスを見たが、もうすでになかった。あと二日という表示をいつ見たのか、分からない。NHKプラスは、一週間しかUPしてない。
その代わりに、「別れのホスピス」とかいう(題名不正確)ドラマを見た。末期がん・高度の認知症患者などを扱う看護師の話しであった。最初に同室の女性高齢者3人が次々に死ぬ、次に、最初に出会ったがん患者が自殺する。看護師の生活(母と引きこもりの暴力的妹)が描かれる。大変そうな話だ。でもつくりがなんとなく「透明なゆりかご」に似てるなと思って、エンドロールを再確認したら、原作と脚本家が多分同じだ。。原作は間違いない。○○×華とあったので。×華なんて珍しいから。
そこで、俺は気が付いた。
「透明なゆりかご」を今回連続して放映(深夜)したのは、この新しい番組の番宣だと。やられた、NHKに。「ゆりかご」は、人の誕生で今度のは、人の死か。こちらも気が重そうな話。しかし73の俺には身近。近い将来の話しだ。そして全員100%行きつくゴールだ。みようかな。少なくともも一度は見ようかな。NHK+で。