吉田調書(抜粋)等を読んで

今日(9.12)の朝日新聞に掲載された吉田調書他を読んで思ったことを書いておきます。

(1)まずは、朝日の謝罪の件(命令違反退避)から。
吉田氏は、1.3月14日朝、免震重要棟への退避命令を出したこと、2.同日夕刻電話で武藤(東電原子力担当責任者)と細野(首相補佐官)に「今後の状況により、現場を最小限にして退避したい」と言ったこと、3.3月15日朝、退避するとしたら第二へという話もしていて、「第一付近の低線量地域で待て」と言うつもりで、言ったら(何と言ったかは、事故調は聴いてはいない)伝言ゲームで、所員は第二へ退避した。「しょうがないな」と思った。「良く考えると第二に逃げるのが正しい」と思った、と言っている。

彼の証言を信用すると、「第一へ退避」と言う命令が出たかどうか、はっきりしない。所長の気持ちは、揺れている。近くに置きたいが近くは危険。この状況では、部下がより安全な第二に退避するのは当然である。朝日新聞の「命令に違反し撤退」と言う記事は、事実に反する。と言うよりも誇大に言いすぎる。取り消し・謝罪は当然である。
朝日が何故そうしたか。自分しか吉田証言を持っていなくて、小出しにしてショッキングに言って、儲けようとしたからだと、俺は思う。当時の拙ブログ(5月23日)で言ったが、朝日は、5月時点で全面開示すべきだったのだ。自社の利益を優先し国民の利益をないがしろにしたと思う。政府事故調も聴きとったことは、全てを初めから発表すべきなのだ。原子力ムラの利益を優先し、国民の利益をないがしろにした。当時の民主党政権も現自民党政権も。俺はそう思う。
原発に関する個人の証言は、公にかかわることなんだ。個人のプライバシーでないと思う。この巨大な事故に対しての公人としての責任にかかわることなんだ。犯罪にかかわることなのかもしれない。その人の浮気相手とか、趣味とか資産とか知りたいわけじない。国民は、知る権利がある。
全国民は、この原発事故で不利益を被っているので。最低でも電気料金値上げという不利益を被っている。国民は知る権利がある。
関連して思う。特定秘密法は廃棄すべきだ。政府の恣意で、ある情報を特定秘密に指定して、場合によっては永遠に葬ることが出来る。その情報に接近しようとする者たちを「厳罰に処す」と脅す。これがこの法だ。これは、国民の不利益につながる。

(2)一部退避か、全面撤退か。
ニュアンスの違いはあるが、東電関係者は、一部退避を言い、それを実行したと証言する。政府側は東電が全面撤退を考えていたと証言している。
ある時点での東電の一部退避は事実である。政府側が「東電が全面撤退するのでは」と思ったのも事実であろう。吉田氏は退避の意思がなかったのも事実だろう。東電社長が全面撤退をかんがえた(とするならば)のも、社員を思えば仕方ないとも思う。菅首相が「東電何してる、馬鹿野郎。現場は死んでも守れ」と思うのも、言うのも当然だとおもう。吉田所長が「あほな日本の、菅のあほやろう」と思うのも当然だと思う。右往左往も仕方ない。政府の情報小出しもある面やむをえないだろうとも思う。パニックを防ぐため。この辺は、俺にとっては、実はどうでもいいんだ。
この事故が起こってからは、どうしようもないんじゃないか。全電源喪失してからは。

(3)何故全電源喪失したか。
地震によって東北電力からの電気が来なくなっても、デイーゼル発電機が動いていれば冷却出来てあんな事故にならなかったと、俺は思う。ベントの訓練や電源車の訓練をしてなかったのも問題だけれど。
このことについて、以下は今朝の朝日の調書概要から。
2002年に国の地震調査研究推進本部は、福島沖でも三陸のような地震津波の可能性を指摘している。原子力安全保安院の守山氏は、2009年には、貞観津波原発敷地水没)を認識したと証言している。
何故東電は、デーゼル発電機と配電盤を水没しない高いところに移動しなかったか。大したカネはかからなかったろうに。
関係者曰く。「文書による東電への要請をやらなかった。甘かった」(守山氏)。
「千年に一度かどうかもわからないものを対象に設備投資したいと主張しても、株主は納得しない」(原発津波想定指針関係者、東北大首藤名誉教授)
「交流電源を担保すべきという記載がどこかにあれば」(松浦元原子力安全委員長)
「本格的に(安全対策を)やればどこまでやるかが問題になるし、地元の人たちもやはり原子力は危ないと受けとってしまう」(鈴木元原子力安全委員長)
おいおいおいおい。無責任だろう。この前の戦争の時指摘されたと同じ無責任体系だな。
政府は全情報を開示してくれ。マスコミ、学者総力をを上げてこの原発事故原因を追及してくれ。特に朝日は、名誉回復のためにも徹底的に追及してくれ。俺たちは、裁判でやる。ほんの少しだけれど。

それにしても、自民党執行部の醜さよ。福島県知事選のことだ。地元自民党が推薦している候補を、勝てそうもないとして推薦を拒否した。そして、現知事や民主党の推薦する候補に相乗りする。現知事も県議会も県民も原発再稼働に反対だ。原発再稼働しようとする
自民党が、再稼働反対の現知事の後継者を推薦するなんて、矛盾だろ。ただ勝てればいいだけなのだ。誤魔化しそのものだ。