「決壊」(平野啓一郎)/SNS・AIのこと

 新年あけましておめでとうございます。ブログ知人の皆様、今年もよろしくお願いします。

私はいつもと変わらぬ年末年始でした。

妻と娘二人が食事関係をやってくれて、私は楽でした。

年末に読んだ本が印象的だったので感想を書きます。

「決壊」(平野啓一郎

2006年~2008年雑誌「新潮」に連載された長編小説。その当時の殺人事件に触発されて、無差別殺人犯の考えと現代社会の問題点を探求した長編と思った。

殺人者は二人。一人は10代半ば、も一人は30代。

前者は、学校でひどいいじめに遭っている。後者は、きわめて不遇な生い立ちの人物。

被害者は、平凡なサラリーマン。極めて優秀な兄を持つ。

 

SNSが、殺人者と被害者を結びつける。そしてSNSが、フェイクも含めて拡散し、被害者の兄や家族を追い詰め、さらに加害者の家族も追い詰める。学校でのいじめもSNSが主原因。

 

現代につながるSNSの問題が描かれている。

元旦の新聞各紙SNSの基礎=AIの発達を記事にしている。

 

一番詳しいのが日経の1面トップ、6・7面の全面扱いである。現在16歳以下の年代をα世代(z世代の次)と呼び、50年後の人類史上最多の20億人時代の中核と考えている。

彼らの特徴がAIとの、生れ落ちてからの共生で、AIネイティブと呼んでいる。

 

朝日新聞も1面トップの見出しが、「あなたは人間ですか」。AI関連を2面全面と3面半分で扱っている。

 

毎日は、14面全面で扱っていて、AI実装社会はどうなるという題で3人の識者の論説を取り扱っている。

 

読売にはAIについては特にない。

 

 

今年70代後半に突入する私の人生には、AIは大きな影響を与えないと思う。一方で

60代以下の若い世代には大きい影響があるので、大変だろうなあと同情している。

日経の記事によると、アルファ世代は、結構AIとの共生に肯定的とのことだ。

我々年寄りが心配するほどのことでもないようだ。

 

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殺人についての描写は、酒鬼薔薇事件・池田小事件・9・11同時多発テロ等の影響を受けているように思われる。これらの殺人者の心情にこの小説は迫っていると思うが、私には理解できなかった。

 

この小説は、SNSの問題、殺人者の心の問題のほか、恋愛や家族間の愛憎、学校や教師間の問題、マスコミの在り方等々、多くの問題を取り扱っている。

 

筆者のこれまでの知的蓄積をすべてぶち込んだという感じがする。

 

まとまりが悪いと思うが、単行本・上下で800頁弱という長編を一気に読ませる筆者の力量はすごい。