復興  首脳会談   優しさと激しさと

昨日、久しぶりに常磐線で仙台に行きました。今年開催する寮の同窓会開催の話し合いのためです。(実は、そのあとの飲み方が楽しみなんです)
駒ヶ嶺、新地、坂元、山下の4駅がリニューアルされてました。これらの駅は、あの津波で破壊された駅です。新地駅、坂元駅、山下駅は、海岸から離れて少し内陸に引っ越しました。

2015年の安保法制反対デモで仙台に行った時は、相馬から亘理までバスでした。亘理まで線路には雑草が生えてました。
2016年の「フルムーンパス」の出発駅は、福島駅でした。福島までは、で行きました。少しずつ復興が進んでいます。復興といえば、今年の夏から相馬の海水浴場(原釜尾浜海水浴場といいます)が再開されます。


♪忘れられないのあの人が好きよ 青いシャツ着てさ海を見てたわ・・♪(ピンキーとキラーズ恋の季節」)

♪君を見つけたこの渚に 一人たたずみ思い出す 小麦色した可愛い頬・・♪(ザワイルド=ワンズ「思い出の渚」)

♪砂浜で泣きまねすると 優しい声が流れてくるの  思い出はオレンジ色の雲のかなたに 浮かんでいるわ・・♪(黛ジュン「天使の誘惑」2番)

♪今はもう秋 誰もいない海 知らん顔して 人が通り過ぎても 私は忘れない 海に約束したから・・・♪(トワエモア「誰もいない海」) 

♪潮風に吹かれると 思い出すのあなたのこと 口笛をまねしても 夏の日は帰らないの♪(南沙織「潮風のメロデイー」)

近頃は、海というと、夏、青春、恋も思い出すことができるようになりました。東日本大震災後の数年は、津波・海岸部の破壊・人の死ばかりが思い出されました心も少しは回復してきたんですね。尤も、夏も青春もありましたが、私には、恋は空想の世界でした。

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明日は南北朝鮮首脳会談の予定です。昨年の今頃は、北朝鮮のミサイル発射と米国の空母部隊派遣で緊張が高まり、私は第二次朝鮮戦争を心配していました。第二次朝鮮戦争が始まれば、安保法制(改正武力攻撃事態法))に従い、安倍政権は、米国への攻撃を日本への攻撃と判断し、参戦した可能性が高かったと思います。勿論、安保法制がなくとも、北朝鮮が日本国内の米軍基地を攻撃すれば、安保条約の規定に従い日本は参戦することになります。それは安倍政権に限らず、どのような政権でも同じです。

私は、安保法制のみならず安保条約も日本を戦争に巻き込むので廃棄すべきと思っています。日本は敵を作らなければいいのです。冷戦時代のソ連・中国との敵対関係は解消しました。

日本は朝鮮戦争を戦ってなく、安保条約故に北朝鮮との敵対関係になっているだけです。安保条約がなかったなら、北朝鮮の敵ではありませんでした。だから、北朝鮮と米韓との橋渡しの役割を果たした可能性がありました。これは、自民党と外務省の外交の失敗と私は判断しています。

明日の南北朝鮮首脳会談、さらに米朝会談、米韓朝会談で朝鮮戦争停戦協定が平和協定になり、敵対関係がなくなればいいと思います。

北朝鮮核兵器をどうするかの問題ですが、金委員長は、「自国の平和と安全が保障されれば核兵器を持つ理由はない」というような意味の発言しています。

ここは金委員長のこの言葉に乗って、平和協定締結終戦宣言・相互不可侵・金体制承認・経済協力)・平和的南北統一の行程樹立(50年後の選挙で統一政権樹立等=現実には朝鮮半島での二国の相互承認、この場合米中ロ等大国が口出ししない)と引き換えに、北朝鮮の現有核兵器廃棄を目指すべきだと思います。

北朝鮮に騙されても、どこかでつまずいても、最悪、昨年の緊張状態に戻るだけです。

米国・韓国の圧倒的攻撃力と北朝鮮のミサイル・核兵器と体制維持欲求及び韓国・日本国民・米国国民の犠牲を考えれば、第二次朝鮮戦争は、起きる可能性は低いと思います。まあ、日本国民が犠牲になることで戦争防止に役立つというのはやめたいものです(笑)。
現実に北朝鮮は核保有国です。それが体制維持と引き換えに非核保有国とできるなら大成功です。

