都知事選

都知事選は、舛ぞえ氏の圧勝に終わった。この結果を自分がどう考えるかまとめておこうと思う。

私は、安倍政権の安保政策・戦後憲法体制からの脱却に反対である。
その政策を止める一つとして舛ぞえ氏の落選に期待していた。なのにどうして当選したか。

(1)都民は、自分の生活に一番の関心があり、アベノミクスに期待している。
NHK、毎日、朝日の出口調査では、都民が景気・雇用・医療・福祉等生活直結で候補者選んだことを示している。宇都宮>細川なのもそのためと思う。自民党が政党間では圧倒的支持があり、自民支持者の過半数が舛ぞえ氏を選んでいる。投票した多くの都民が、アベノミクスが生活に良い影響をもたらすと思っていることを示すと思う。
自分の生活に一番の関心があるのは当然である。
では、都民のアベノミクスへの期待はあっているかどうか。
私は、自信はないが、アベノミクスを否定的に考えている(庶民生活を犠牲にした金持ち優遇による見せかけの景気回復策、かつその出口も含めてきわめて大きな経済破綻のリスクを含む政策と考えている。)これを私も(影響力は0でも)もっと訴えるべきであったと思う。アベノミクスに疑問のある候補者は、もっと訴えるべきであった。
アベノミクスについては軟着陸を望む。

(2)原発・エネルギー政策は決め手にならなかった。

(あ)原発は、都民の選択支の三番手。何故三番手か。舛ぞえ・自民の「脱原発依存」という作戦に奏功された。ぼかされた。「即時0」側は、「脱原発依存」との違いをもっと鮮明に打ち出せば良かった。討論会がもっとあればよかった。細川氏の初めの逃げ腰がまずかったとおもう。放送局は、(国民の金でやっているので、NHKは特に)、もっと取り上げるべきであった。放送局側の恣意を感じた。
原発反対が世論の過半数といえども、生活優先は当然。原発停止ゆえ電気料上がると言うのはすこし説得的。経済発展に必要というのも少し説得的、危険というのは皆認識している。後世代に悪影響は皆納得している。電気料値上げ・経済発展の部分をもっと論破出来れば良かった。

(い)候補者一本化について
原発0」のみで一本化するのはやはり難しかった。宇都宮陣営は、安部政権の全般の政策に反対。小泉は、「原発0」のみ安倍政権反対。宇都宮が安倍政権肯定に回るはずもなく、小泉が安倍政権全面否定に回るはずもない。細川が小泉が担がれずに、細川・宇都宮であればどうだったか。一本化の可能性はより高かったろう。それで勝てたか。小泉の人気がない故、難しいのではと思う。では、一本化を狙った小泉・細川・宇都宮で勝てたか、これも単純に合計プラス上乗せと行くか、分からぬ。基礎票が相殺される可能性もある。投票での一本化は、細川・宇都宮どちらが強いかわからぬ故これまた難しい。
安倍政権・自民党に人気があるというのが基本にある。どのような組み合わせでも、安部政権・自民党に勝つのは難しい。それにつけても自民党の賢さよ。舛ぞえに乗ったという賢さ。安倍政権の考えは、実は田母神そのものだろう。(安倍がこの投票で信任をえたというなら、田母神の得票を言えばいい、それにしても田母神も結構多いなあ)自民党は、田母神では勝てないと見たんだ。かしこいなあ。われらはもっと賢くなければ。
一本化推進陣営は、「原発0」でやろうとした。そのため小泉という毒を食べようとした。「憲法体制擁護」という旗の方が良かったのではないか。秘密法反対の世論は強くあったのだから。しかしこれも弱いなあ。「生活に何関係あるの」といわれそうだ。

細川・宇都宮両陣営は少なくとも「原発0」という共通意識をもった。「原発0」では、共闘出来る。そして原発争点回避の中でも舛ぞえに拮抗する得票を持てた。これからも共闘すべきだ。少なくとも責任のなすり合いはやめようね。しかし、共産党の選挙へのコメントは、同党の未熟さを露呈しているな。自己中と言われても仕方あるまい。いつも思うんだが、惨敗でも自己肯定するその感覚を疑う。

(3)年代別(2月10日朝日朝刊による)
年齢があがるにつれ、舛ぞえ候補が強くなるのは何故か。生活・福祉では宇都宮の方が
手厚いのではないか。何故舛ぞえか。既得権層故安定を望んでか。戦後憲法の恩恵を受けた世代じゃないのか?それを破壊しようとする自民党政権を何故支持するか。分からぬ。

若者特に20台の田母神支持の強さが非常に心配だ。

(3)無党派層の動き、投票棄権の人々
無党派層には、何の風も吹かなかったと思う。無党派層でも一番多かったのは、舛ぞえ候補とのこと。やはり、アベノミクスの偽夢がきいてるんだろう。そして舛ぞえの厚生大臣歴・介護経験がきいているんだろう。

いつも思うのだが、原発即時0派も戦後憲法体制擁護派も働き掛けるべきは、棄権する人々へだと思う。棄権する人の「だれに投票しても同じ?」なんてはずがない。猪瀬に投票した故、1年で選挙になった。「自分の生活に関係ない?」そんなはずないと思う。それを分かってもらおう。たった一人だけに分かってもらえば、それでもいい。「一人でもいい」、それを信じないなら、「自分一人の投票なんて意味ない」と思って棄権する人と同じになる。

今朝の「天声人語」の結びはこうだ。
「選挙がすんでも民主主義は終わらない。都民の判断を虚心に受け止めつつ、それぞれの立場の不断の営みが、きょうからまた始まる」
賛成である。