今日は「蒼海(うみ)よ眠れ」の前に、ちと寄り道をします。
7月4日の毎日新聞第一面に、「税収最高71.1兆円(昨年度)剰余金1.3兆円防衛費に」という記事があります。いかにも景気よさそうに見えます。しかし私が思うには、政府のさらなる借金で行った経済政策で、税収が増えただけと。
税収がどのくらい増えたかというと、新聞に2021年比6.1%とありますから、計算しますと(71兆÷1.06=86兆)、2021年の税収は86兆円。即ち、2021年に比べて、5兆円増なんです。一方、政府の純債務(借金―資産)は、2021年861兆円に対して2022年905兆円なんです。(世界の経済ネタ帳より)44兆円借金を増やしてます。ちなみに2023年は、942兆円(IMF予測)。
経済的には、日本政府は、44兆円借金をふやして、その借金でいろいろやって(コロナ対策とか)、そのうち5兆円回収したという事でしょう。
コロナワクチン接種とか、全部無駄とは言いません。けど、いろいろ不正とか無駄もあたと聞きます。
借金で増えた税収ですから、その剰余金は、全額借金返済に充てるべきです。
前にも何べんも言いましたが、日本はダントツトップの借金大国です。令和5年、対GDP比、日本は、258%、世界で次に高いイタリアが140.3%、バイデンがサミット中、「借金で政府が運営できなくなる」と気をもんだ、あの米国でさえ、122.3%なんですから。
(訂正 世界で次に高いイタリア→主要国で次に高いイタリア、7月4日)
これも前に紹介しました、1944年の国債残高の対GNP比でさえ144%(「日本近代の戦費調達と国債」(千葉大))なんですからねえ。(訂正・・千葉大→中央大)
1944年って、戦争たけなわ、日本が占領していたフィリッピンを米国に奪還された年です。戦艦「武蔵」がフィリッピン攻防戦で撃沈した年です。特攻作戦も始まった年です。敗色濃厚がはっきりした年といってもいいでしょう。
全力で米軍と戦っていた1944年でさえ、GDPの144%の借金、どことも戦っていない2023年は、GDPの258%の借金。おかしいと思いませんか。
もうすでに現在の日本は、経済的に大惨敗と言っていいと思います。
そんな日本、軍事費を、欧米並みのGDP2%に(現在の自公政府の方針)、なんて気が狂ってますよ。正気の沙汰とは思えません。欧米どころか世界に笑われます。誰が返すんですか。どんどん数が少なくなっている子供たちですよ。
先ごろ、国会で、防衛費増の法案が通りましたが、それ間違ってます。撤廃しなけりゃいけません。
さて、本題の第三巻です。
第7章 子午線の東と西
内容的に二つに分かれている。
1.「軍事機密」の項は、ミッドウエー海戦の大敗北を海軍が隠ぺいしたことについて書いている。
海軍は、1942年6月10日、海軍部内各所に、「ミッドウエー海戦のわが軍の損害は、空母一隻喪失、空母一隻大破、巡洋艦一隻大破、飛行機損失35機として処理せよ」と命令している。正規空母4隻全部失ったのに。母艦が皆無なんだから、飛行機も全滅だろう。
この、大ウソつき!この日、大本営海軍報道部は、この捏造を発表している。
澤地によれば、戦前に建てた戦死者のお墓には、ミッドウエーという地名はなく、東部太平洋方面で戦死と書いてあるそうだ。
戦死広報には、東部太平洋方面としか書いておらず、乗艦名は秘匿するようにとあった。
陸軍は、6月10日の戦史叢書に「外国では米国大勝利と報道してるけど、海軍大丈夫か」という記事がある。海軍は、この時点で損害の詳細は陸軍にも秘匿してた。
前のブログで紹介した、空母部隊の「戦闘詳報」は、日本に帰った後作成したのだから、6月10日の捏造にそって作られた確率は極めて高い。という事は、澤地の「海軍がミッドウエー海戦の敗戦原因をごまかしている」という批判は当たっている可能性が高い。
それにしても当時の新聞。当然外国からの情報も知りえただろう。何の疑問も持たず、大本営発表を垂れ流ししただけか。情けなや。検閲制度の恐ろしさ。
今のマスコミもそうなってないか?
