日本の安全保障方式について(2) 非武装・非戦・中立方式

近頃日本の安全保障に関連して3つの本を読んだ。その大要と感想を書く

 

二つ目です。以下は長文です。書くのに3日かかりました。お暇で興味がおありならどうぞ。尚この方式を担う政治勢力は、現在希少と思われますので実現性はありません。

(2)「平和憲法だけで国は守れる」(岡井 敏著、社会批評社、2020年)

昭和天皇の超悪筆やら父親の反政府的行動の紹介、原爆は日本でなく日本人に投下などいろいろ言っている。肝心の安全保障方式は、表題の通りである。その内容をかいつまんで紹介する。

*筆者は、「非武装中立」という言葉にこだわらないと言っている。しかし、彼の論法だと、日本に駐留する米軍は武装しており非武装ではなく、筆者の考えは非武装という方式なので、当然安保条約を解消し、中立ということになる。そのため分かりやすく、「非武装・非戦・中立」とした。非武装同盟は成り立たない。米国が非武装なら成り立つけど(笑)

 

閑話休題。彼の立論をまとめる。

憲法9条は、非武装・非戦・中立を安全保障の方策としている

〇非武装・非戦・中立のバックボーンは、国連憲章である。なぜならほとんどすべての国は、国連加盟国であるから。すべての国は国連憲章という法規範に従わねばならないからである。

国連憲章の安全保障の要諦は、原則は武力行使の禁止で例外は、侵略された場合のみ、かつ安保理が行動を起こす前に限って、個別的自衛権集団的自衛権を行使してよいという事である。(51条)

憲法9条下(非武装・非戦・中立)の日本は、個別的自衛権集団的自衛権も行使しないので、日本に侵攻した国家は、侵略国家である。

〇侵略されたら、安保理に非軍事的強制措置(41条)を要請する。安保理は日本を守る義務があるゆえ(49条、加盟国の相互援助義務)非軍事的強制措置をとる。

国連憲章第一條は、人民の自決の尊重である。それは、侵略後も日本国憲法・諸法律の効力が生きるという事を意味する。侵略国の軍隊は、犯罪者であり(少なくとも不法侵入者)であり、それは日本国警察・検察・裁判所で対処する。

筆者は「これでいう事を聞かない場合、その時こそ自衛隊の出番」と言っているが、この自衛隊って何、という疑問を持った。突然自衛隊が出てくる。どういう法律的存在なのか、武力はどの程度なのか。超強力な警察的な存在か。説明は一切ない。突き詰めていないと判断する)

 

感想&私の考え

侵略された場合でも、日本の国内法秩序があるというのは面白い視点である。なるほど、国連憲章の人民自決の原則から言うと、現憲法・法律が生きるというのは法的には承認できる。実際はどうかな。

 

彼の安全保障方式の大前提は、

国連憲章という国際法に加盟国は従うという事である。

 

確かにプーチン集団的自衛権を理由に侵略しているし(ドンバス独立国からの要請=集団的自衛権行使)、彼も戦争行為に対し様々な言い訳をしている。という事は、彼も国際法違反はまずい、と思っているのである。つまりは、国際法というルールは生きているのである。

 

しかし、ロシアという核軍事大国が国際法に違反して侵略したのは事実で、国際法が十分な力がないのもまた明白である。

 

まずは、どういう風にして国際法国際連合を強力にするかを考えなければならない。

これは難解である。しかし、これが最終的には戦争を解決するものであると確信する。

一歩でも進めなきゃならぬ。

 

現在は、有志の国々で経済制裁で、国際法違反のロシアを懲らしめることに注力すべきである。

 

閑話休題

次に、筆者の立論に沿って考えていく。

武装・非戦・中立の日本の場合、侵略者に対してどうするか。筆者は、国連での論争、安保理の行動、国内での警察・検察力を想定しているが、これでは不十分と思う。

 

彼らは法秩序を無視する連中だろうから、非暴力の抵抗手段を研究しておく必要がある。

 

服従面従腹背ストライキ・言論戦・サボタージュ・非協力・知らんぷり=勿論外国語が不得意な日本人は、相手の言語(中国語・朝鮮語・ロシア語・英語)がわからないので、協力も難しいだろう。

 

