米国に基地提供以上の協力をする義務・利益はない

安倍安保法制に賛成の人の中には、「日本のために米国の若者が血を流す、それなのに日本は何もしないでいいのか」という人がいます。

この場合考えることは、まず(1)「米国は日本の利益のために行動する」ということことが正しいかどうかと言うこと、次に(2)米国が日本のために行動してくれたその代償としてどこまで日本が米国に協力するのが妥当かと言うことに分かれます。

(1)ですが、安保体制に限っても、米国は自国の時々の利益追求で、日本に要求しています。戦争直後の日本の軍事的無力化(日本国憲法9条)その後は、これと真逆の、日本の再軍備要求(警察予備隊創設要求)、自衛隊強化要求、軍事協力要求(安保条約・二つのガイドライン)、これをみても、自国の利益で日本に要求していることが明白です。日本のことを考えているわけではありません。経済的にも貿易摩擦、自主規制要求、農産物の自由化要求、日本への構造改革要求、TPP交渉での要求等々、日本の利益を考えないで、米国の利益を考えているのは明白です。

そしてそれは悪いことではありません。当たり前です。当然のことです。
ですから日本も自国の利益を考えるべきです。米国の若者が血を流すのは米国のためです。日本のためではありません。もし自分の国の利益にならないとしたら、米国は、安保条約も破棄するでしょう。日本政府の頭越しの米中国交回復を思い出してください。

(2)日本は、日本が侵略を受けた場合自衛隊と一緒に米軍に戦ってもらいます。安保条約でそう取り決めています。その代償は、日本国内に米軍基地をおいていると言うことです。それは日本にとって多大の負担です。膨大な土地の提供のみならず、駐留経費負担、条約で決められた以上の思いやり経費負担、米国軍人の半治外法権的地位等々多大の負担です。また、米軍基地がある故の危険性(米国の敵が日本にある米軍基地を攻撃する結果、日本も、攻撃され、結果米国の敵と戦う)も負担しています。
米国が日本のために守ってくれている対価は、基地提供だけで十分、いや大きな過払いです。米国軍が駐留している他国と比べてもはるかに払いすぎとずっと前から言われています。

安倍安保法制は、現在の過払い分以上に、もっと払いましょうと言う法制です。全世界で自衛隊を米軍に協力させようと言うのですから、大損です。
米国が、もしそうしなけりゃ、日本を守らないぞと言うなら、それは安保条約違反です。米国はそんなことは言っていません。
安倍安保法制は、表面上、米国が要求していないことを(できないことを)、こちらからしてあげましょうという、とても普通じゃ考えられない、日本の利益を売り渡す法制だと私は思います。