今年もいい年になりそうだ

昨日でようやく、帚木蓬生の「閉鎖病棟」を読了しました。

私の不得意な、多くの主人公がある小説で、誰が誰だったか分からなくなり、読むのに時間がかりました。
しかしいい小説でした。精神病を病んでいる人たちが主人公です。

読んだ感想の第一は、精神病入院患者も同じ人間なんだと言うことです。大変失礼なことに、精神病入院患者は、自分とは違うなんて思っていたようです。忘れていたといったほうがいい。たとえば、58で自死した大親友が精神を病んでいました。わがおじさんは、精神分裂病で、入院30年弱で、病院で死にました。わが娘も一時鬱になり仕事を辞めました。精神を病むのは普通のことで、殆どの部分が正常人と同じであることをわすれていました。

また、登場人物たちの優しい心に触れて感動しました。レイプされた島崎さんの自殺を防ぐため犯人を殺す秀丸、それを応援するチュウさん。その周りの心優しい患者たち。いいですねえ。

私は死刑制度廃止論者です。冤罪の可能性、犯人が極悪人でも死刑執行が国家であっても、人の命を奪うのはまずいと思う等の理由からです。しかし、秀丸の殺人は肯定したい、この矛盾は如何に説明する?そして、秀丸の手紙が感動的です。レイプ犯が秀丸に刺された時「最期の息の下で、彼は安どの表情を浮かべました。自分で止めようもなくなった自分の悪事。誰かが止めてやらなければどうにもならない。・・・」という述懐。私は、これを読んで死刑もいいのかな、とも思いました。いや、そう簡単には言えないな。

いろんなことを考えさせられた小説でした。帚木蓬生を初めて知りました。運が良かった。

昨年も正月にベアテ=シロタ「1945年のクリスマス」に出会った。あれも良かった。
(拙ブログ 2015年1月6日「厳粛で哀しくて・・・日本国憲法」)

昨年は安倍政治に頭にくることが多かったけれど、そのおかげで、シールズの東京の集会に参加したし、仙台のデモにも参加した。地元でも街頭に立った。安倍さんのおかげです。

今年もいい年になりそうだ。