今回のウクライナのやったような世界世論を味方につけるため、日本政府以外に、各人がスマホ・PC等で発信するのは当然である。勿論マスコミをはじめ諸外国人は、自由に日本に来ている。非戦故戦闘がないのであるから、自由に往来できる。彼らの発信力も大いに当てにしていい。現在のロシア国内の情報統制とは状況が全く違う。

 

 

侵略軍に対抗するためには、

日本国民ひとりひとりの自由(集会結社言論表現の自由)を守る意識が大切だと思う。自分だけでなく、自分以外の国民の自由・権利・財産・いのちを守るため戦うという意思が必要だ。武器を持たない強い心である。ウクライナのある町の一般市民がロシア軍に抗議したように。

 

 

日本国憲法には、権利ばかりがあって義務がないなんて言っている輩は、自由を守る厳しさ(自由権利を守るため不断の努力をせよ。権利は公共の福祉のために使え、憲法12条)を知らない人たちで、楽に生きたいのだろうから、侵略軍にへえ、へえと協力する人たちと想像する。

 

日本を守るためには、単純に「軍拡で対応」を主張する人は、安易に自衛隊に戦ってもらって、守ってもらおうと考えるひとである。勿論自分を安全圏においてそう言っている。

 

そういう人は、日本国民の全体の権利・生命・財産を本気で守ろうとしてはいないのではないか。俺だけよければの人であると判断する。こういう人は、進駐軍のツカイッパになって権力のおこぼれにあずかろうとする可能性がある。

 

どうもねえ、現代日本人は、特に権力志向の強い人が多いような気がする。

 

へえへえと協力する人、ツカイッパになっておこぼれにあずかろうとする人が多いような気がする。現役の頃職場でもそんな人が多かった。出世・保身の人々。(笑)

 

ここを考えると、非武装・非戦・中立方式は難しいかもね。日本国内から崩れそうだ。

 

そこで、

ドイツに占領され、傀儡政権ビシー政府下のフランスの一般庶民はどうだったか。研究する必要がある。

 

かの名画「カサブランカ」では、傀儡政権に協力する側と反対する側の対立や心の葛藤が描かれる、苦しい事ではあろう。傀儡政権側の警察署長がナチの手下を殺した犯人を見逃し、最後にヴィシーと書いてあるお酒を屑籠に捨てるのが印象的である。揺れる思いであろう。

 

 

話がまたそれたかな。

 

話しを元に戻して非武装・非戦・中立の日本が侵略された場合を考えてみよう。

ウクライナはなまじ軍事力があるので戦った。その結果侵略者による民間人殺害も起きた。軍事力がない日本は、戦わない。何せ非武装なんだから。この場合、世界中から同情・援助・協力の申し出が澎湃と上がろう。ウクライナでもあれぐらい援助されているのだから。侵略国は、今回のロシア以上に苦しくなろう。これだけで、侵略国は撤退するかも。

 

 

はて、なんの目的で日本を侵略するのであろうか。ロシアは、占領した街で親ロシアの市長を立てた。傀儡政権である。傀儡政権を樹立して目的を達成しようとするのは当然である。

さて、日本を侵略したある国家は、「へえへえ」の人や「ツカイッパ」の人の立てた傀儡政権を通じて何をしようとするのだろうか。何を目指すのだろうか。うーん。分からない。皆さん分かります?

 

ここまで考えてくると何のために日本を侵略するのか、その目的が分からなくなる。

 

何を手に入れたいのか?

資源じゃないな。日本には、ないんでね。

 

優れた工業力?優秀な頭脳?優れた生産力?、水?アニメ?、こんなの軍事力でとらなくとも、普通に手に入れているだろう。円を持ってきて買えばいいだけだ。会社を買えばいい。実際買っている。日本からの頭脳流出・技術流出が問題だ、なんて騒いでいるので、頭脳・技術なんて軍事力でとる必要はない。労働力?外資系で働く人は多数に上るので軍事力でとる必要はない。

 

じゃなんだろう。

 

そこで、さらにロシアのウクライナ侵略で考えてみよう。

 

ウクライナ侵略は、かつてウクライナソ連(大ロシア)の一部だったことが大きいと思われる。キエフはロシアの発祥の地という事だ。

 

東京や京都や奈良は、仮想侵略国・中国や北朝鮮やロシアの発祥の地でもなく、彼らと日本列島が政治的に一緒だった歴史は皆無である。(笑)この点では、仮想侵略国に動機はない。

 

ウクライナ侵略は、ロシアのNATONに対する防波堤をつくるという目的もある。これから類推すると、仮想侵略国中国や北朝鮮やロシアが日本を防波堤にするのは、米国の勢力に対抗という事だ。

 

日本を米国からの防波堤にするため、非武装・非戦・中立の日本に軍事侵略をするか?

