トランプ現象は、世界の戦後の終わりなのだろうか

第二次世界大戦は主として、世界恐慌下資本主義強国が生き延びるため、ブロック経済を形成し、それを軍事力で維持拡張するため起こった戦争であった。

戦後は、その戦争の反省のもとブロック経済を否定し、自由貿易と資本主義諸国家間の協調を基本とした。資本は自由貿易の原則のもと世界中に進出しグローバル資本主義となった。各国の経済運営は、これまた恐慌の反省のもと国家が市場経済に介入するという方式をとった。さらに戦後の世界には、共産圏という資本主義を否定する有力な勢力があるため、対抗して資本主義諸国は、福祉国家を目指した。

この資本主義諸国の方向は成功した。しかし、70年経ち戦後も大きく変質した。

共産圏が消えたことと、国家が市場に介入することによる弊害(国家の借金増、不況なのにインフレ)が顕在化したことによって、福祉国家(再分配重視)という方向は弱まり、新自由主義市場原理主義=再分配軽視が台頭した。

再分配軽視の結果、各国で格差が拡大した。それは、再分配の恩恵を受けない人々の不満を増大させた。この人々は、自分の生活苦の打開を国家に求め、政治家の一部は、生活苦の打開を自国ファーストに求めた。

トランプの登場、英国のEU離脱、西欧での自国ファーストの動き(右派の台頭)、安倍政治の出現などがそれである。さらに中国の自国ファーストがこれに加わる。

この自国ファーストは、戦後の世界体制を壊すか。ブロック経済圏の形成とその維持発展のため軍事力行使、その結果の世界戦争になるか。

私は、そうならないと思っている。それは、グローバル資本主義は、国家を超えて世界を必要としているからである。国家の政策を左右するのは、国民多数の意思とグローバル資本である。国民多数は、熱狂により世界戦争へ国家を推し進める可能性もあるが、グローバル資本は、自己の利益のためブロック経済を嫌う。ゆえに資本は、国家を通じて、国民多数を抑え込むと思うからである。

そんなことを考えたが、すぐそれを否定する考えも湧く。資本のうち軍需産業は、戦争を欲するかもしれない。少なくとも緊張は歓迎するはずだ。国民の熱狂は、第二次大戦の時のように国家を押し流すかれない。そうも思う。わからない。

少なくとも、世界恐慌のような大不況を起こさないこと、ブロック経済の方向に行かないようにすること、各国民が、自国ファーストに熱狂しないこと、国民の不満がマグマのようにたまらないよう格差是正=再分配の強化がぜひ必要である。
そんな愚にもつかないことをぼんやり考えながら、スタンディングに参加した

雪が降ってきた。寒い冬の午後である。私たち夫婦以外は、2名、すなわち全4名である。ちと寂しい。

いつも通り、小学校一年生が通っていく。

今日は、中学生も通っていく。学校が何かで早く終わったのだろうか。

この小学生や中学生が大きくなるころ、世界や日本はどんな姿なのだろうか。