ローテンブルクの朝に

(朝日のあたるローテンブルグ市庁舎)
初めてヨーロッパ旅行に行ってきました。

9日間の旅行の終わりに思ったことは、これから日本は、世界に伍して何で儲けて食べていけばいいのかと言うことでした。

と言うのは、回ってきたフランス・ドイツ・スイス、それぞれの国にははっきりした強みがあると思われたからでした。

フランスとドイツは、バスの車窓から見る農村風景が印象的でした。フランスでは、パリからモンサンミッシェルへ向かいました。パリを出るとすぐ広大な麦畑が広がります。収穫の終わった茶色の畑とこれから収穫する緑色の畑。ブドウ畑、トウモロコシ畑もあります。それらの一区画がものすごく大きい。どこまでも広がると言う感じです。ドイツ南部も同じでした。小麦畑に加えてジャガイモやビート畑が整然と広がります。スイスでは、山裾に広がった広大な牧草畑がとても美しい。翻って私は、日本の田畑を思いました。狭い。そして休耕田や耕作放棄地の荒廃を思いました。

(モンサンミッシエル遠望)

(パリ郊外小麦畑とトウモロコシ畑)


農水省「食糧需給表」で比較してみますと、1978年と2011年のカロリーベースの食糧需給率の変化は、

フランス:123%→129%
ドイツ:80%→92%
スイス:60%→57%(スイスの60%は、1996年分)
日本:54%→39%

フランス・ドイツは、自給率を高めています。この間日本は、自給率を大きく低下させています。食と言う基本を他国に任せていて
大丈夫なのでしょうか?ここには、長い間の農業政策の間違いがあると思います。

日本に食糧を買う力があるうちはいいのですが、買う力がなくなったら大変です。買う力=外貨獲得力=輸出競争力。かつては、安い値段で規格化された品質を生みだす優秀な多量の若い(安い)労働力が存在しました。今はそれはありません。少子化が進みますので、これからはますます期待できません。
私の泊まったホテルの部屋のテレビには、サムスンが目立ちました。あとはどこでしょうか、とにかく日本製はありませんでした。私たちの子や孫やひ孫は何で儲けて食べていくのでしょうか。トヨタがドイツのVWと世界で販売台数のトップを争っていますが、アベノミクスの通貨膨張政策による円安のおかげで、ホントの競争力ではないと思います。一方円安は円の価値を下げることです。いいことばかりではありません。

ルイ・ヴィトン、シャネル、ロレックス、・・・フランスやスイスには世界に通用するブランドものがあります。日本にはこれに匹敵するブランドがあるのでしょうか。資生堂セイコーを少し見かけましたが、片隅の存在でした。到底太刀打ちできていません。

GDPで日本の七分の一のスイスの金融市場の大きさは、株式総額で言うと日本国の三分の一です。(ウィキによる調べ)
自国の利益のため金融を守ってきたスイスの国策の成果です。

日本は今後何を強みとして生きていくのでしょうか。悩ましいことです。
これは皆で考えなければならないことだと思います。安倍安保法制の是非以上に大事なことだと思います。

ヨーロッパ最後の夜は、ドイツの中世城郭都市の遺構を残すローテンブルクでした。朝5時台に起き、6時ころから散歩に出ました。
夏だと言うのに、下着・長そでシャツ・長そで上着(ジャージ)を着ても寒かった。

しかし私は、早朝のローテンブルクの散歩で、心が少しあたたかくなりました。と言うのは、散歩の途中出あったのがほとんど日本人と言うことでした。前日の夜街頭には中国人・ヨーロッパ人があふれていました。しかし朝早くの散歩では、日本人ばかりでした。日本人の真面目さ・貪欲さを表わしていると思いました。これも彼らと対等にやっていける要素の一つではないかと思いました。