 

さらに考えると、

ロシアは、ウクライナ戦争の最中、ウクライナに中立を要求している。NATO に対する己の防波堤としてである。ところが、日本はもともと非武装・非戦・中立である。軍事侵略をして中立を要求する必要はない。もともと中立なんだから。(笑)

 

武装・非戦・中立の日本を侵略して何を得るのか。

 

どうでしょうか。実は非武装・非戦・中立の日本を侵略する国家なんてないんじゃないのか。

 

安保条約=「日米同盟」のため、日本を敵とみてるだけじゃないのか?

 

何の目的で非武装・非戦・中立の日本を侵略するのか?軍事的侵略を心配する人は、これに是非答えてもらいたい。それも具体的に。

 

 

実は、非武装・非戦・中立の日本が侵略されるなんて妄想なんじゃないか?(笑)

 

 

何のために軍事力を使って、軍事的に戦わない日本に侵攻して、長期に滞在し、各所に目を配り、支配しようとするのか。そのためには、どのぐらいの人間を送り込まないといけないのか。傀儡政権をたててどうしようというのか。大体そんな政権を立てることができるのか。政権は、日本国民のみの投票によって樹立されるのであるから。(なぜなら国連憲章第一條・憲法・各法律が効力を持っているから)

 

クリミア併合の場合でも、軍事的圧力のもと、ロシア人の多いクリミアの住民投票で、ロシアへの併合が決まった。軍事的圧力のもとでも、日本の場合、日本国民だけの投票で、親中国系とか親ロシア系とか親北朝鮮系の政権ってできる?そりゃ、できないだろう。できるっていう人、手をあげて。(笑)さすがに投票となれば、出世・自己保身・自己中の「へえへえ」さんも「ツカイッパ」さんも親中国系には投票しないんではないかな(笑)

 

 

まあ、念のため、戦前の侵略国家・大日本帝国の傀儡政権政策を考えてみる必要があるかもね。

 

満州帝国はどうだろうか。鉄・石炭・広大な農地等資源が豊か、これに比較して日本国は資源がないな。資源の面では狙われない。溥儀のもと政権運営はうまくできたのだろうか。うまくいったとしても、内政外交にわたって実権は、日本人官僚が握っていた。

 

武装・非戦・中立の日本の傀儡政権のもとで、中国人官僚が中国に有利な政策を実施することが可能か。まあ、無理だろうな。

 

汪兆銘南京政府はどうだろうか。中国国民の支持はなかったと言われる。現代日本

傀儡政権ができたとして、うまく運営できるか。

 

この辺も考えてみる必要があると思う。難しかろう。

 

結論:非武装・非戦・中立の日本を侵略するメリットはなく、傀儡政権を樹立するのは

不可能で、もしできたとしても莫大なエネルギーを要するので、侵略される恐れはない。

それでもプーチンの百倍もおバカな人がいて、ロシア国民の現在の多数派の2倍くらいバカな国民がいて、日本が侵略されたら、国際世論・国連安保理の活動・国民の非暴力抵抗で侵略国を排除できる。誰も死なないで。

故に筆者の非武装・非戦・中立の安全保障方式は成り立つ、と考える。

 

またまた、十分考えがまとまらないまま、ブログアップする。またiireiさんに立論よくわからずと言われそうだ。俺もそう思うので(笑)

 

尚すべては、理屈上の推論・推敲であり、「日米同盟」至上主義の国民と政府とマスコミ・オピニョンリーダーの存在が絶大ゆえ、そして非武装・非戦・中立を担う政治勢力がもはや絶滅危惧種である故、政治的に実現不能というのは百も承知である。机上の空論である。ただ、「日米同盟」故、あるいは武装がある故、日本が戦争になった時、こんな考えもあったか、という証拠として残しておく。

 

ここまで読んだ人がいたなら感謝します。わが妄想に付き合ってくれてありがとう。

 

ちゃんちゃん。あー草臥れた。