cangaelさんが7月3日に紹介してた、サミット文書での、ALPS処理水についての、日本政府の訳文(仮の約文と言っているが、政府はこれでいいと認めているので、正式の訳文と言っていい)は、誤訳ではなく、政府の宣伝のための捏造文書じゃないのか?現代のマスコミは、政府の考えの垂れ流しでなく、事実を報道してほしい。今は、検閲はない。憲法が守っている。
「G7首脳成果文書のALPS処理水の日本語仮訳と英語正文の違い(西村カリン記者)」「ジャニーズ性加害告発とBBC記者」などアレコレ
「G7首脳成果文書のALPS処理水の日本語仮訳と英語正文の違い(西村カリン記者)」「ジャニーズ性加害告発とBBC記者」などアレコレ - 四丁目でCan蛙~日々是好日~
久しぶりにほかの人の記事の引用が出来ました。
しかし、ごめん。引用したつもりが、うまくアクセスできません。
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2.父は、加賀乗組員、3.三界に家無し、4.母と娘の縁、の三つは、ひと続きでミッドウエー海戦で戦死した兵士の妻とその娘の話である。
兵士はH、その妻は、M女、HとM女の娘は、T子と表されている。
澤地は、T子からのアンケートに疑問を持ち、T子に会いに行った。そのアンケートには、Hの基本的情報が殆ど書かれてないからだ。T子に会い、事情がある程度わかった。
HとM女は、内縁関係で、Hは「加賀」乗組員として、ミッドウェーに行き戦死する。Hは、M女の妊娠は知っていた。M女は、T子が生まれるとすぐ、Hの実家に行き、認知
を求めるが拒否された。Hの実家では、Hの兄が兵役についていたが肺結核にかかり陸軍病院で療養中で、実家の生活は苦しかった。それを思ってHは、M女のことをHの実家に知らせなかったのでは、と、T子は言う。
M女の実家の姉が、その当時産んだ子を死なせており、T子は、その姉の戸籍に入れられた。T子は、実母のM女を「おばさん」とよんでそだった。M女は、3年後Wと再婚して都会へと去った。T子は、18で嫁に行く。T子は、加賀の戦友会の呼びかけを知り、M女に伝えるが、M女は出ない。代わりにT子が出席した。戦友会に出席してもHの死の実際は分からなかった。
澤地は、M女にも会いに行く。初め「いう事はありません」と拒否していたが、やがて
話をしてくれた。
Hとの出会いは、M女の働くお店である。内縁関係になってから3年後、Hは、「帰ってから正式に結婚しよう」と言ってミッドウェーへ行った。Hの実家に認知を拒否されて、M女は、実家に身を寄せ働いていたが、兄たちが嫁をもらっており、身の置き所がなかった。昭和20年M女は、同郷のWと再婚した。Wは、資産家の長男で安定した生活を送るはずだったが、実際は大違い。Wは遊び人で、家に寄り付かず、「飲む、買う、打つ」三昧。その父親も同じであった。その結果すべて財産を失った。
Wに誘われ、開墾と炭焼きに従事し、4人の子を産んだが、夫の人格は変わらなかった。家に居付かない。金がなくなると金をせびりに戻ってくるのである。一心不乱に働いても極貧から脱せない。
そんな中、一人の子供を失う(溺死)。4年ぶりに帰ってきた夫は、「アパートを借りた、皆で一緒に」と誘った。アパートは嘘で、会社の寮だった。その1か月後、夫は病気で死んだ。もう寮にはいられない。
昭和39年春の事である。ここからは原文をそのまま紹介する。
40半ばに達していたM女は、生きる力が尽きた。母親の勤め先へいつもついて歩いて苦労をつぶさに見ている末っ子(5歳―A0153注)に、「お母ちゃんと一緒に死のう」というと、「お母ちゃんとならいいよ」と幼い子は答えた。
子を連れて港へ行き、離れ離れにならないよう腰ひもで結びあって、海へ入っていった。末っ子は、男の子だが、泣きもしないで母親の手にすがってついてきた。
この母と、子を助けたのは、アメリカ海軍の士官である。沖縄から入港した軍艦の甲板で、ただ事ならぬ親子を見つけた。
「アメリカモイッショ、コンナコトアル。シンダライケマセン。シンダラハナハサキマセン」見上げるように背の高いアメリカ人はそう言い、事情を詳しく聞こうとはしなかった。
私はこの個所を読むたびに涙が出る。
その後、M女は、5人の子を育てるため必死に働く。朝7時から夕方5時まで、喫茶店のお運び。夜は6時から12時まで別な店の皿洗い。
昭和44年、T子を育てたM女の母親が危篤という連絡が入った。着るものもない、帰郷の費用もない、結局実家には帰らなかった。
昭和49年ホームへ落ち大けが。働けなくなったが、上司の計らいで年金をもらうようになった。昭和52年Wの遺骨と水死した子の歯(歯しか残ってなかった)を持って帰郷。
T子と再会する。
またまた長くなりました。私の苦手な人間関係が複雑で、うまくまとめることができませんでした。何べんも読みました。「この母と、この子を助けたのは、アメリカ海軍の士官である」は、読むたび涙が出ました。
私事ですが、M女の実家の母親の死んだ昭和44年私は大学に入学しました。希望に満ちていました。その同じ時代、戦争で夫を失い、戦後苦労を重ねた人が生きていたんですね。
第3巻は、7章から11章まで5章あるのですが、今日は、7章のみです。
ここまで長文を読んでくれた人がいたなら感謝します。
明日が、図書館の借用期限切れです。また6巻全部借りてくるつもりです。こんなことは初めてです。