「戦争が出来るようにしなけりゃ、中国になめられる」?

集団的自衛権容認の人の意見の一つに、「戦争が出来ない日本は、中国の膨張主義を抑えられず、なめられている」というものがあります。

この考え方には誤解があると思います。一方平和主義の人の中にも、全ての戦争に反対で日本は戦争をしない国と思っている人もいますが、それも誤解です。考え方として「全ての戦争に反対」というのはありますが、それは、今の日本の方針ではありません。

日本は既に戦争をする国です。自衛隊は、日本の領土が攻められた場合、戦争をします。1960年の安保条約を結んだあとは、日本国内の米軍基地が攻撃された場合でも、日本も戦争することになります。

今度の集団的自衛権行使は、日本の領土が攻められていなくとも、日本国内にある米軍基地が攻められていなくとも、戦っている米軍を自衛隊で応援しようと言うことです。応援すれば、日本は、米軍と一緒に戦争をすることになります。
全ての戦争を否定する人は、自衛隊と安保条約をなくさなければなりません。

集団的自衛権行使賛成の人に中には、「日本を守ってくれているアメリカと日本も一緒に戦わなければ、アメリカも本気で守ってくれない」と言う人もいます。

集団的自衛権行使を認めれば、ホントにアメリカは、中国と日本が戦争になった時日本の味方になってくれるでしょうか?アメリカは、日本のたとえば尖閣のため、中国と戦争してくれるでしょうか?

私は疑問に思います。アメリカの多くの戦争は、「自由のため」「正義のため」などいろいろ言いますが、結局、自国の利益のためと思います。ベトナム戦争は、共産主義封じ込め、湾岸・イラク戦争は、石油支配のためでないかと考えています。

アメリカは、日本のためには中国と戦争をしないと思います。「中国と戦争している日本を応援して、米国が中国と戦う」と私は考えられません。米国の利益にならないと思いますので。

ジェトロの資料を見ますと、米国の貿易相手国の割合は、輸出では、中国7.1%、日本4.5%です。米国の輸入で言うと、中国から18.7%、日本から6.1%です。(2012年)

米国にとり、貿易面では、中国の方が日本より大きいわけです。
米国債を買ってくれている国も、中国1268ビリオンドル、日本1149ビリオンドル(2013年8月、ジェトロ資料)です。

米中は、深い関係にあり、日中がもし戦えば、米国は中立かもしれません。尖閣は安保条約の範囲内と米大統領は言明しましたが、それは当たり前です。現状実効支配しているのが日本なのですから。
もし尖閣で日中が武力衝突すれば、米国は口先介入だけで、もし実効支配が中国に変われば、主権が変わったと言って、中国の支配を認める可能性があります。

安倍政権は、必要最低限とか一部の集団的自衛権なんて言ってますが、米国は「それじゃ日本を応援できないな。もっと一緒に戦え」と言う可能性が大きいと思います。それでも最後は中国をとるかも知れません。安倍政権ではその恐れが高いと思います。

尖閣については、私は、「国際司法裁判所に決めてもらおうと中国政府・中国国民に提案する」ことが一番いいやり方と思います。
中国が裁判にのってくれば、それはそれでいいし、乗ってこなければ、その非を言えば良い。もし日本が尖閣の実効支配を戦争で失ったら「裁判で決めようと言ってたのに、力で取るのはおかしい」と中国を責めることが出来ます。。世界の世論は日本の味方になります。中国国民の中にも日本の方が正しい、裁判で決めるべきと言う意見の人も出てくると思います。

中国になめられないためには、日本が素晴らしい国であることが一番だと思います。中国は、格差・人権・少子高齢化・公害・他民族支配・独裁・軍事中心政治等で困っています。これらの中には、日本と共通する問題もあります。これらに日本が模範解答を見せれば、なめられません。IPS細胞研究によって再生医療が進むとか、エネルギーの利用の仕方で模範的やりかたを見つけたとなれば、中国になめられません。アニメが素晴らしければ、AKBの歌が中国国民の心を打てばなめられません。「あんな国になりたいなあ」、と思われればなめられません。

米国と一緒に戦う国になって、不信の目で見られ、恐れられるかもしれませんが、あんな国になりたいとは思われないでしょう。

恐させたらいいって?中国は、国力増加の余地がまだあります。絶対引き下がらないでしょう。どんどん軍事力を強くし、米国と仲良くし米国を日本から離そうとするでしょう。

その一番の付け込む隙は、安部政権の歴史認識です。靖国参拝・日本の侵略の罪を軽減させるような安倍さんの言動、従軍慰安婦を否定したいような行動、これらは米中が手を握って日本を改悛させたという彼らの歴史=世界に認められた認識を否定します。それは米中を接近させます。

安倍政権は、日本国民にとって大損の政権です。次の選挙で自公政権を政権の座から下ろしましょう。