日本国の安全保障は、安保法制ではなく、国際法中心外交でやるべき

これまで何べんも言っていることなので、拙ブログにご訪問の方には、聞きあきたことと思います。しかし、初めての人もいるかもしれませんし、言いたいことを言わないのは、「腹ふくるるわざ」なので、言っておこうと思います。

尚現時点では、係争地である尖閣竹島北方領土を除く自国領土を侵略された場合、自衛隊と米軍で戦うことのは、やむをえないことと考えます。それを保障している自衛隊法及びその関連法・安保条約を憲法の許容範囲と言えると考えています。ただし、侵略される事態を起こさないよう、政府・国民の全身全霊の努力が必要です。さらに、私は、将来的には日米同盟廃棄、非武装も遠い目標とすべきと思っています。それが現憲法の目指すものと思っています。周辺事態法・安保法制は、違憲かつ大損で、戦争を引き寄せる危険なものと考えています。

(1)近頃中国が尖閣への圧力をエスカレートしてきました。毎日のように中国公船が領海侵犯をしています。中国は、日本が中国と対立するフィリピンの味方をするのが面白くないようです。フィリピンは、南シナ海への中国の進出を違法行為として、常設仲裁裁判所に訴えました。同裁判所は、フィリピンの主張を認め、中国の行為を国際海洋法違反として、中国の主張を退けました。中国は、裁判所の裁定が出る前から、裁定には従わないと宣言してきました。自分の行為が国際法を無視していることを知っていたのでしょう。確信犯です。ずるい国です。いや正確にいいましょう。ずるい政府を現在持っている国家です。日本政府は、国際法を重視する立場からフィリピンを支持することを表明しました。当然のことです。中国は、それが気に食わないので、東シナ海で日本に圧力をかけてきているのでしょう。愚連隊のような中国政府の行動です。

(2)日本政府は、この行動に対して連日中国大使館を通じて抗議していますが、中国は「尖閣は中国の領土」として、改めようとしません。日本は、アメリカやフィリピンと連携を取り合って、中国を国際法の中に閉じ込めようとしています。

(2)´この中国の行動を見ると、昨年成立した「安保法制」による抑止力強化という政府・自公政権の理屈は、成り立っていません。安保法制は、中国を抑止していないのは、明白と思います。

(3)日本政府の、「中国も国際法に従え」という主張は正しいですが、中国に対して効き目がないように思います。そこで私は、次の提案します。それは、中国政府と中国国民と世界に対して、尖閣も国際裁判所の裁定に決めてもらおうと宣言することです。この場合は、領土問題なので、国際司法裁判所の管轄になります。勿論、裁判所のどのような裁定にも従うと言う宣言をします。すでに日本は、国際裁判所の裁定に従う国家になっています。世界の国々・国民は法の支配に従おうと言う呼び掛けです。中国の外交政策への強烈な反撃になります。
(4)このメリットを説明しましょう。

(a)この提案に対して、中国が、「尖閣は俺のもの。裁判の申し出は受けない」という態度の場合(この可能性が高い)→実効支配している日本が百歩譲って裁判で決着でしようと言っているのに、それを認めないのだから、中国の無法性というものがあぶり出され、中国政府は信用を失う。世界中が中国を白眼視する。そんな中で、良識ある中国国民の中には、自国の無法性に気づく者もいるだろう。それは、中国政府にもボデイブローのような圧力となる。

(b)(a)の事態を嫌って、裁判を受け入れて、裁判の結果が、尖閣は中国のものとなった場合、日本は勿論これに従う。ということは、中国も裁判を受け入れるということだ。そうすると、中国が南シナ海では裁定を受け入れないのは、あまりにも自己中ということが明白となる。世界中から(中国マネーで中国に寄り添う国は別にして)非難されよう。

(c)裁判の結果が、尖閣は日本のものとなった場合、中国は南シナ海での場合と同じように、無視するだろう。その場合、日本の正しさと中国の無法ぶりがさらにクローズアップされるだろう。

つまり、中国が裁判で決めることに同意してもしなくとも、裁判の結果がどうであろうとも、日本が国際法に忠実であり、中国は無法者という印象が世界で増幅する。中国も世界を相手に資本・労働力・資源・エネルギー・商品をやり取りして生きているのであり、世界の世論は、中国の行動を制約する。少なくとも、裁判の申し出をしている係争地を武力でとることは難しいだろう。裁判の結果、中国のものになった場合、日中間の火種の一つはなくなる。日本のものになった場合、中国が尖閣を侵略することは尚難しくなろう。もし、中国による侵略があった場合、いまいち態度がはっきりしない米国も日本側に立つだろう。特に正義の好きな米国民には期待できる。

(5)以上のように、日本国が紛争は国際裁判所の裁定にゆだねて解決すると宣言することは、中国の活動を制約します。つまり止力です。軍事力での抑止以外に、外交での抑止力というものがあります。日本国は、軍事力以外の抑止力を強化すべきです。安倍政権は、軍事力による抑止力しか頭にないため、安保法制にまい進しました。それは、中国を抑止しませんし、日本国を一歩戦争に近づけるものです。

(6)日本政府は、「法の支配や国際法にのっとって解決」と良く言いますが、本気でそれを進めてはいません。口先だけです。本気なら、係争案件は北方領土を含めて、すべて、国際司法機関に従って解決すると言う立場を明確にすべきです。韓国との係争地=竹島は、国際司法裁判所できめ、尖閣は自分のもの故裁判に訴えないということでは、法の支配に従っているとは言えません。勿論、話し合いで決めることも棚上げということもありえますが、司法的手段で決定するという根本的立場の表明があってこそ有効と思います。

(7)法の支配とは、国家間の場合、国際法に全ての国が従うと言うことだと思います。日本はこの方向を力強く進めるべきです。
国際法の基本は国連憲章です。国連憲章は、国際紛争は、戦争ではなく平和的解決を原則にしています。戦争が認められるのは、自国が侵略された場合、国連安保理が行動を起こすまで、自国及び同盟国で戦うことが認めれらています。勿論戦わなくともいいですし、自国だけで戦ってもいいですし、同盟国と一緒に戦ってもいいわけです。

(8)「法の支配を中心の外交」というならーそしてそれを正しいと思っていますがーその研究を大いにすべきです。自衛隊・安保条約・安保法制・軍事関連の強化や研究は、法の支配と対極にあります。力の支配です。米中露英仏(仏については異論あり)は、WW2の戦勝国であり、力(軍事力)が正義という考えから脱却できていません。日本は、力が正義ということで戦争を起こし、他国と自国民を悲惨な目にあわせました。力ではなく法の支配という事を原則に平和を維持しようと決意して戦後、出発しました。それを忘れつつああります。法の支配という観点からは、米国のベトナム戦争イラク戦争を批判すべきです。オバマ大統領には原爆投下への謝罪要求を何らかの形ですべきです。日本国の戦前の行為(重慶爆撃とか南京大虐殺とか)も、国際法(この場合戦争法=戦争のルール)という立場で反省し、その責任者を断罪すべきです。責任者とは、軽重と質の差はありながらも、戦前の大人の日本国民全てです。(原発事故についての責任も同様です。軽重と質の違いがありながらも、大人全てに責任があります。)