残念ながら日本はこの情勢の変化を主導することも、参加することもできません。米・韓に拉致問題解決をお願いする、米韓に北朝鮮との話し合いの仲介をお願いすることしかできません。哀れなものです。しかし、しょうがありません。そのような外交をしてきたわけですから。(安倍首相の「世界の中心で輝く日本」は、虚しいですね。世界の片隅でくすぶっている日本ですね。それでも安倍首相の外交を評価する人がいるのですから驚きです)
2000年代初頭南北朝鮮の融和ムードが高まりました。そのころ、フォーククルセダーズの「イムジン河」に新しい3番の歌詞が作られました。

♪♪イムジン河春の日に 岸辺に花香り 雪解け水を得て 北と南結ぶ 故郷の歌声よ 渡る風となれ イムジン河とうとうと青き海に還る♪♪

素敵な歌詞です。朝鮮の人たちが二国で存在しても、敵対関係でなく存在し、一つになりたかったら、平和的に一つになれればいいなと思います。

さてその時は、日本はいろんな意味で覚悟をしなければなりません。賠償金・慰安婦問題・強制労働問題・過去の植民地政策へ謝罪、あーあ大変だまったく明治以降の我々の先輩は、悪いことをしてくれたなあ。先輩方のしたことだから、引き受けなきゃなあ。統一朝鮮のみならず米・中も統一朝鮮側に立つとみていいです。逃げられません。後輩諸君のため少しでも金を残したり、日本が少しでも恨まれないようしておかなきゃなあ。

1960年や1970年、あるいは冷戦終結時に安保条約をなくしておいて、朝鮮半島の仲介役であったらもっと安く済んだのになあ。やはりバカでしたねえ。私はそんな風に思っています。






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乙川優三郎「R・S・ヴィラセニョール」を読みました。
題名は、レイ・市東(しとう)・ヴィラセニョール、すなわち若い女性の名です。彼女は、フィリピン人の父親と日本人の母親を持つメステイソ(混血)です。彼女は、自分のアイデンテイテイに悩みながらも、染色家として成功していきます。彼女には、繊細さと大胆さ・激情がある。

彼女の染色の目標は、日本的な色あいと南国的色合いを調和させるという大胆なもののようです。ここにもメステイソという特徴があります。図工が1や2の私には、具体的にはさっぱりわかりませんが、乙川の描写は、何かしっとりする感じがします。乙川の追及する芸術家の生き方や芸術のあり方がここにも表れています。私にはよく分からぬながらも、乙川の雰囲気は好きです。彼女を助けるのが、ロベルトというメキシコ人と日本人の混血です。この若い男性は、魅力的です。またこの二人の助け合う姿はほんとに好ましい。

小説の後半、彼女の激しさの源泉がしめされます。彼女の祖父と父が、フィリッピンのマルコス独裁政権に、命を懸けて抵抗した男たちだったのです。祖父は、小林多喜二のごとく殺害されます。その復讐に、彼女の父親は命を懸けます。そんな骨のあるのがヴィラセニョール家なのです。その激しさは、日本人、特に戦後の日本人にはないものだと思います。父の死後、彼女もヴィラセニョール家の意思を受け継ぐ決意をします。しかし、叔父(父の弟)の決断で、ヴィラセニョール家のマルコスへの復讐は終わります。

彼女の日本的芸術追求の姿とフィリッピン的激情には落差がありすぎます。うまく自分の中で消化できません。それでも面白かった。消化できない葛藤をかかえているのが、メステイソなのでしょう。フィリピン人の心やメスチソの心がごく少しはわかった気がしました。

尚彼女は、千葉県の海辺に住んでいます。この海は、フィリッピンにつながっています。恋人ロベルトのメキシコにもつながっています。海はいいなあ。私がいい小説だなと思った乙川優三郎「ロゴスの市」も同じ海が主舞台でした。