あきらめるわけにはいかない/スタンディング

色川大吉「戦後70年史」を読みました。

先日「ある昭和史」の中の「昭和史の天皇像」を再再読して、やっぱり色川さんはすごいなあと思ったことがきっかけです。2015年に「戦後70年史」を出していますので、90歳の彼が戦後の日本の歴史をどう見ているか、興味を持ったからです。

自分史の提唱者らしく、自分の行動を戦後の歴史に沿って客観的に描いていきます。

感想を書きます。

(1)色川大吉は、ほんとにいろんなことをやっているなあと思いました。日本史の学問研究以外に、ユーラシア大陸横断をはじめ世界中へ旅行に行っているとは知りませんでした。また歴史民俗博物館(千葉県佐倉)の設立準備や水俣病総合調査団の団長でもあったのです。

(2)多方面にわたる彼の活動ですが、特筆すべきなのは、反戦反核反天皇制市民運動に積極的にかかわり、その中心人物であったということでしょう。安保闘争・公害反対住民運動反核運動自衛隊の海外派兵への反対運動・イラク戦争反対・・・まったくその信念と行動力には恐れ入ります。全体の歴史の動きに積極的にかかわっていきます。

(3)昭和天皇の死に当たって「なぜ、彼は国民に一言のわびも言わずに死んだのか」と天皇制批判の集会であいさつし、「自動的に皇位を譲るなど論外、主権者たる国民の承認なしの皇位継承に異議あり」という文章を新聞に寄稿した、なんて空気に流されない人でしょう。

(4)ほぼ時代に沿って記述しており、文章も明晰でわかりやすいものでした。この本で私も、戦後のいろんな歴史を思い出しました。戦後もいろいろありました。

(5)私は戦後の歴史にどうかかわったでしょうか。少なくとも影響があったとはいえます。高度成長による生活スタイルの激変がありました。東大入試中止(この年に大学に入りました)と紛争後期の大学寮での生活は、私の考えに大きな影響を与えました。しかし、その後の低成長・バブルとその崩壊・20年に及ぶデフレは、私の生活の大きな影響を与えませんでした。世界でも、ベトナム戦争・冷戦終結・共産圏崩壊・テロの時代・イラク戦争も私に大きな影響はありませんでした。私がかかわったということもほとんどありませんでした。イラク戦争反対の声を上げたくらいかな。
一方自民党政権による憲法原則(国民主権・人権尊重・平和主義)の浸食については、労組を通してですが、ごくささやかな抵抗をつづけました。しかし、大体は政権の思う通りになってきました。生意気な言い方ですが、多くの国民にがっかりしました。色川氏も同様の感慨を持ったようです。

(6)最後に2015年の安倍政権や安保法制については、彼の言葉を紹介します。

「安倍自民政権は、戦後70年間平和に暮らしてきた日本を、米国とともに戦争のできる国に変えようとしている。それなのに国民の多数は、まだこの政権を支持している。『この民にしてこの首相あり』とあきらめるわけにはいかない」
中国・韓国を最も近い、最も古くからの友人として敬愛し、尊重し、相互に親交する道を確立することこそ、日本の生きる道であろう、その大道を外れ、13億人の超大国中国を仮想敵に見立てた、日米軍事同盟強化による安倍政権の安全保障政策は方向を完全に間違えている。安倍の演説は番犬の遠吠えのようなもので、認識のずれもはなはだしい」

90歳の色川氏が、あきらめるわけにはいかないというのですから、まだ70歳ににもならない私もあきらめるるわけにはいきません。同年輩の皆様、先輩の皆様、私たちは戦後の恩恵を受けた年代です。よき戦後の日本を後世代に手渡しましょう。

そんなこんなで(?)スタンディングをしてきました。

今日は私たち夫婦を含めて6名の参加でした。風は冷たいのですが、日差しは暖かでした。♪♪もうすぐ春ですね。ちょっと立ってみませんか〜♪♪


いつも新しいプラカードを作る人です。「口だけでごまかしてばっかり」怒ってました。


安倍氏の思想は口でどうごまかそうと、国民主権否定・人権軽視・軍国主義への傾斜・戦前懐かし・「祖父は正しかった」でしょう。


90歳のご老人が「あきらめない」なら、私たちもあきらめるわけにはいきません